アホヲタ元法学部生の日常

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「安価」の法的考察 - アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常
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空想庭園様に、名探偵コナンと疫学的証明〜名探偵が有罪に?! - アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常あゆあゆの「鯛焼問題」に関する法的考察 - アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常特別寄稿〜あゆあゆの「鯛焼問題」についての新たな考察 - アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常を紹介していただきました。どうもありがとうございました。

空想科学読本系の雰囲気を漂わせる雰囲気ですが、内容はメチャクチャ濃い。というか法律の言葉が門外漢な俺にとっては意味不明。日本語って難しいなと再認識させられたよ。

 私のような文系人間にとって、「理系の論理」というのも、「意味不明」なものがほとんどであり、アトキンスとかをちらっと読むとよく眠れます。「理系にとっての文系の論理の難しさ」と「文系にとっての理系の論理の難しさ」はパラレルに考えられる気がします。

「鯛焼問題」については、知らない人もいるかと思うけど「あゆ・鯛焼き」でピンと来なければそれでいいと思うてかむしろ知らない世界があっても良い。作品そのものはさておき、この記事中で言及されていた中で興味深かったのが『事例2の件について法解釈次第で被告人(あゆ)が有罪とも無罪ともなりうる』という。俺の理解力が乏しいが故の誤解かもしれんが、少なくとも俺はそう捉えられた。最終的には名無しだよもん様によって常識程度の判断を下されたわけだが、それ以前で解釈が止まってしまったら被告人側が有利になっていたかもしれない。そう思うと法律って微妙だね。優秀な弁護士・検事という水準の優劣が出てくるのも分かるかも。

どっちかと言えば理系畑の俺にとっては、結論ありきで組み立てるプログラミング的理解か仮説を基にした帰納的アプローチとかの方がすっきりする。物理法則を相手にしたら仮説は多数あれど真実は一つだからな。

 法学においては、「訴訟法的真実(=訴訟においてこれが真実だと認められた内容)」というのは「実体的真実(実際の真相)」に「できるだけ近づかないといけない」が、違いうることは前提とされています。「できるだけ頑張って。でもできるだけ頑張ればそれでいい。」位のイメージでしょうか。ここが、真実が1つの理系との大きな違いの気がします。
 実際は、法律的結論については、あんまり弁護士や検事がなんといっても意味がないことが多い(裁判所は判例に従うので)ので、むしろ「何が事実か」の面が弁護士や検事の「頑張りどころ」であり、これを「面白い」ととるか「こんなあいまいなものなんて嫌い」と思うかが、文系理系の分かれ目になるような気がします。

 文系理系の差異論としても非常に興味深い考察でした。今後もよろしくお願いいたします。

 三軒茶屋様の『”文学少女”と死にたがりの道化』(野村美月/ファミ通文庫) - 三軒茶屋 別館が非常に面白かったです。

文学作品の元ネタとしての使用には、いまどきの読者がラノベ特有のもの思ってしまいがちな要素・展開が、実は必ずしもそうではないということを教えてくれていると思うのです。

ここに心から賛同します! 今後は愚者・天使レビューも楽しみにしております。

学者もビックリ! 霊感療法と騙してセックスしても無罪〜オタク判例百選第3事件

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それ何てエロゲ? な判例〜オタク判例百選第1事件 - アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常という記事を書いたところ、大変ありがたいことに、大量発生様に、東京地判昭和58年3月1日という判例を教えていただいた。事案は、

被告人は、路上で見かけた若い女性を言葉巧みに誘い、自己に霊感があるものと誤信させた上、『あなたは病気にかかっており、霊感のある自分にしか治せない』などと嘘をつき、病気を治すためには「霊感治療」として被告人とのセックスが必要と装って、その女性とセックスした*1

 というものである。その後、告訴をした被害者2人について準強姦罪で起訴された。

 この「治療と称してセックス」というパターンもまた、エロゲによくあるパターンである。例えば、「Dr.ペコ秘密の診療所」というゲームにおいては、

賑やかな繁華街から一本外れた閑静な道の、お世辞にも綺麗とは言えない雑居ビルの階段を登っていくと、そこにはとある診療所がある。
依頼人は大体が若い女性。患者が現れると、ペコは患者にカウンセリングという形式で話を聞きながらアソコの形状や臭いを変え、そして仕上げに彼女達自身にエッチな治療を施術することで悩みを解決していく。
http://www.vitamin-soft.com/peco/peco_sto.html
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といったストーリーになっている。もっとも、ゲームの方は、実際に女性が悩んでいるのを解決してあげるのに対し、本件は、悩んでもいない女性に「あなたは病気だ!」といって困惑させた上で、「霊感療法」と称して行為に及んでいるのだから、女性の自由を害する程度は、本件の方がはるかに高い

 準強姦罪は刑法178条に規定がある。

178条 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をし、又は姦淫した者は、前二条の例による(注:強姦罪、強制わいせつ罪と同じ処理になる)。

 この事案につき東京地裁は、被告人の行為は準強姦罪にあたらないとして、
自称霊媒師の被告人を無罪
 とした。


 これには有名な刑法学者である大谷實教授*2も驚いたらしく、「重要判例解説(昭和58年度)」p142以下の「刑法判例の動き」において

強姦罪に関連しては、東京地判昭和58年3月1日が参照に値する。被告人は、路上で女性を呼び止めて喫茶店へ誘った後、ラブホテルへ誘い込み、霊感による性器治療の名目で姦淫行為に及んだというものであるが、
抗拒不能ならしめる実質を有する行為として準強姦にあたるとしたものである。
ジュリスト「重要判例解説(昭和58年度)」p145

と、完全に判決の結論を勘違いして論評してしまっている。



 もっとも、この判決は学会上賛否両論があるのであり、別に総スカンを食らっている状態ではない。
 この判決は以下のように述べる。

「性行為について承諾がある」「場合には、一般に暴行・脅迫により相手方の自由意思を無視して行われる通常の姦淫の場合に比べ、性的自由に対する侵害の程度が際立って異なっており、」「準強姦罪の成立を認めるためには」「承諾があったにもかかわらずなお暴行・脅迫と同程度に相手方の自由意思を無視したものと認めざるを得ない特段の事情の存することが必要」であるところ「霊感療法にある種のリスクが伴うことを承知しながら、なお、」「試しにそのような治療を受けてみてもよいと自らの意思で決め、これに応じる選択をした」ものと認められる。すると「なお暴行・脅迫と同程度に相手方の自由意思を無視したものと認められざるを得ないような特段の事情については、本件の全経過に徴してもこれを認めることができないと言うべきである。」
東京地判昭和58年3月1日刑事裁判月報15・3・255

 この点を少し分かりやすくすると、本件では、被告人の嘘によって被害者が「抗拒不能*3」となったかが問題となった。
 この抗拒不能については、学説上どの程度抵抗が困難になれば準強姦罪が成立するかにつき争いがある*4
 この点*5、本判決は特定の相手と性行為をもつことを認識・認容しても準強姦罪が成立する余地があり、そのためには被害者の承諾があったにもかかわらずなお暴行・脅迫罪と同程度に相手方の自由意思を無視したと認めざるをえない特段の事情が存在する必要があるという立場にたっている。
 大コンメンタール刑法も「被害者が当該性的行為をそれとして認識し、これを承諾しないしは認容している場合に、なおかつ抗拒不能として本条の成立を認めるためには、被害者の置かれた状況、行為者が作出した状況等を総合して、当該被害者に当該行為を承諾し、あるいは認容する以外の行為を期待し得ないと認められることを要しよう。*6」として基本的に同じ見解にたっている。

 問題は、この見解を前提に、本件で特段の事情があるかである。特段の事情の判断については、

被害者に行為者との間で性的交渉を持つことについての何らかの程度における認識がある場合として判例に多く見られる事例は、医師ないし医師と称する行為者が正当な医療行為を行うものと誤信している被害者に対して姦淫ないしわいせつ行為をする事案である。この種の事案にあっては、被害者が医療に必要な行為と誤信しているため、通常の意味での性的行為を行うという認識に欠ける場合が多く、そのような場合には、本罪を適用するのに特段の支障はない。そうでない場合でも、病気とそのための治療の必要性の告知という状況上、心理的にも物理的にも性的行為を拒むことを期待することは著しく困難な状況であったとして本条の成立を認めるべき場合が多いであろう
 大塚仁等編「大コンメンタール刑法第9巻」p78

という記載が重要である。
 要するに「病気と治療の必要性を告知すれば、女性は心理的にも性行為を拒むのは困難になることが多く、こういう病気だから治療が必要だと言って、性行為を内容とする「治療」を承諾させたという場合には特段の事情が認められやすい」ということである。
 そこで、原田*7らは少なくとも本件被害者らは「性的行為」としての「性器結合」を承諾したとはいえないのではないか等として本件において特段の事情を認め、準強姦とすべきだったとして本判決を批判する。
 これに対し、曽根*8は「彼女らが一通りの教育を受けた成人女性であり、性行為について一応の知識を有していると考えられる」こと等から特段の事情を否定し、本件判決に賛同する。

 この点の判断においては、本件の昭和58年(1983年)当時のオカルトブームの時代背景を理解することが重要である。バーチャルネットアイドルちゆ12歳様によれば

日本では、80年代にソッチ系の女の子が大量発生したことがありました。当時のオカルト雑誌「ムー」のペンフレンド募集コーナーを見ると……。

 「前生アトランティスの戦士だった方、石の塔の戦いを覚えている方、最終戦士の方、エリア・ジェイ・マイナ・ライジャ・カルラの名を知っている方などと」
 「前世名が神夢、在月、星音という3人の男性を捜しています。早く目覚めて連絡を!!」
 「九燿、霊能者、超能力者、妖姫、闘竜、戦士の過去を持つみなさん! 歌巫女の私に連絡をください」
http://tiyu.to/title.html

 このようなオカルトにはまっている女性が多い時代背景からは、成人女性で一応性知識がある場合でも、霊感治療を信じて、自分は病気で、霊感治療によって治るんだ、だからこれは「治療行為」なんだと思って被告人の性交を受け入れてしまったという被害女性の思考経路は十分理解できるものであり、このような状況下では、まさに大コンメンタール刑法のいうところの心理的にも物理的にも性的行為を拒むことを期待することは著しく困難な状況」という他はないだろう*9

まとめ
 霊感療法と騙してセックスして無罪となった東京地判昭和58年3月1日刑事裁判月報15・3・255の裁判官が、当時の若い女性のオカルトブームという時代背景を理解していれば、十分に異なる判断になった可能性があるだろう。本判決は裁判官が時代の流れをきちんと把握していなければ誤判の恐れすらあるということを示すよい事例といえよう。

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謝辞:「大量発生」様には、本エントリで紹介した興味深い判例を教えていただきました。ありがとうございました。
    fuku-ji様には、その判例が「宗教判例百選」で紹介されていることを教えていただきました。ありがとうございました。

*1:大量発生様のコメント欄の事案のまとめが秀逸であったので、基本的に使用させていただいた。

*2:あんまり参考にならないが法学者を念能力で分類 - アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常

*3:抗拒不能心神喪失以外の事由で心理的又は物理的に抵抗が不可能ないし著しく困難な状態をいう、「大コンメンタール刑法9巻」p76

*4:学説のまとめは宗教判例百選(第2版)p226以下によった。紹介していただいたfuku-ji様に感謝いたします。

*5:A説はこれを緩く解する考えで、被害者が姦淫行為の意味について錯誤がある場合ばかりでなく、性行為に応じた動機あるいはその周辺事情に錯誤があるときにも「抗拒不能」とする説である。この説に対しては「このような錯誤があった場合に準強姦を認めると、売春代金を支払う振りをして情交した後踏み倒す行為も178条に該当することとなってしまう(前田雅英「刑法各論講義」p112)」といった批判がある。B説はこれを狭く解する考えであり、特定の相手方と性行為をすることを認識し、これを認容したならば、もはや準強姦罪は成立しないというものである。これに対しては、重大な錯誤に陥った結果暴行脅迫を受けた場合と同様に性的意思決定が害されて性行為に応じる場合もあるのだから錯誤があっても一切準強姦罪にならないという結論は不当といった批判がある。この中間の見解であるC説が本判決の見解

*6:p77

*7:原田保「霊感治療仮想による準強姦事件」『宗教判例の研究2』p241以下参照

*8:宗教判例百選p227参照

*9:そこで原田らの見解に賛同する。