アホヲタ元法学部生の日常

連絡はTwitter ( @ahowota )でお願いします。アニメを見て法律を思い、法律を見てアニメを思う法アニクラスタ、ronnorのブログ。メールはronnor1あっとgmail.comへ。BLJにて「企業法務系ブロガー」として書評連載中。 #新人法務パーソンへ #オタク流勉強法 #明認方法 「アホヲタ元法学部生の日常」(ブログ)、「これからの契約の話をしよう」(同人誌)、『アニメキャラが行列を作る法律相談所』(総合科学出版)等。

化物語ー体重剥奪と刑法

化物語(上) (講談社BOX)

化物語(上) (講談社BOX)

1.化物語とは


ある日、女の子が上空から舞い降りてきた...


これだけなら、アニメの世界ではよくあること。しかし、


その女の子には体重がなかった。


落ちてきた戦場ヶ原ひたぎと、それを受け止めた阿良々木暦の間で、奇妙な物語が始まる...。


化物語は、西尾維新先生の、怪異をテーマにしたライトノベルおよびこれを原作としたアニメである。


2.ひたぎ体重剥奪事件

戦場ヶ原ひたぎは、蟹に行きあった。大きな蟹に。そして、蟹に体重を奪われた。


その結果、体重は5キロ。ほとんど重さはなくなってしまった。


そのため、服を着づらい、鞄が重く感じるといった種々の苦難を感じている。


さて、ひたぎの体重を剥奪することは、何罪に該当するだろうか?


3.暴行罪

さて、考えられるものとしては、暴行罪がある。

刑法208条


刑法208条により、他人に暴行を行うことが禁止される。暴行とは、不法な有形力の行使と言われるが、要するに、殴ったり、足蹴にしたり、刃物を口の中に差し入れたり*1といった、力を使って他人の体を襲うことである。


あの蟹は、乱暴で短気であることから、体重を奪った時も、少しくらい乱暴をした可能性はある。


もっとも、アニメの映像を見る限り、


よって、暴行罪は苦しいのではないか。


4.傷害罪

205条

ここで、傷害罪の場合には、暴行がなくとも傷害結果が発生すれば、傷害罪となる。


例えば、毎日いやがらせ電話をかけて、相手を精神病にしたといった場合には、これは傷害罪である。

まとめ

*1:なお、判例に、狭い部屋で日本刀を振り回したら暴行というものがある。