「はにはに」と法律用語
- 出版社/メーカー: アルケミスト
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昔は、作品の略し方は作品名を2つに分けて、前半の頭2文字+後半の頭2文字というのが圧倒的だった。例えば、
リングにかけろ→リンかけ
こちら葛飾区亀有公園前派出所→こちかめ(こち亀)
のようなものである。
ところが、これが変わり出した。最初どこから始まったかは私はわからない*1。ともあれ、最近の増えてきたのは「ひらがな」だけを取り出して略語にするという方法である。
http://media.excite.co.jp/book/news/topics/069/様によれば、「なるたる」は、
「骸なる星 珠たる子」で『なるたる』であります。
引用元:http://media.excite.co.jp/book/news/topics/069/p05.html
という形でつけられた名前らしい。これは、まさに「ひらがな」だけを取り出して略語にしたものだろう*2。
この「ひらがな」取り出し法の最も有名なのは、「はにはに」である。これは、「月は東に日は西に」というゲームの名前のひらがな部分だけを取り出したものであった。これはかなりメジャーになり、センター試験にも出題された(ウソ*3)。
最近の作品では、「けよりな」が有名である。「夜明け前より瑠璃色な」の平仮名部分をあつめた略語である。
この方法のよいところは、平仮名で略することで、親しみが持てるところであろう。
じゃあ、法律用語でもやってみよう!こう、悪魔がささやいた。
見せ金による会社設立(商法)→せによる
裏書で移転できる証券(商法)→でできる
不服申立と訴訟との関係(行政法)→てととの
処分の取消しの訴え(行政法)→のしのえ
立法の不作為の違憲確認の訴え(憲法)→のののえ
参考:http://www.will-game.com/spsp/s01/index.htm*4
裁判所書記官の処分に対する異議(民訴)→のにする
最高裁判所の長たる裁判官の指名(憲法)→のたるの
執行に関する異議の申立て(民訴)→にするて
指図による引渡し(民法)→によるし
子会社による親会社株式・持分の取得禁止(商法)→によるの
不動産・船舶・動産及び債権以外の財産権の差押え(民訴)→びののえ
口頭弁論を経ない異議の却下(民訴)→をないの
議席を失わせる議決(行政法)→をわせる
「せによる」とか「てととの」とか「のしのえ」とか「によるし」とかは使えそうである。平仮名のやさしい雰囲気で親しみも持てる仕上がりになった。
また、実用にも役立つ。例えば、授業では
「てととの→原則不服申立て手続きがあっても取消し訴訟可能。例外としての不服申立て前置主義」
といったようにメモを取れば、結構スペースが省略できる。
論証カードも
確かに、借金による払込みは禁じられておらず、せによるを個別的に見れば、合法な払込みとも思える。しかし、これを全体として見れば、仮装払込の一環をなしている以上、資本充実の原則に反する。そこで、せによるは原則無効と解する
とかけば、スペース節約になる。
まとめ
「はにはに」で使われている省略方法を法律用語で使うと、親しみが持てる。
しかし、法律用語のほとんどが漢字のみか「漢字+の」であるから、あまり使える単語がないのがデメリットであろう。
参考:4文字におさまらなかった失敗作集
簡易の引渡し→のし
地方公共団体の長の事務の委任→ののの
*1:ご存知の方はトラバ・コメント下さい
*2:まあ、作者自身が略していますから、ファンが略したのとは違う訳ですが..。結構初期の事例だと思うのでとりあげました
*3:2004年度地学IA第3問B問4選択肢④「月は東に日は西に」となる夕刻、東から昇る月はほぼ満月である。http://hiw.oo.kawai-juku.ac.jp/nyushi/center/04/exam/441/16.html