アホヲタ元法学部生の日常

連絡はTwitter ( @ahowota )でお願いします。アニメを見て法律を思い、法律を見てアニメを思う法アニクラスタ、ronnorのブログ。メールはronnor1あっとgmail.comへ。BLJにて「企業法務系ブロガー」として書評連載中。 #新人法務パーソンへ #オタク流勉強法 #明認方法 「アホヲタ元法学部生の日常」(ブログ)、「これからの契約の話をしよう」(同人誌)、『アニメキャラが行列を作る法律相談所』(総合科学出版)等。

地方公務員の給料は「国家公務員より高い」か?

やさしい地方財政

やさしい地方財政

 公務員の給料が高いといわれる。特にその中でも地方公務員の給料が高いとよく言われる。
 ちょっと検索してひっかかったものだと

特に公務員の給与、特に特に地方公務員。2割カットをしろと言う人がいますが、実は現在の給与の半分で十分なのです。*1
引用元:http://tukuyomu.cocolog-nifty.com/blog/2005/04/index.htm

等々言われている。

 そこで、このことを信じている人も多いだろう。私も、どこかでこういう話を聞いたことがあったので、「やさしい地方財政」を読むまでは、それが本当だと思っていた。しかし、少なくとも「現在」は地方公務員は国家公務員より給料が低い。

ラスパイレス方式*2という給与比較方法によって一般行政職について比較してみると、国家公務員の給与を100とした場合の地方公務員の全地方団体平均指数は、平成10年4月1日現在で101.3となっており、昭和49年の110.6を最高に50年以降は24年続けて低下し、同指数の算出を始めた38年以来の低水準となっています
地方財政制度研究会「やさしい地方財政」p106

ちと古いので、追跡データを引用しよう。

地方公共団体の給与水準は、ラスパイレス指数でみると全地方公共団体平均(職員数による加重平均)で97.9となっています(前年比2.2ポイント減)。
引用元:http://www.soumu.go.jp/iken/kyuyo.html

 そう、地方公務員の給料は国家公務員より安いのである。
まあ、「物価の安い地方では、当然給与は安くてしかるべき」という批判もあるだろうが、地方公共団体には、東京大阪等の大都市も含んでいるのである!

 では、なぜ、このような言説がまかり通るのか? 1つの理由は、昭和40〜50年代に、国家公務員よりも地方公務員の方が最大10%以上も高かったことが言えよう。その時代の名残から、「地方公務員の給料が高い」と考えられていると言える。*3

まとめ
「よく言われることだから」正しい、「誰かがこう言っていたから」正しいのではなく、
実際のデータを見て確認する姿勢が大切である。

*1:検索して適当に引っかかったのを引用しただけです。悪意はありません。

*2:「高卒、勤続年数等の条件が均一になるように補正した場合に、国家公務員の何パーセントの給料を地方公務員がもらっているか」という算定方法

*3:なお、民間との格差については、今回の本に載っていないこと、比較が困難であることから、本稿では割愛する