アホヲタ元法学部生の日常

連絡はTwitter ( @ahowota )でお願いします。アニメを見て法律を思い、法律を見てアニメを思う法アニクラスタ、ronnorのブログ。メールはronnor1あっとgmail.comへ。BLJにて「企業法務系ブロガー」として書評連載中。 #新人法務パーソンへ #オタク流勉強法 #明認方法 「アホヲタ元法学部生の日常」(ブログ)、「これからの契約の話をしよう」(同人誌)、『アニメキャラが行列を作る法律相談所』(総合科学出版)等。

アニメキャラ住民票とプライバシー

個人情報保護法の知識 (日経文庫)

個人情報保護法の知識 (日経文庫)

 プライバシー権は重要な人権ではあるが、「公人」についてはこのプライバシー権は制限されている。例えば、首相は「首相動静」といって、私生活のほとんどを公開され、「首相官邸*1」といって、どこに住んでいるかまで公開されている。

 なぜ、「公人」にはプライバシーがないのか。ここで参考になる記事があった。

なぜ「公人」にはプライバシーが無いのか、という問題ですが、要するに、彼等は国民の権利を守る立場、国民の福祉を推進する立場に居る訳ですね。逆に言えば、自らの立場を悪用すれば、幾らでも国民の権利を侵害し、国民の福祉を蹂躙できる立場にある。

 だからこそ、プライバシーが無い訳です。基本的人権を制限するものは基本的人権しかない。公人のプライバシーを守ることにより、多くの国民の基本的人権が侵害される懼れがあるので、「公人」のプライバシーは認めていないのです。

 そう考えていくと、例えば公務員の全人格を公人と規定するのには多少問題があるかもしれません。公共の福祉、国民の権利に関係している部分についてのみ「公人」で、それに無関係な部分に関しては「私人」と考えてよいということになります。広辞苑第三版の②の意味は、①の補足としてであれば意味がありそうです。
引用元:http://www006.upp.so-net.ne.jp/takagish/opinion/iitai2000-1/iitai134.htm

 要するに、「国民の権利を侵害しうる」「国民の福祉を蹂躙する」可能性があるからこそ「公人」にはプライバシーがないわけです。要するに「首相が赤坂の料亭で○○と会食」といったことが一切公開されなければ、袖の下をもらい、最終的には国民の福祉を害したりする可能性もあります。現在行われているように、首相のプライバシーが制限され,一般国民が「あ、首相は赤坂の料亭で○○と会食したんだ!」と知ることができること自体が、国民の福祉を守ることになるのです。

 このような根拠を強調すれば、このプライバシー権の制限は「有名税」といった種類のものではなくなるでしょう。「その人」の情報を公開することが「国民の権利」に関連するからこそ、プライバシーが制限されるのです。

 その点、アニメのキャラクター達は不当なプライバシー権侵害を受けている!

例1:鉄腕アトムhttp://www.city.niiza.saitama.jp/news/030411/03041105.php
例2:安藤まほろhttp://kigurumi-ska.com/d/gifts/maho_resident.jpg*2
例3:モリゾーキッコロhttp://www.city.seto.aichi.jp/morikoro.htm*3

 そう、アニメキャラの住民票が住んでいる町によって勝手に発行され、しかも、これを希望者全員に配っているのです!!!首相ですら、首相官邸が住所であることや成年月日位しか分からず、本籍・筆頭者・住民票コード等は秘密になっているのに...。

 また、プライバシー権の成約原理は「その人が人権を侵害しうる立場にあるから」でありますが、アニメキャラが人権を侵害する権力を持ってはいません*4。この人権侵害は不合理そのものなのです。

まとめ
アニメキャラ住民票の発行は、制約目的も・制約手段もどちらも不合理であり、憲法13条の定める各キャラクターのプライバシー権を侵害する違憲な行為である。
アニメキャラ達よ! 国家賠償を求めて立ち上がれ!

追記:ƒRƒ‰ƒ€@VÀŽs–¯E“S˜rƒAƒgƒ€を参考にさせていただきました。ありがとうございました。

*1:100-0014 東京都千代田区永田町2-●-× 03-○●×△-0101だそうです。http://www.pref.okinawa.jp/handbook/No502.htmlの「政府主要機関」だそうですから、別にここにきちんと書いてもいいんでしょうが。

*2:id:g-archives様の巧の技には感動しきりです。素晴らしいと思います!!

*3:http://www.city.yokohama.jp/me/hodogaya/bunyabetu/koseki/touroku11.htmlにある通り、森に帰った(=死亡した)二人については職権で住民票の「死亡」処理がされるはずなのに、未だなされていません

*4:あ! まほろさんは...。