- 作者: 米倉明
- 出版社/メーカー: 弘文堂
- 発売日: 2005/01/01
- メディア: 単行本
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勉強しはじめたばかりの人は(中略)とにかく先へ進み、民法全体のアウトラインをつかんだ後、第二ラウンドとしての、より詳しい勉強の過程で(中略)吟味されたい。どのような学問でもそうだと思うけれども、一歩一歩進み、何度も何度も(まだよくわからない、として)吟味を重ねて、時至ってついにわかるというものなのだ(中略)
民法の勉強についていうと、総則からはじめると、各論がわかりにくいから理解しにくいし、逆に各論を先に勉強すると、総則がわからないから、これまた理解しにくい。結局、どこからはじめてみても、全体を一応にもせよ終わらないと、なかなかしっくり腹にはいらないのだ。わかったところはここまで、わからないところはここだ、と区別をはっきりしておいた上で、先へ進み、やがて立ち戻ってきて再検討してみるより仕方がないのである。
引用元:米倉明著「プレップ民法」p52
このことが示すように、民法を概観するというのは、非常に重要である。しかし、民法は如何せん量が多い。内田民法
- 作者: 内田貴
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2005/08/02
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この点、200ページの新書1冊を読むだけで、民法の全体像がわかるプレップ民法は非常に優れている。しかも、ページ数だけではない。まず最初に一番問題が少ない事例を持ってきて、一度契約締結から履行までを概観した後で、個別の問題について概説しているから、民法全体のアウトラインをつかみやすいのである。
このblogを法律の初学者の方が読んでいるかわからないが、そういう方のために、「基本書だけで民法を勉強するための最短コース」を提案したい。私も、法律を勉強中であり、こういうことをするのはおこがましいだろうが、「学習者としての経験」から、どうすれば一番理解しやすいかという観点から選んでみた。なお、私は研究者になるための学習についてはよくわからないので、「(学部・司法・ロー)試験対策のため」の民法学習だと考えていただきたい*2。
まず、プレップ民法で民法全体を1度概観する。200ページだが、法律の勉強をしたことがない方には、これでもかなり気が重いだろう。とはいえ、「20ページづつ10日」といった精読はお勧めしない。精読は後でいくらでもできる。まずは「民法の流れ」を理解することが目的だから、週末に時間をとって読みきる位の姿勢をお勧めしたい。
- 作者: 米倉明
- 出版社/メーカー: 弘文堂
- 発売日: 2005/01/01
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- 作者: 池田真朗
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2005/03
- メディア: 単行本
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この2冊を読めば、民法の概観を知り、個別の論点についてもざっと理解を深めることができると思う。とはいえ、司法試験・ロー入試レベルの民法のためには、もう1つ、個別の論点についての判例・学説を理解するという勉強が必要である。この「個別の論点についての判例・学説を理解」するためには、多少厚く、量が多い本に頼らざるを得ない。ここでも、内田を挙げない。
- 作者: 我妻栄,幾代通,川井健
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2005/07/01
- メディア: 単行本
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しかし、まだ全巻そろっていない。そこで、総則以外は次善の策ではあるが、ダットサン民法を使うしかないだろう。
- 作者: 我妻栄,有泉亨,川井健
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2005/04/15
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ここまで来れば、民法についてかなりわかっているはずである。後は、目的(択一か、論文か)にあわせて演習書等を読むべきである。
なお、内田民法については、教科書指定されていない限り使用されないことをお勧めする。
- 作者: 内田貴
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2005/08/02
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この特徴は一言でいうとわかりやすそうなところである。ここで「そう」を強調しておきたい。記述は具体例が豊富で、一見わかりやすく見えるが、そこで説かれている内田「説」はかなり難解であり、規範も覚えずらいことが多い。たとえば時効と登記については、判例は、4準則だけ暗記してれば事たるが、内田説であれば、さまざまな場合を想定し、それぞれの場合で利益考慮等をした上で規範を立てているので、理論的にはすばらしいかもしれないが、あてはめにくいこと至極である。これでは、論文*4を書くのが大変である。
また、内田説が相当説得的なので、内田説が正しい(判例・通説)かのように錯覚しがちである。確かに、「申し訳程度」に判例・通説が載っているのだが、読後感としては「内田神!」であって、試験対策としては重要なはずの判例・通説は忘れてしまっていることが、私は多かった(まあ、理解力が相当高ければ大丈夫なのでしょうが)。
このような理由から、原則として、試験対策という側面では、判例・通説を基本とする上記4冊(実際には、もう少しあるが)を使ってレベルを上げることを強くお勧めしたい。
まとめ
プレップ民法→スタートライン債権法→(民法案内)ダットサン
これぞまさに、試験対策としての民法学習の最短コースである!