- 作者: 道垣内正人
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2007/04/13
- メディア: 単行本
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例えば日本人がフィリピン人と離婚する場合に、フィリピン法に従う*2べきか、日本法に従うべきかといった問題が国際私法の問題である。この問題は、法の適用に関する通則法により規定され、例えば日本人の方が日本に住んでいる場合には*327条により日本法に従う(準拠法が日本法)ことになる。
このような国際私法は、民法、商法、訴訟法等の実質法*4と大きく異なる。この違いについて、道垣内教授は、「ポイント国際私法」の中で以下のように論じる。
二次元の平面世界をひたすら歩き回る蟻には空を見上げるという観念自体ない。そのような蟻には三次元の立体世界を飛び回る鳥の世界は決して理解できないのである。
(中略)
二次元世界とは実質法の世界であり、三次元世界とはそれに加えて準拠法決定のルールが存在する世界である。
(中略)
実質法がそれ自体無限の広がりを持つ1つの平面上で秩序を構築しているのに対し、国際私法は、鳥のように飛び回り、単位法関係ごとに準拠法を決定し、それらをつなぎ合わせて適用していくことによって国際的な私法秩序を構築するという役割を果たしているのである。
(中略)
準拠法決定ルールは、異なる平面である各法域の法律のいずれを適用するかを決定するという役割を担っている。この違いはまさに雲泥の差である。
道垣内正人「ポイント国際私法(総論)」p32以下より引用
二次元世界を生きるアホヲタの私が国際私法を苦手とするのは当然のことなのだ!
まとめ
国際私法を理解するには、二次元世界(それぞれの法域における実質法の世界)だけを見ているのでは不十分であり、三次元の新たな視点を加えて、それぞれの法律関係にどの実質法を適用するかを考える必要がある。このような新たな視点が必要であり、かつ実際の議論内容がほとんど「新たな視点のみ」*5である。これらが、国際私法がとっつきにくい理由であろう。
「ポイント国際私法」はこのことを教えてくれる*6レベルが高いがエキサイティングな参考書*7である。