アホヲタ元法学部生の日常

アニメを見て法律を思い、法律を見てアニメを思う法アニクラスタ、ronnorのブログ。頻繁にツイッター(@ahowota)に出没しております。メールはronnor1あっとgmail.comへ。BLJにて「企業法務系ブロガー」として書評連載中。 #新人法務パーソンへ #オタク流勉強法 #明認方法 「アホヲタ元法学部生の日常」(ブログ)、「これからの契約の話をしよう」(同人誌)、『アニメキャラが行列を作る法律相談所』(総合科学出版)等。

『若手弁護士からの相談』シリーズ第三弾出版の宣伝&若手弁護士・若手法務パーソンのための難局を打開するための5つのポイント

『若手弁護士からの相談』シリーズ第三弾出版の宣伝&若手弁護士・若手法務パーソンのための難局を打開するための5つのポイント

 

これは法務系Advent Calendar 2022の2日目の記事です!

adventar.org

 主催者のkanegoonta様からバトンを引き継ぎました!

 

kanegoonta.hatenablog.com

 

 第1 『若手弁護士からの相談』シリーズ第三弾出版の宣伝


 『若手弁護士からの相談』シリーズについては皆様にご好評頂き、2022年には私(Ronnor)も主要メンバーに入れて頂き、第二弾である『若手弁護士からの相談203問』を出版することができた。

 

ronnor.hatenablog.com



この度、2023年初頭に『若手弁護士からの相談』シリーズ第三弾を刊行することになった!第三弾においては、京野先生とRonnorという第二弾のメンバーのみならず、dtk1970先生に加わっていただくことで、より強い布陣で臨むことができたと考えている。


 元々、2022年のリーガルアドベントカレンダーでは、若手弁護士・若手法務パーソンのため、『若手弁護士からの相談374問』『若手弁護士からの相談203問』では解決できない課題、主に法律以外の課題を解決する方法を説明する原稿を書こうと考え2022年の正月休みに法務の大先輩であるdtk1970先生にレビュー頂いていた。

 しかし、それが相当まとまった原稿になったことから、『若手弁護士からの相談203問』で大変お世話になった京野先生にご相談させて頂き、出版社にお願いしたところ、企画を通して頂いた。概ね「『若手弁護士からの相談374問』『若手弁護士からの相談203問』では解決できない課題、主に法律以外の課題を解決する方法をQ&A形式で説明する」本であるが、具体的なタイトルや詳細については、来年別途告知させて頂きたい!

その上で、以下では若手弁護士・若手法務パーソンのための難局を打開するためのポイントを5つ紹介したい。以下の内容は、第三弾の内容を簡略化したものであり、より詳細な説明は第三弾の書籍版を乞うご期待!!

 



 第2 若手弁護士・若手法務パーソンのための難局を打開するポイント5選



1 はじめに

 若手弁護士・若手法務パーソンは、頻繁に難局に直面する。この難局の打開のポイントを5個挙げたい。

 2 依頼者に「黒を白にしろ」と言われた(弁護士向け)!

弁護士にとって、「黒(違法)に対し白(適法)意見を書け」という依頼者の依頼は頭が痛いだろう。

 企業法務を前提とすると基本的には、「誰が『黒を白にしろ』と依頼しているか」がポイントになる。①依頼者の法務として難しいと分かっているもののビジネスが要求している場合と、②法務としても適法意見を欲しい場合である。

 ①法務として難しいと分かっているがビジネスがそのようにいうので依頼する場合は、ビジネスがこだわっているところ、法務限りで「止める」と法務が「悪者」になってしまう等の状況があり得る。そうであれば、弁護士としては、法務が「悪者」にならないようにサポートすればいい。典型的には、ビジネスと法務と顧問弁護士の三者の会議を設定し、法務として「是非是非適法にして欲しい」と食い下がるものの、顧問弁護士がそれを拒むというような演出をする方法が考えられる

 より難しいのは、②法務としても適法意見を欲しい場合である。例えば、法務は「白でない」でことは理解しているが、それでもなんとかビジネスを進められる旨の意見が欲しい場合がある。その場合の弁護士の立場は、具体的なリスクを踏まえ、最後は会社のご判断です」ということさえ憚れるかを判断すべきことになる。白ではない理由、それがもしブラック(違法)と公式に判断された場合のリスク等を検討することになる。例えば刑罰法令にも触れる内容で、そのようなことを行えば、会社のレピュテーションが大きく下がる場合、場合によっては直接面談の上で、その旨を言葉を尽くして説明するしかないだろう。

 3 依頼部門・依頼者に迅速対応を迫られている(弁護士・法務パーソン双方)

 依頼部門・依頼者から迅速対応が求められ、「もっと早く」「もっと早く」というプレッシャーに悩んでいる人も多いだろう。ポイントは真の意味のスピードは一定の時間がかかる反面、「スピード感」があればある程度満足してもらえるということである。

 そもそも、依頼事項や質問内容に関する専門知識が今自分の頭にあれば、それをそのまま回答することで、実質的な回答を迅速に行うことができる。これが真の意味のスピードの話である。しかし、そのような真の意味のスピードを一定以上早めることは困難である。例えば、一定以上専門的であれば別の人(先輩・上司や法務パーソンであれば顧問弁護士)に聞く必要があるだろう。

 これに対し、「スピード感」はこれとは異なる。依頼者・依頼部門として、長期間放置されたと感じてストレスを受けたりイライラすることはよくある。そこで、受領した旨をすぐに伝えるだけで、かなり好感度が上がる。この場合、なすべき対応の内容と期限の明示を行い、今後あり得る事柄(不明点の確認等)を明らかにして、「ロードマップ」を示す。
 この場合、以下の3点が重要である。
 1つ目は、直ちに上司と対応を協議すべきではないかの確認をすべきである。「超ヤバい案件」が「しれっ」と若手法務パーソンのところに来ている場合、普通に「レビューしておきますね」というべきではない。まずは上司と情報を共有すべきである。
 2つ目は、本当に作業が開始できるだけの材料が揃っているかの確認をすべきである。成果物と期限と費用を事前に確認することが基本であるが、レビューの対象の契約書や資料等を全て受領したか(添付漏れとか「引用された見積書・約款等がない」等の確認、スキャンミス(例えば両面印刷の資料の片面しかスキャンされていない)によるページ抜けの有無の確認)、ファイルにパスワード等が掛かっていないか(納期直前にパスワード送付をお願いすることの「気まずさ」と言ったら…。)、メールの下の方が文字化けしていないか(「以下のやりとりをご参照ください」といわれて最初は読めても、下の方が文字化けしているパターンがある)等も確認すべきである。
 3つ目は、誤送信等の単純ミスを避けるということである。例えば、CCのところに間違った人が入っている場合にそのまま返信すると自分自身もまた「誤送信」をしたことになりかねない。

4 答えがない問題に対する答えを求められる(弁護士向け)

 例えば、新しい問題で判例等がない場合等が「答えがない」問題の典型である。この場合、依頼者の意図として、①ある意味では答えがある場合、②依頼者も答えがないと知らない場合、及び③答えがないと分かった上で質問をしている場合に分かれるだろう。

 ①ある意味では答えがある場合として、「白か黒か」という意味でクリアに答えが出なくても「グレーの濃さ」は示すことができる場合が挙げられる。例えば「特定のビジネスモデルのままだとグレーの色が濃いが、それをこう修正すると、かなり白に近くなる」といった対応が可能なことがある。そこで、依頼者には「グレーの濃さ」を示す程度しかできないがそれで良いかを確認し、進めるべきであろう。なお、それが本当に「新しい、答えのない問題」である限り、「真っ白」という回答は難しく、せいぜい「(ビジネス判断として受容することも考えられる程度に)白に近いグレー」であるという回答しかできないという点には留意が必要である。

 ②依頼者として答えがないと知らない場合として、依頼者が、答えがあるとか、その先生なら答えを見つけてくれると誤解している場合が挙げられる。この場合、できるだけ早い時点で、そのような依頼者の期待する「答え」を見つけることは難しい旨を伝えるべきだろう。

 ③答えがないと分かった上で質問をしている場合とし、弁護士の先生に尋ねたものの、弁護士の先生もわからなかった」という答えを期待している場合が挙げられる。例えば、経営者が法的に到底不可能なことを可能にする方法があるはずだ等の無理難題を言うと言った際に、法務部門として顧問弁護士に「そのような方法はない」という回答をもらい、経営者を説得することもあるだろう。この場合でも、依頼者に対し、そのような趣旨の質問なのかを確認するのが良いだろう。

 5 法務・弁護士が「大丈夫」と言った等、言った言わないのトラブルを避けるには(弁護士・法務パーソン双方)

 言った・言わないというトラブルはよく見られる。このリスクを回避する方法としては、コミュニケーションの内容をメールやビジネスチャット等の後に残る方法で共有することが考えられる。

 すなわち、対面、電話、Web会議等でのやり取りについては、会議議事録等が作られることもあるが、そのようなフォーマルな記録が毎回作成されるものではない。そのような記録がない場合に、後から「この会議で大丈夫と言われた」等と、身に覚えがないことを言われることがある。

 実務上、ある事項について相談を受けてから、関連相談がかなり後から来ることもあり(ビジネスモデル相談から契約レビューの依頼まで時間がかかる場合や契約段階で相談を受けた後、しばらくしてトラブルになってから相談を受けることもある)、その際に、「かつてこのような適法意見を頂いている」等と言われて戸惑うこともままあるところである。

 そのようなトラブルに対する対応としては、会議等の直後にコミュニケーションの内容をメールやビジネスチャット等の後に残る方法で共有することが考えられる。例えば、会議中に要旨をメモしておいて、それをメールやチャット等に貼り付けて「本日の議事メモです」と言って送っておけば、後で問題となってもその記載こそが自分を助けてくれる「証拠」になる。

 その際は、後から検索しやすい標題にする等の工夫が重要である(チャットの場合には後からの検索に難があり、このような目的を実現する上では各チャットアプリの仕様に応じた工夫が必要である)。また、自分の手元にメモをしておくことも一定程度有用ですが、相手との共通認識を形成して誤解を避けるという意味では、手元のメモよりも相手にメールやビジネスチャット等で送付することが望ましい。



6 会社・事務所におけるキャリアの発展の見通しが暗い(弁護士・法務パーソン双方)

 このような悩みを持つ弁護士・法務パーソンは多いが、自分が要求と期待に応えやすいところに行く可能性を持つために、特に転職を考えていない現段階から市場価値を考えるべきである。
 すなわち、会社・事務所で高い評価を得るためには、現在の要求と将来の期待が重要である。しかし、会社・事務所が要求し、将来的に期待することと、自分自身がやりたいことが本当にマッチするか、というのは常に存在する重要なリスクである。自分でチャンスをもらうために頑張ることで改善する余地はあるが、100%思い通りのキャリアになることはないだろう。加えて、いわば「評価者ガチャ」のように、評価者が変に偏ったりする危険があり、そうすると、これまで頑張って評価を高めてきたにもかかわらず、「新しい上司が異動してきてゼロ評価になる」といった場合もある。

 だからこそ、「今の場所における現在の要求と将来の期待に応える」という選択と「場所を変えて自分が要求と期待に応えやすいところに行く」選択を常に比較し、熟慮の末、場所を変えた方がいいと思えば、変えるべきである。そして、そのような選択をしやすくするため、特に転職を考えていない現段階から、会社外・事務所外の価値(市場価値)を考えるべきである。
 例えば、自分が付加価値を上げたつもりが、その付加価値というのが、今の勤務先でしか有用性のないものだったとしよう。例えば、直属の上司が気難しい人で「その上司の機嫌を取る」ことで価値を上げるといったものである。しかし、それは残念ながら他社では通用しない。そのような他社で通用しない能力だけを高めた場合、市場価値はゼロと評価されるかもしれない。だからこそ、社内の価値と社外の価値を双方上げることが大事である。市場価値を上げ、いわば「逃げ道」を作っておくことで、精神的にも安定できる、という効果も期待できる。
 なお、「熟慮」が必要だ、ということは逆説的に言えば、「正常な熟慮すらもできないような環境」は辞めるべきだ、ということも意味しする。例えば、忙しくて転職を考える時間もない、と言った場合、「石の上にも三年」のような、昭和の考えを励行するよりは、「逃げる」方がいいことが多いだろう。

 

法務系Advent Calendar 2022には裏もあります。

adventar.org

本エントリの「裏」として、dtk1970先生が記事を書いてくださっています。

dtk1970.hatenablog.com

客観的事実関係に概ね争いはないものの、評価については争い(dtk1970先生の買い被り過ぎ?)がある事案、と評することができるのではないでしょうか。

 

そしてdtk1970先生こそ、法務系Advent Calendar 2022の3日目の担当者でもあります。裏から表と、2日連続で大変ですが、頑張ってください!!