アホヲタ元法学部生の日常

アニメを見て法律を思い、法律を見てアニメを思う法アニクラスタ、ronnorのブログ。頻繁にツイッター(@ahowota)に出没しております。メールはronnor1あっとgmail.comへ。BLJにて「企業法務系ブロガー」として書評連載中。 #新人法務パーソンへ #オタク流勉強法 #明認方法 「アホヲタ元法学部生の日常」(ブログ)、「これからの契約の話をしよう」(同人誌)、『アニメキャラが行列を作る法律相談所』(総合科学出版)等。

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特別寄稿〜あゆあゆの「鯛焼問題」についての新たな考察 - アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常
D.B.E三二型様にご紹介いただきました。どうもありがとうござました。
>閲覧者ほったらかしで大笑いしながら頷いてますがそんなことやってる余裕すらないことに気付く春の宵。
 このサイトのエントリが先輩の勉強の息抜きになれば幸いです。ありがとうございました。
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ここに、再度、上記エントリに寄稿してくださった「名無しだよもん」様に謝意を表します。

銀行実務でもやはり基本は民法

銀行の法律知識 (日経文庫)

銀行の法律知識 (日経文庫)

 この本は、預金、与信業務等の旧来からあった業務から、M&A業務、投資業務等新たな業務まで、銀行の様々な業務において発生する様々な法律問題について、最新の法改正を取り入れながら平易に語る本である。

 この本の3大特徴は、広い守備範囲適度な深さ最新情報である。



・広い守備範囲
 とにかく、銀行の業務となりうるほぼ全範囲について発生する「法律問題」について書かれている。預金業務、為替業務、与信業務といった旧来の業務のみならず、投資業務、銀行代理業等の新しい法律問題についても書かれているので、この1冊で「銀行がどんな法律問題を抱えているか」を知ることができるのはうれしい。



・適度な深さ
 本書は、新書版で200ページ、しかも対話形式なので、非常に細かい話は書かれていない。だから、「この本1冊で全ての銀行の法律問題に対する回答が与えられる」訳ではない。しかし、だからといってごく浅い部分をすくっただけの薄っぺらな本ではない。
 私が興味を持ったのは、為替業務の項であった。為替取引は、判例*1によれば「顧客から遠隔地間で直接現金を輸送せずに資金を移動することを内容とする依頼を受けて、これを引き受けること、またはこれを引き受けて遂行すること」である。
 よくわからないかもしれないが、例えば振込み、送金等であり、振込みであれば、客が銀行に「○○銀行××支店の△さんの口座に1万円を振り込んでください」と依頼し(資金移動の依頼)、これに銀行が答えて○○銀行××支店の△名義の口座の残高を1万円増やす(引き受けて遂行する)わけである。そして、この為替業務は銀行法2条2項2号により銀行しかできない。
 だから、例えばAという人が、銀行免許を持たずに、「客がAの口座に1万円を振り込むと、Aが兄の韓国在住のBにファックスをし、BがB名義の口座から客が指定する人の口座に1万円(相当のウォン)を送る」ということをやっていると、これは銀行法違反の違法行為なのである(地下銀行事件)。
 そして、この本では、クレジットカード取引、プリペイドカード取引、コンビニの公共料金集金代行等は為替取引であり、銀行免許がないのにこれらの取引をするのは違法はないかという問題を提起し、この問題に答えている。ここでは、結論として「為替取引ではない」とされているとだけ述べ、その詳細は本書を読んでもらいたいが、このように本書は面白い所は適度に厚く論じられている本であり、学ぶところが大きい。
 また、適度な深さの対話形式であるから、比較的理解しやすい。法律用語がかなり出てくるが、難しい用語には注釈がついており、民法の講義を大学で聞いた人であれば、大体理解できるのではないか。


・最新の改正情報
最新といっても、平成18年7月刊行であり、刊行後の新規立法には対応していない*2が、平成17年までに行われた、金融分野の「フリー」「フェア」「グローバル」をキーワードとする大規模な法改正について、銀行の各業務毎の解説がなされている。下手な解説書を読むよりは、これを読んだほうが、コンパクトでかつ重要なところがわかる。


 このような特徴から、この本は銀行員志望者にとって非常におすすめである。法務部希望者はもちろん、そうでなくとも、これを読んでおけば、大まかな法律問題の問題の所在は分かるようになるし、自分の業務についての専門書を読む上での予備知識として不可欠なものは大体この本に書かれている。
 また、ビジネスローヤーを目指す学部生・ロー生にとっても、銀行が顧問先になったり、訴訟の相手になった場合には、どういう法律問題が生じるかを知る上で、この本は非常に有効だろう。
 私は実務はよくわからないものの、*3「広告を作るときに注意すべきこと」等、以外と厳しい銀行の法規制がわかりやすく書かれているので、法務部以外の銀行員のみなさんにとっても、役に立つ内容が多いと思われる。

 私がこの本を読んで最も印象に残ったことは、基本的な民法が一番大事だということである。よく民法の教科書に銀行の事例が書いてある相殺や準占有者への弁済の規定はもちろん、代理権、行為能力、占有改定、債権者代位訴訟等々の基本的な民法概念をきちんと理解していないと、銀行の法律問題が全然解けないことが分かり、基本の重要性を強く感じた。

まとめ
 「銀行の法律知識」は、銀行業務全般の最新の法律問題を対話形式でまとめた良書である。銀行就職希望者はもちろん、弁護士を目指す学生・ロースクール生にとってお勧めである。
 この本は、我々法律家の卵に「最先端の銀行法務の前提は、民法の基本の習熟だ」と教えてくれる。

*1:地下銀行事件判決、最判平成13年3月12日

*2:グレーゾーン金利撤廃は、法改正の動きがあるという形で紹介されている

*3:銀行法務部の方にとっては、当たり前の内容ばかりかもしれないが