アホヲタ元法学部生の日常

アニメを見て法律を思い、法律を見てアニメを思う法アニクラスタ、ronnorのブログ。頻繁にツイッター(@ahowota)に出没しております。メールはronnor1あっとgmail.comへ。BLJにて「企業法務系ブロガー」として書評連載中。 #新人法務パーソンへ #オタク流勉強法 #明認方法 「アホヲタ元法学部生の日常」(ブログ)、「これからの契約の話をしよう」(同人誌)、『アニメキャラが行列を作る法律相談所』(総合科学出版)等。

LION BOLTのステマっぽいけどステマじゃないエントリ

法律書沼にハマる!? 法律書横断検索サービスLION BOLT

 

 

1. リサーチ系リーガルテックに新鋭現れる!?
これまでのリサーチ系のリーガルテックというのは、主に法律書サブスクサービス等が念頭に置かれていた。特に、コロナ禍によって、我々法務が在宅勤務を余儀なくされる中、このような法律書サブスクリプションサービスは、極めて不十分*1ではあるものの「ないよりまし」という感じであった。
ここに突如として、新しいリサーチ系のリーガルテックが登場した。これがLION BOLTである。

lionbolt.jpすごく簡単に言えば、著作権法の改正により、所在検索サービスが著作権者の同意を得ずに実施可能となり、検索キーワードとして入力した単語が含まれるのはどの書籍の何頁かが分かるサービスが適法となったと言われている*2。これを法律書分野で具体的に実装したものが、このLION BOLTである。


2. 「一芸集中型」サービス

 このサービスの特徴は、ひたすら「一芸集中型」である。つまり、リーガルリサーチのとっかかりである「どの本の何頁を見ればいいか」について最強の効果を発揮するが、逆に言えば、それ以外は事実上何もやってくれない。


 つまり、このサービスにおいては、3000冊の書籍を著作権法上の例外(権利制限規定)に基づきスキャン・OCR化して検索可能としている。そこで「検索」自体はできる。しかし、例えば「法律学小辞典」をOCR化し、単語を検索するとその項目が表示されるというサービスだと、「態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合」という著作権法47条1項柱書の要件を満たせないだろう。そこで、スニペット*3は最小限しか表示されず、あくまでも「この本を持っている人は、自分の本の●頁を開いてください」「持っていなければ至誠堂書店、Amazon及び出版社のリンクをつけておいたので、リンクをクリックして買ってください」という形で「別途自分でその書籍を買うことを前提としたサービス」となっているのである。

 

 法律書サブスクリプションサービスは、いずれも収録冊数が数百冊からせいぜい1000冊程度であって、調査の網羅性という意味では全くお話にならない。これに対し、3000冊以上というLION BOLTは、「やっと調査ツールとしてまともに使えるようになる」というレベルである。(もちろん、将来的には書籍・雑誌をあわせて最低でも1万冊は欲しいところである。)その意味では、「初めてリサーチ系リーガルテックで『使える』ものが登場した」と言っていいだろう。


しかし、上記のとおり網羅的に読むべき本とその頁数が分かるという「一芸」に特化したLION BOLTは、自分の手元に検索対象の書籍のほとんどがある状況の人*4であれば有益であるが、そうでないと「どうやってその本を調達するか(ロジスティックス&お金)」という問題が生じてしまうところ、LION BOLTはこの問題を解決してくれないのである。基本的には、どうもこの本の●頁を見ればリサーチで調べていることの「答え」が書いていそうだ、と分かれば書いたくなるし、LION BOLTにはアマゾン等へのリンクもあることから、「ユーザーを法律書沼に突き落とす」サービスという評価も可能かもしれない。

 

3. 「β版」としてのオススメ度の高さー「リサーチ革命」の実現
 2021/10/31までLION BOLTは「ユーザ登録さえなしに」試用可能である(但し、10以上の検索結果が出た場合の11番目以降の閲覧等は試用アカウントを作成する必要がある)。
 リサーチの網羅性を合理的な範囲で確保できるというLION BOLTサービスの効用に鑑みると、とりあえず「気軽に試してみる」、という価値は絶対にあり、是非適当なキーワードを入れて試すことをオススメしたい。特に「それだけ」をテーマにした書籍ができるにはまだまだマイナー・マニアックなキーワードでも、LION BOLTで検索すると10冊とかそれ以上の本が出てくるので、リサーチ漏れが防げるのは素晴らしいと言える。

 私が約1週間LION BOLTを試用した結果、「文字通りの「リサーチ革命」が起こったと感じるのは、以下の調査方法である。

 

LION BOLTで検索

   ↓

「この本の●頁に『答え』があることが判明」

   ↓

LION BOLTのAmazonリンクからAmazon商品サイトに飛ぶ

   ↓

Kindle本がある

   ↓

Kindle本を購入しダウンロード、該当頁を表示

   ↓

前後の文脈を踏まえて引用(なお、Kindle本のうちコピーができるものの場合、コピーをすると勝手に書籍名等をあわせて引用してくれる)

 

この方法では、リサーチが爆速で完了し、ただただ驚異的である。もちろん、この「リサーチ革命」にはデメリットもある。つまり、次々と新しいKindke本を購入することになり、目の玉が飛び出るほどお金がかかる、ということであるが。。。

 

 4. 「正式版」に向けての提言

 このように LION BOLTは少なくとも無料で使える「ベータ版」としては極めて強くお薦めすることができ、また、正式版に期待している。そして、期待の裏返しとして、以下の提言を行いたい。

 ただ、大量に検索結果が出るキーワードだと10個しかない大きなジャンルでドリルダウンするか、雑誌ばかりが出る場合に「書籍のみ」を選ぶかくらいしか*5できないので、この辺りは、「出版日順」とか「定評のある順」とか「関連度順」といった検索方法の機能向上が望まれる。後はコンメンタール・逐条解説だけから検索する、「コンメンタール検索」等もぜひ実現してほしい。
 また、基本的には、自分の本棚を探すかネットで購入することを想定していると思われるが、真の意味で利便性を考えるなら、Amazon法律書サブスクサービスと提携して、自分のkindle上に既にあるとか自分が加入している法律書サブスクサービスで閲覧できるとかであれば、理想的にはそこにワンクリックで飛べるとかであると最高であろう。また、出費の可及的な軽減という意味ではカーリル*6等図書館DBとの連携も望ましい*7
 なお、雑誌が判タ、法セ、法時、後はジュリスト位しか検索対象になっておらず、いわゆる学術的リサーチをするという観点からすると圧倒的に不足している。その意味では、やはりビジネスユース(企業法務部門と法律事務所)を念頭に置いているのだろうと思われるが、反面、ビジネスユースなら、商事法務、ビジネス法務、NBL、BLJ、金融商事法務等入れるべき雑誌がまだまだあるだろう。また、新たにスキャンすると大変ということであれば、(玉石混交ではあるものの、)オープンアクセスの論文を検索対象に追加した上で、クリックすると元の論文のURLに飛ぶようにしてはどうだろうか。これだけで数千本の論文が追加で収載可能と思われる。

  更に、インタフェースはパソコンならまだしもスマホだと非常に見にくい。スマホで検索し、図書館や書店で探して買う、という方向性を考えているのであれば、スマホ対応は必須である。

 上記のとおり「β版」としてのオススメ度は高い。ただ、正式版は毎月2980円である。Amazonと提携して、Amazonのprimeに入っているとそこにLION BOLTの費用が含まれるとかであれば全然OKであるが、本当に毎月2980円の価値があるか、10月31日まで引き続き利用を継続して慎重に判断したいところであるし、読者の皆様にも是非ご試用の上、ご判断頂きたい。少なくとも「試用の価値」は絶対にあります(断定的判断の提供 *8 )!

 

 

*1:数百冊の本しか読めないなんて、全然リサーチにならないですよね?

*2:「デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な 権利制限規定に関する基本的な考え方」(https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/h30_hokaisei/pdf/r1406693_17.pdf)、特に20頁以下参照

*3:最決平成29年1月31日民集71巻1号63頁でいうところの「抜粋」

*4:私の個人的な体感だと約7割はeasily accessibleであるが、逆に言うと「残り」は事実上買わざるを得ないのでお財布が辛い…。

*5:なお「本棚」機能は、要するに既に手持ちの中から探したいというニーズに合わせて限定した範囲で検索できるということだが、それではリサーチの網羅性が保てないので、あまり意味はないだろう。

*6:https://calil.jp/

*7:なお、この辺りは、同サービスのアドバイザーである弁護士の先生の「態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合」という著作権法47条1項柱書該当性に関する判断にもよるところで、買ってもらうor既に買っているならOKだが、借りさせるのであればOUTという判断もあり得るかもしれない。

*8:なお、私は消費者契約法5条に該当しません。

#杉原千畝プロジェクト 第4弾 『新・弁護士の就職と転職』を読む

 

#杉原千畝プロジェクト 第4弾 『新・弁護士の就職と転職』を読む

 

新・弁護士の就職と転職――キャリアガイダンス72講

新・弁護士の就職と転職――キャリアガイダンス72講

  • 作者:西田 章
  • 発売日: 2021/01/06
  • メディア: 単行本
 

 

 

 

1. はじめに

 

 「 #杉原千畝プロジェクト 」、すなわち、ブラック法律事務所から、可哀想な被害者であるイソ弁を救済するプロジェクトに関する、3つのエントリは、望外のご好評を頂いた。


ronnor.hatenablog.com

 

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2.超有名就職・転職本

 なんと、この本の旧版を本ブログでも書評していた。15年以上ブログ活動を続けていると、こういうこともある。

 

ronnor.hatenablog.com

その中では、

「弁護士の就職と転職」は毀誉褒貶ある本であるが、
弁護士のキャリアに関し、示唆的な情報を含んだ本という意味で、一読に値する。

弁護士の就職と転職 - アホヲタ元法学部生の日常

と結論づけていた(すっかり忘れていた!)。

 

 その本書が、司法改革の失敗を経て、様変わりした弁護士の就職・転職の最新事情を語る『新・弁護士の就職と転職』として新登場したのである。

 

 

3.西田弁護士の語る「緊急避難的転職」

 #杉原千畝プロジェクト との観点で、本書の最も読ませる部分は、「緊急避難型退職」を語る第40講である。

 

激務とパワハラは、心身を損なうリスクがあるので、入所3ヶ月でも、1ヶ月でも、真剣に転職を考えたほうがいい。(中略)

「このペースで働き続けるのは無理だ」とか「この高圧的な指導には絶えられない」と感じたら、緊急避難的に「今の環境から逃げ出すこと」を最優先して転職活動をするのは正解である。中長期的なキャリアよりも、まずは、穏やかに仕事ができる環境の確保を優先すべきである。

西田章『新・弁護士の就職と転職』83-84頁(強調引用者)

 

 本書の論旨は「死ぬな! 逃げろ!」という杉原千畝プロジェクトのメッセージとも同一と言え、弁護士のキャリアの第一人者と認識が共有できていることがわかったというだけでも、本書を購入した意義はあった。

 

4. 心身を損ねたら終わりなのか?

 ここで、本書を読んだのはもう少し前であった。しかし、読書直後にエントリをアップできなかった。その理由は、同時に本書がドキッとすることを書いていたからである。以下引用しよう。

 

残念ながら、心身を故障した経歴が知られると、採用選考にネガティブに働く。許されるべきではない慣行であるが、採用側に「うちにきて、再び、体調を崩されては困る」という心情が芽生えるのは避けられない。

西田章『新・弁護士の就職と転職』83-84頁

 

 

 この論旨としては、まさに現在進行形でパワハラを受けている被害者に対し「早く逃げろ」と、早く逃げることに強いインセンティブを掛けるためのレトリック的なものと理解される。そして、そのレトリックの限りでは、理解可能である。

 

 

 とはいえ、現に、パワハラ事務所で心身を故障する人も存在する。詳細は【禁則事項!】だが、私自身も心身を故障した経歴がある。しかし、なんだかんだいって、現在幸せに働けている。

 

 

 確かに、ダメな事務所が、心身を故障した経歴がある弁護士は門前払いすると言っているという状況が存在し得ることは想像に難くない(「軟弱者は要らん!」的なイメージがすぐに思い浮かぶ)。しかし、そういう事務所は「こちらから願い下げ」なのであって、優良な転職先は、一度心身を故障しても、その後回復していれば、(場合によっては裏で起案専門、最初は顧客対応なし等のいわば「リハビリ勤務」等の措置を講じた上で)採用してくれる*1

 

 もちろんこのエントリを、「心身を壊してもいくらでも転職できるから、心身を壊す限界までブラック事務所に居続けていいんだ」と誤読されると、それは心の底から心外である。 #杉原千畝プロジェクト は、ブラック事務所からの可及的速やかな退職を強く奨励している。もっとも、これはいわば「予防法務」と「紛争解決法務」の話であって、予防法務的に、「心身を一度壊すと大変だから速く逃げろ」と言うことは、同時に、紛争解決法務的に「現に心身を壊してしまっても、再起は可能だ、だからまずは治療に専念しろ」と言うことと矛盾しないはずである。

 

 

 その意味では、本書がやや予防法務を重視して、現在進行形でパワハラを受けている弁護士に強いメッセージを出そうとするあまり、紛争解決法務的な、既に心身を壊してしまった弁護士にはやや誤解を招く記載となっていることはいただけないだろう。

 

 

5. その他

 その他、本書に関しては、以下のツイートから始まる連ツイで、主に就職活動関係の記載の練度の低さを指摘している。

 

 

 この点については、dtk大兄先生が、 #杉原千畝プロジェクト にからめてエントリにまとめてくださった。

 

dtk1970.hatenablog.com

色々な意味でストレスのかかる職種ということもあり、うまく行かない事例はそれなりにある。その意味で、一旦何かがおかしくなったときの危機管理は重要なところ。この点については、二次妻・無双御大こと、@ronnorさんの#杉原千畝プロジェクト、が参考になると思う。逃げ方、逃げるべきタイミングを視野においておくことは重要だろう。

新・弁護士の就職と転職――キャリアガイダンス72講 / 西田 章 (著) - dtk's blog(71B)

 

 今後とも、 #杉原千畝プロジェクト として、広報活動を続けていきたい。リツイート等でご協力頂けると大変ありがたい。

*1:なお、本書でも言及があったが、一般には企業の方が間口が広い。

法務の私が”即レス”をする前に裏でチェックしている3つのこと

法務の私が”即レス”をする前に裏でチェックしている3つのこと

 

 

 

1.今年一番感動したブログ

私が、2021年に読んだ中で、「一番感動した」ブログ記事がこちらの「法務の私が"レスが早い"と言われるために裏で頑張っている3つのこと」である。

 

note.com

この記事は、サメ好きな「法務のいいださん」こと飯田裕子さんが、自分の仕事のノウハウを惜しげもなく開示してくれるものであった。

 

 

 思わず、大絶賛の引用リツイート*1をしてしまったが、もし自分が今IT系スタートアップ法務にいれば、必ず「法務のいいださん」と同じことをやるだろう、と強く確信するエントリであった*2。なお、読書はインデックス*3作り、というのは、既に私も実践している*4

 

  ユニークなご経歴をお持ちで、現時点で純粋な法務そのものは半年、ということであるが、「人生何回目ですか!?」というレベルのスゴ技が披露されているので、全ての法務パーソンは、参考にすべきである。

 

 

 さて、私も「即レス」派法務パーソンとして、色々なノウハウを蓄積しているが、「いいださん」のエントリに強く啓発され*5、今回は、以下のエントリの続きという意味も込めて、法務ノウハウの共有の趣旨で、「即レス」前の留意点を3つ挙げてみたい。

 

ronnor.hatenablog.com

 

2.「即レス」と「お客様満足度」の向上

今は、ベンチャーでかなりスピード感のある弊社でも、「法務は熱量がすごくてレスが早い」「爆速チェック」「次にもし転職したら、次の会社の法務のレスが絶対遅く感じて困りそう」という評価を社内メンバーからもらっています。これ、すごく嬉しい。

法務の私が"レスが早い"と言われるために裏で頑張っている3つのこと|法務のいいださん|note

 

 基本的に、私は某弊社において、法務の中の評判はともかくとして(笑)、いわゆる「お客様部門」である社内の事業部門や法務以外の管理部門の評判は悪くないと思われる。その一番の理由はスピード感がある対応であり、原則として「即レス」して回答してしまっていることがあり得るだろう。

 

 ここでいう「即レス」には2つの種類のものが存在することに留意されたい。

 

 1つ目の即レスは、「YES」「NO」「このリンク先のとおり」等の、簡単な回答がすぐに(概ね5分以内に)帰ってくるというものである。例えば、「うちの会社って、契約する時、社長じゃなくて、営業本部長(仮)の印鑑でよかったでしたっけ?」等、定型的によく質問される事項(なぜか担当者は焦っていて、早く回答を欲しがっていることが多い)がある。

 

 そういう「定型的な質問事項」に対する回答は、それを毎回個別に回答を考え、ポチポチ打ち込んでいると到底5分とかでは対応できないものの、各社のイントラネット*6上にアップしておけばいいわけで、このURLを付けて「即レス」で返信すると、ビジネスサイドからは、かなりありがたがられます*7

 

 同じようなやり方のツイートが最近バズっていたので、ご参考まで、ご紹介します。私の、メールで即レス回答法と、法律相談においてフリップを示して説明のいずれがベターかは「それが法律相談をするほどの内容か」、にもよるとは思いますが、基本的な発想は同じだと思います。

 

 

 

 そして「即レス」の2つ目は「とりあえず受領したよ」という趣旨のレスを、メール受領後概ね5分以内に返すことである。

 

XX様

 法務部(仮)のアホヲタろなー(仮)でございます。ご連絡ありがとうございます。

 ご依頼いただきました「業務委託契約書」につき法務でレビューし、できるだけ早くご回答致します。来週●曜日目処でよろしいでしょうか。

 なお、レビューの過程で不明点等ございましたら、ご連絡させて頂くこともあろうかと存じますので、何卒よろしくお願いいたします。

 

 基本的には、依頼への感謝、なすべき対応の内容と期限の明示を行い、今後あり得る事柄(不明点の確認等)を明らかにして、「ロードマップ」を示すという内容であり、慣れれば5分で回答が可能であろう。

 

 こういう回答がすぐに帰ってくると、実際のレビュー結果が帰ってくるのが(特に法務内の上司による確認というフェーズが必要な場合)1週間後とかそれ以降であっても、顧客満足度という意味での「スピード感」は速いと感じてもらえるので、是非励行すべきである。(同じ1週間後のレビューであっても、何の返事もないまま1週間後に突如としてレビュー結果を帰す、という対応をすると「法務はトロい」「ビジネスのスピードについて来ていない」等という不満が出るのです...。)

 

 

3 「即レス」をしてもいいの!?

 さて、ここまでは「前振り」であった。このエントリの目的は(一般論として即レスをすべきであるとしても)、実際に即レスをする前に、「本当に『即レス』をしてもいいか」を、事前にきちんと考えましょう、ということであった。

 

以下、


・形式的不明点・不足点はないか!
・情報共有の要否と内容(ヤバイ案件ではないか)
・宛先及びCC

 

という「法務の私が”即レス”をする前に裏でチェックしている3つのこと」を紹介していきたい。

 

4 形式的不明点・不足点はないか!

 まずは、形式的不明点・不足点があれば即レスの際においてリマインドすべきであろう。その意味で、形式的不明点・不足点がないかの確認は、即レス前にやるべき重要な確認事項であろう。

 

 

 具体的な「形式面」としては、上記の「やるべきこと(複数のファイルが送付された場合において、何がレビュー対象で、何が参考資料か等)」及び「納期」等に加えて、

レビューの対象の契約書や資料等を全て受領したか(添付漏れとか「引用された見積書・約款等がない」等の確認)

ファイルにパスワード等が掛かっていないか(納期直前にパスワード送付をお願いすることの「気まずさ」と言ったらない)

メールの下の方が文字化けしていないか(「以下のやりとりをご参照ください」といわれて最初はいいが、下の方が文字化けしているパターンがある)

 等が挙げられるだろう。

 

 特に、「メール転送係」的なキャラクター・パーソナリティの事業部門担当者が、相手から来たメールをそのまま転送して「これ、レビューしてください」という場合には、このような形式面の確認をスルーしている可能性が高いので、法務において確認する必要性が高い。

 

5 情報共有の要否と内容(ヤバイ案件ではないか)

 そして、意外に重要なのは「超ヤバい案件」が「しれっ」と一法務担当者のところに来ている場合である。基本的に、法務が「契約レビュー」をしてしまうと、仮にビジネスモデルチェック自体は依頼されていなくとも、その「ビジネスモデル自体が業法違反」的な場合において、「法務は何していた!」という怒られが「法務」に対して発生する。

 

 そうすると、「レビューします! 」と即レスする前に、例えば、「部長、営業から来た協業案件の契約を転送します。説明メールを見る限り、【弁護士法72条/出資法等々】に反しているとしか思えません。お忙しいところ恐縮ですが、部長に入っていただき、一緒にWeb会議することから始めるということでいかがでしょうか。」のように、上司(ここでは部長としているが、課長等いわゆる「こういう案件」で相談すべき上司を適当に挿入して欲しい)に情報共有すべきだろう。

 

 そこまで「やばい」話でなくとも、「確か、関連案件を同僚が受けてたな」という場合に、同僚宛(法務内の案件差配をする上司CCで)「そういえば、こんな案件ありましたが、これって、この前お話されていた例のアレの関連案件ですか?」と聞くと「おおよ!」と引き取ってくれることもある。

 

 こういう情報共有は、「報連相」という社会人の基本として、重要である。

 

6 宛先及びCC

 後は、あまり事案として多くはないものの、「間違った宛先のメールをCCして誤爆してる」ことがある...。例えば、「法務全員」にCCすべきところを「管理部門全員」「全社員(!?)」にCCしてしまってるとか、「他社の人の名前が法務担当者に似ているので、予測変換でその人がCCされている」等、ミスの具体的な内容はそれぞれであるが、通常「全員に返信」を押すであろうから、宛先及びCCをよく確認し、「ミスの連鎖」を発生させないようにすべきである。

 

7 宣伝

本エントリの原型は私がツイッター#新人法務パーソンへ タグで呟いている法務パーソン向け投稿ですので、もしよろしければ、@ahowota アカウントをフォローください。

 

 

https://twitter.com/ahowota/status/1155427767900499968?s=20

 

*1:なお、特段の事由がない限り単純リツイートを賛同とするものとして大阪高判令和2年6月23日参照。

*2:とはいえ、伝統系大企業とIT系スタートアップでは、環境も違うので伝統系大企業法務で同じ「技」が使えるかはともかく

*3:禁書目録のことではない

*4:QB被害者対策弁護団団員ronnor on Twitter: "とりあえず、その本のどこに何が書いているかを把握する読み方(インデックス作成)と、きちんと読む読み方を区別して読んでます。きちんと読む読み方だとあんまり速くはないですよ。そもそもきちんと読む必要がある本なんて、1%くらいでは?? #読書… https://t.co/Hky0WIFl3A"

*5:QB被害者対策弁護団団員ronnor on Twitter: "ちなみに、「法務の私が”即レス”をする前に裏でチェックしている3つのこと 」みたいなブログエントリ(noteではない)の需要があれば、ちょちょっと書いてみたいと思います。 #エアリプ #ブログ"

*6:各社の環境毎にシェアポイントとか色々あると理解してます。某弊社が何を使っているかは【禁則事項】です!

*7:5年後だと「法務チャットボット」がスタンダードになる可能性があるので、あくまでも「2021年の実務」とご理解ください。

5年間の辛口法律書レビューを振り返る〜その13(最終回)

5年間の辛口法律書レビューを振り返る〜その13(最終回)

    

 

13日連続更新のBLJ復活切望シリーズです。今回は最終回として2021年度の各月レビューをまとめたいと思います。

 

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2021年1月号122頁は、 #legalAC 連動企画を実施し、改正民法特集でした。

 

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潮見 佳男「新債権総論1(法律学の森)」

 

新債権総論1(法律学の森)

新債権総論1(法律学の森)

  • 作者:潮見 佳男
  • 発売日: 2017/06/17
  • メディア: 単行本
 

 


潮見 佳男「新債権総論2 (法律学の森)」

 

新債権総論2 (法律学の森)

新債権総論2 (法律学の森)

  • 作者:潮見 佳男
  • 発売日: 2017/07/12
  • メディア: 単行本
 

 


潮見 佳男「基本講義 債権各論〈1〉契約法・事務管理・不当利得 (ライブラリ法学基本講義)」

 

 

  中田 裕康「契約法」

契約法

契約法

  • 作者:中田 裕康
  • 発売日: 2017/09/29
  • メディア: 単行本
 

 

潮見 佳男他「詳解解説民法

 

詳解 改正民法

詳解 改正民法

 

 

 筒井 健夫・村松 秀樹「一問一答 民法(債権関係)改正 (一問一答シリーズ)」

 

 

 

 潮見 佳男「プラクティス民法債権総論」

 

中田 裕康「 債権総論第4版」

債権総論 第四版

債権総論 第四版

  • 作者:中田 裕康
  • 発売日: 2020/10/09
  • メディア: 単行本
 

 

森田修「債権法改正の文脈」

 

「債権法改正」の文脈

「債権法改正」の文脈

  • 作者:修, 森田
  • 発売日: 2020/10/17
  • メディア: 単行本
 

 

 


道垣内 弘人・中井 康之「債権法改正と実務上の課題」

 

債権法改正と実務上の課題 (ジュリストブックスProfessional)

債権法改正と実務上の課題 (ジュリストブックスProfessional)

 

 

 

 
松岡久和他「改正債権法コンメンタール

 

改正債権法コンメンタール

改正債権法コンメンタール

  • 発売日: 2020/10/05
  • メディア: 単行本
 

 

山本豊「新注釈民法(14)」

 

新注釈民法(14) -- 債権(7) (有斐閣コンメンタール)

新注釈民法(14) -- 債権(7) (有斐閣コンメンタール)

  • 発売日: 2018/10/18
  • メディア: 単行本
 

 

 

2021年2月号122頁

 松田俊治「ライセンス契約法」

ライセンス契約法

ライセンス契約法

 

 

ライセンス契約法は、まさにBLJ連載が発祥なので「いい終わり方」ではあるが、「これで終われるもんか」という思いが強い。是非復活していただきたい!!

 

 

5年間の辛口法律書レビューを振り返る〜その12

5年間の辛口法律書レビューを振り返る〜その12

  

 

契約書作成の実務と書式 -- 企業実務家視点の雛形とその解説 第2版

契約書作成の実務と書式 -- 企業実務家視点の雛形とその解説 第2版

  • 発売日: 2019/09/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

12日連続更新のBLJ復活切望シリーズです。今回は2020年度の各月レビューをまとめたいと思います。

 

 

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2020年1月号138頁

 阿部・井窪・片山法律事務所「契約書作成の実務と書式」

契約書作成の実務と書式 -- 企業実務家視点の雛形とその解説 第2版

契約書作成の実務と書式 -- 企業実務家視点の雛形とその解説 第2版

  • 発売日: 2019/09/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

2020年2月号136頁

 菅野和夫「労働法」

 

労働法 (法律学講座双書)

労働法 (法律学講座双書)

 

2020年3月号122頁

出澤総合法律事務所「実践!! 秘密保持契約書審査の実務」

 

実践!! 秘密保持契約書審査の実務
 

 

2020年4月号120頁

 岡芹 健夫「労働法実務使用者側の実践知」

労働法実務 使用者側の実践知 (Lawyers' Knowledge)

労働法実務 使用者側の実践知 (Lawyers' Knowledge)

  • 作者:岡芹 健夫
  • 発売日: 2019/12/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

  君和田 伸仁「労働法実務労働者側の実践知」

労働法実務 労働者側の実践知〔Lawyers' Knowledge〕

労働法実務 労働者側の実践知〔Lawyers' Knowledge〕

  • 作者:君和田 伸仁
  • 発売日: 2019/12/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

2020年5月号124頁

 柴﨑 哲夫・牧田 謙太郎「弁護士はこう表現する裁判官はここを見る起案添削教室」

2020年6月号116頁

NISC「サイバーセキュリティー関連法令Q&Aハンドブック」

 

www.nisc.go.jp

 

2020年7月号122頁

野村創「 失敗事例でわかる!民事保全・執行のゴールデンルール30」

失敗事例でわかる! 民事保全・執行のゴールデンルール30
 

 2020年8月号122頁

大橋洋一「法学テキストの読み方」

 

法学テキストの読み方

法学テキストの読み方

 

2020年9月号106頁

長澤哲也「独禁法務の実践知」

 

独禁法務の実践知 (LAWYERS’ KNOWLEDGE)

独禁法務の実践知 (LAWYERS’ KNOWLEDGE)

 

 

2020年10月号126頁

秦周平他「 契約書リーガルチェックのポイント」

契約書リーガルチェックのポイント-事例でみるトラブル条項例-

契約書リーガルチェックのポイント-事例でみるトラブル条項例-

  • 発売日: 2020/04/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 2020年11月号122頁

中山 信弘「 著作権法

著作権法 第3版

著作権法 第3版

  • 作者:中山 信弘
  • 発売日: 2020/09/04
  • メディア: 単行本
 

 2020年12月号122頁

大塚英明「会社法のみちしるべ」

会社法のみちしるべ〔第2版〕

会社法のみちしるべ〔第2版〕

 

 

定番本の改訂だけではなく、ネットで話題の「あの本」や、あまり知られていない良い本等をバランスよく紹介できたように思われるが、いかがだろうか。

 

5年間の辛口法律書レビューを振り返る〜その11

5年間の辛口法律書レビューを振り返る〜その11

 

 

会社法入門(第13版)

会社法入門(第13版)

 

 

11日連続更新のBLJ復活切望シリーズです。今回は2019年度の各月レビューをまとめたいと思います。

 

ronnor.hatenablog.com

 

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前田庸「2019年1月号(No. 130) 138頁」

 

会社法入門(第13版)

会社法入門(第13版)

 

  2019年3月号(No. 132) 126頁

 藤田 友敬「M&A契約研究 -- 理論・実証研究とモデル契約条項」

M&A契約研究 -- 理論・実証研究とモデル契約条項

M&A契約研究 -- 理論・実証研究とモデル契約条項

  • 作者:藤田 友敬
  • 発売日: 2018/12/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 2019年4月号(No. 133) 130頁

 渡辺 輝人「残業代請求の理論と実務」

残業代請求の理論と実務

残業代請求の理論と実務

  • 作者:渡辺 輝人
  • 発売日: 2018/12/01
  • メディア: 単行本
 

  2019年5月号(No. 134) 124頁

 芦原 一郎「法務の技法(第2版) (「法務の技法」シリーズ)」

法務の技法(第2版) (「法務の技法」シリーズ)

法務の技法(第2版) (「法務の技法」シリーズ)

 

 2019年6月号(No. 135)134頁

 

中村 真「相続道の歩き方」

 

相続道の歩き方

相続道の歩き方

  • 作者:中村 真
  • 発売日: 2018/12/17
  • メディア: 単行本
 

 

潮見 佳男「詳説相続法」

 

詳解 相続法

詳解 相続法

  • 作者:潮見 佳男
  • 発売日: 2018/12/17
  • メディア: 単行本
 

 

堂薗 幹一郎・神吉 康二「概説改正相続法」

 

 2019年7月号(No. 136) 134頁

 雨宮 美季他「良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方」

 2019年8月号(No. 137)122頁

京野哲也他「Q&A若手弁護士からの相談374問」

 

  2019年9月号(No. 138)

曽我部 真裕他「情報法概説」

 

情報法概説 第2版

情報法概説 第2版

 

 

2019年10月号(No. 139) 126頁

内田貴「講座現代の契約法」

 

講座 現代の契約法 各論〈1〉

講座 現代の契約法 各論〈1〉

  • 発売日: 2019/06/01
  • メディア: 単行本
 

 2019年11月号(No. 140)126頁

*注意改訂遅れ* 

 

我妻・有泉コンメンタール民法 第7版
 

 

 

2019年12月号(No. 141)118頁

 水町 勇一郎「詳解労働法」

詳解 労働法

詳解 労働法

 

 

 定番の改訂から新機軸まで2019年の法務を象徴するような書籍を紹介できたのではないか。

5年間の辛口法律書レビューを振り返る〜その10

5年間の辛口法律書レビューを振り返る〜その10

 
定型約款の実務Q&A

定型約款の実務Q&A

 

 

 

10日連続更新のBLJ復活応援シリーズです。ついに2桁になりました。

2019年2月号(No. 131)72頁、つまり、書評特集に2018年の総まとめを寄稿させて頂きました。

 

 村松 秀樹・松尾 博憲「定型約款の実務Q&A」

定型約款の実務Q&A

定型約款の実務Q&A

 

 

 相澤 眞木・塚原 聡「民事執行の実務」

民事執行の実務【第4版】債権執行編(上)

民事執行の実務【第4版】債権執行編(上)

 

 

 太田 洋他「社債ハンドブック」

社債ハンドブック

社債ハンドブック

 

 

 岡田裕子「難しい依頼者と出会った法律家へ」

 

2018年の連載の補充という趣旨であり、数は少なめであるが、お役に立てば幸いである。