アホヲタ元法学部生の日常

アニメを見て法律を思い、法律を見てアニメを思う法アニクラスタ、ronnorのブログ。頻繁にツイッター(@ahowota)に出没しております。メールはronnor1あっとgmail.comへ。BLJにて「企業法務系ブロガー」として書評連載中。 #新人法務パーソンへ #オタク流勉強法 #明認方法 「アホヲタ元法学部生の日常」(ブログ)、「これからの契約の話をしよう」(同人誌)、『アニメキャラが行列を作る法律相談所』(総合科学出版)等。

法務の機能論と組織論ー「事業部門と独立した法務部門」論再考

 

法務の機能論と組織論ー「事業部門と独立した法務部門」論再考

 

スキルアップのための企業法務のセオリー 実務の基礎とルールを学ぶ

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1 はじめに

某弊社でも購読しているらしい某誌に望月治彦「『機能』か『組織』か─組織論なき機能論を憂う」という文章が載っており、ふむふむ(「ほむほむ」ではない)と読んで、それっきりだった。

 

ところが、最近インターネット公開(以下のリンク参照)されたからか(鶏と卵のどちらが先かは分からない)、比較的話題になっている。

 

www.keieihoyukai.jp


 

 

例えば、 

 

等とのお言葉もいただいた。正直なところ、「二次元妻帯者」(ほむほむは俺の嫁)としての認知度が上がったことがうれしいことがメインの動機であるが、以下、雑感をまとめてみたい。

 

結論としては「本コラムに傾聴すべき点はない」となる。共感できるところは「当たり前」であって、特段特筆すべき点ではなく、それ以外の部分は読み方にもよるが賛同できない。

 

2 機能論vs組織論の対立構造

 望月氏は、*1、機能論vs組織論の対立構造を強調し、その上で、組織論において「事業部門と独立した法務部門」の重要性を強調しようとされているように思われる。望月氏の論考の趣旨を正確に捕らえられているかは分からないが、望月氏の論考は大体以下のようなものである。

 

まず、これまでの法務役割論が「事業部門から独立した法務組織」の存在を所与の前提としていたが、「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会」報告書*2において、法務部門等と経営層・事業部門との一体となった取組み等、「法務部門を超えた法務機能が示唆された」とした上で、そのうちの構成員の一人が、「法務」という仕事を定義することなく、無限定に考えるという意見を示しているところ、望月氏としてこれらが過激であると疑義を呈した上で、「法務という専門知識にこだわらず、経営でも事業でも、何でも自らの能力のままに発揮すればよいのでは、という「素朴」な意見を、主としてスタートアップ業界の法務を担当している若い世代から聞くことがある」とし、このような論調が「さまざまな機能を持った複数の組織からなる会社における企業法務の危機を招かないか」と警鐘を鳴らす。その上で、法務担当者にとっての「ゆりかご」等としての事業部門から独立した法務組織の重要性を指摘する。

 

 インターネット上では、(必ずしも全面的賛同ではないにせよ)経験の豊富な法務パーソンの先生方がこのような望月氏の議論に対し賞賛を示すことが多いようにお見受けした。

 

 

3 属人的な「法務力の強いヌシ的存在」だけへの依拠に対する疑義

 どこの会社でも、「この人が『法律的に難しい』といえば、みんなしょうがないと思う」という人がいるものであり、*3そういう人の役割が実務上大きいのは確かである。

 しかし、望月氏の指摘するとおり、そういう個々人の属人的な度量や技量、パーソナリティにのみ依拠したのでは「持続可能な法務機能」は果たせないのではないだろう。その意味で、望月氏の指摘されるとおり、組織ないしは「仕組み」の重要性は否定できない。とはいえ、それはある意味で当たり前のことであり、これをもって本コラムを賞賛する論調には賛同できない。「当たり前のことを当たり前に言っただけのもの」には「ふむふむ」以外の評価の余地はないだろう。

 

4 「事業部門から独立した法務組織は素晴らしい論」への疑問

 このように、組織ないしは仕組みをきちんと作って、属人的な要素へ過度に依存すべきではないという限りでは、望月氏の見解を支持することができる。しかし、望月氏は「(法務部門等の)経営層・事業部門との一体となった取組み」に対して疑義を呈したりと、「事業部門と密接な関係を有する法務部門」に違和感を示し、「事業部門から独立した法務組織」の意義を強調しているように読める。

 

 組織や仕組みが重要だ、ということは、ここで望月氏が唱えているように読める「事業部門から独立した法務組織は素晴らしい論」を支持するのであろうか?

 

 確かに、「営業担当者等事業部の一人一人が法務力を磨くことは重要だが、それに加え、それとは違う『法務部門』が存在することに独自の意義がある」という程度であれば、私も賛同できる。

 

 法務部門は、新規事業の計画があるとか、契約を結ぼうとしているといった情報を集めてきて、それに対し「雛形+あらかじめ想定された範囲の修正で契約するなら、現場でやって大丈夫ですよ」「法務部門でチェックします」「顧問弁護士先生に頼みましょう」等という「切り分け」を行い、その切り分けの結果として、法務部門が対応する場合にはそこで対応し、また、顧問弁護士先生等の外部の専門家とのリエゾンを行う。このような活動の中で、情報を活用して企業全体の法務・コンプライアンスのレベルをあげ、企業価値の向上に資するというのは重要な役割である。

 また、法務部門の専任者が存在するというのは、様々な会議に「法務の観点から意見を言うことを主に期待されたメンバー」が出席するということであって、このような観点の意見が必ず出る(はず)というのは、企業全体の法務・コンプライアンスレベルアップには必ず役に立つだろう。

 これらに対しては、各事業部に法務担当の専任者を置けばいいだけ、という意見もあるだろうが、法務担当者が(その時々において事業部や子会社等に所属しているとしても)何かあった時にいつでも相談できる「母艦」としての法務部門の意義はなお存在するし、特に強い意見を言いたい場合に、法務部門長の「オーソライズ」を得て、(単にペーペーの私が反対というのではなく)「法務部門長としてこのプロジェクトに反対である」等と言えることで交渉力を獲得するという意義もあるだろう。

 

 とはいえ、そのような「(事業部門と一線を画する)独自の法務部門の意義」は、必ずしも「法務部門の事業部門からの独立性」を意味しない。私は望月氏の所属される会社の少なくとも現在の状況を知らない*4ので、もしかすると、本当に独立しているのかもしれないが、以下のような疑問がある。

 

・法務部門の予算はどのように決まるのだろうか? 法務が必要という予算が自動的に受け取れるのか? 多分NOだろうが、そうすると、事業部門がどの程度法務部門の意義を評価するかで予算が変わってくるのではないか?

・法務部門のスタッフの人事評価は法務部門内でできるかもしれないが、幹部になると少なくとも二次評価権者が法務部門外になるだろうし、少なくとも法務部門長の評価を法務部門内で(お手盛りで)やっているとは思えない。事業部門の法務部門に対する評価が少なくとも法務部門の幹部の評価に反映されるのではないか?

・法務部門長のレポートラインはどこなのか? いわゆるGCのように「社長に直接レポート」するのか?

・法務部門のキャリアパスはどうなるのか? 結構多くの会社では、法務部門長は「広義の経営陣」の中ではかなり下のレベルで、その上に「(経理、人事等を含む)バックオフィス(管理部門)のトップ」みたいな人がいたりするし、実はその人も「狭義の経営陣」の中では下のレベルだったりするように思われるが、もし「広義の経営陣」の中ではかなり下のレベルが一番トップを務めるとすると、そのような部門が「事業部門から独立しています(キリッ」というのはどういうことを意味するのだろうか?

 

 望月氏の賞賛されている「事業部門から独立した法務部門」の現実は、上記各点を踏まえてもなお「事業部門から独立した」法務部門と言えるのだろうか? これらの点を踏まえれば、単に事業部門と違うバックオフィス部門があり、そのバックオフィス部門の中に法務部門が存在する、というだけの会社が多いのではないか? *5仮に「高度の独立性」を求めるなら、それを社内に置くことにどのような意味があるのか、むしろ外部法律事務所にその役割を譲ればいいのではないか? 等々、疑問は尽きない。

 

 むしろ、法務部門は事業部門とは完全には独立できないし、むしろ、「事業部門と同じ方向」を向きながら、「この方法は短期的企業価値向上には繋がるかもしれないが、長期的企業価値にはマイナスだからこうやっては?」等と一緒に協働していく関係であることが、法務部門がその重要な役割をより良く果たすための前提条件なのではなかろうか。その意味では、「(法務部門等の)経営層・事業部門との一体となった取組み」については、むしろ肯定的に考えるべきである。

もし、望月氏が法務部門と事業部門の一体となった取り組みを否定するという意味において、「事業部門からの独立」を提唱するのであれば、それを支持することはできない。

 

 もちろん、そのように「法務部門が事業部から完全には独立できないこと」というのは、必ずしも、法務部門が事業部のラインにおけるいわゆる「会社の論理」に堕することを意味しない。法務部門は、顧問事務所の先生等の専門家とも意見交換しながら会社外の「社会常識」等に敏感に反応し、いわば「会社における外に開かれた窓の1つ」として、「独自の意義」を持ち続けるべきことは常に忘れてはならない。ただ、だからといって、法務が事業部から「独立」するということにはミスリーディングな印象をぬぐえないのである。

 

5 まとめ

 冒頭であげた望月氏の論旨に戻れば、そもそも、機能論と組織論は対立するものではない。要するに法務については、組織も大事だし、機能も大事なのである。そして、そのうちの組織論を扱う際に、「事業部門から独立した法務部門」をお題目のように唱え、事業部門と法務部門が手を取り合って取り組みを行うことに反発を示しても、何の意味もないだろう。むしろ法務部門は真の意味では事業部門からは独立できないことを前提に、「事業部門との適切な距離の取り方」を常に模索し続けることが重要なのではなかろうか?

 

 以上のとおり、私の読後感はたんなる「ふむふむ」であって、そもそも時間を割いて論評する意義や価値を感じなかったものの、多分望月氏の論考が時流*6には乗っていることから、(全員ではないものの)比較的多くの方が望月氏への支持を表明されていたので、(個人の主観としては)「普通のことを書いているに過ぎないエントリ」になってしまったものの、「本当に望月氏の主張は全面的に支持するに値するのか」という疑問を表明する意味で、上記の雑文をまとめさせていただいた次第である。

 

 

追記:本エントリ作成後に、関連する議論を少し読んだ。

 

いつも通り、鋭い指摘をされているのは、企業法務戦士先生である。

 

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

 ただ、「「法務組織」の存在、あり様を核とする議論の再構築を求める本コラムの提言には傾聴すべき点が多い。」という部分については、「役割論と組織論が両輪というのは当たり前のことなのであって、組織論も重要だというだけの本コラムに何ら新味はない」という意味で、敬意を表しながら反対(respectfully disagree)させていただく。

 

dtk先生の論考も「立ち位置」の重要性を指摘されるところはなかなか良い指摘である。

dtk1970.hatenablog.com

 

 なお、「僕自身は、企業法務の担当者としては件の会の会員企業にいた期間が長いので、読んでいて特に違和感はない。」という部分は、むしろ、単に本コラムが当たり前のことを言っているだけであり、本コラムに対しわざわざ時間を割いて論評する価値がないことを裏付けるだけのような気がしてしまった。

 

 

*1:議論のための「意図的」なものではないかとも推測されるが

*2:リンクする価値がないのでリンクしない。

*3:そういう人が法務部門にいるのか、もう少し事業に近いところにいるのかは別として、

*4:要するに、私は現在望月氏の同僚ではない、ということだが、こういう情報開示を始めると、情報を開示すれば開示するほど私の所属する企業が特定されやすくなるので、過去についてはあえてぼかすことで特定可能性をミニマイズさせてほしいという趣旨である。

*5:「独立」が断絶や孤立という意味までは持たないにせよ、

*6:組織論が過小評価され、機能論が過大評価されている?

「天気の子」の刑法的考察ー逃走罪の観点からー

 

「天気の子」の刑法的考察ー逃走罪の観点からー

 

 

小説 天気の子 (角川文庫)

小説 天気の子 (角川文庫)

 

 

注意:天気の子の完全ネタバレです。ドンデン返しとか全部わかっている人前提です。また、200X年代に「エロゲ版天気の子をレビューしていたらこんな感じ」というイメージの、昔ながらの(「元」がない)「アホヲタ法学部生の日常」テイストでお送りしております。なお、脚注、とりわけ脚注6は私のヤバい趣味全開なので、引く可能性のある人は見ないでください*1。】

 

1.はじめに

 

天気の子をなぜか「軽犯罪法違反」の問題とする投稿が大量にリツイートされている。

 

 

 

という応援の言葉も頂いた。

 

一人の法学徒として、天気の子の世界で鳴り響いていた「警報」ではなく「刑法」についてきちんと考察しなければならない、との意を強くした。

 

 

2.超マイナーな「逃走罪」

 刑法にはメジャーな条文とマイナーな条文がある。例えば、論文検索サイトのci.niiで、「殺人」で検索すると約5000件である。しかし、「逃走罪」はなんと11件である。

 

 この、超マイナーな逃走罪、条文も単純だ。

 

第六章 逃走の罪
(逃走)
第九十七条 裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者が逃走したときは、一年以下の懲役に処する。
(加重逃走)
第九十八条 前条に規定する者又は勾引状の執行を受けた者が拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀して、逃走したときは、三月以上五年以下の懲役に処する。
(被拘禁者奪取)
第九十九条 法令により拘禁された者を奪取した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
(逃走援助)
第百条 法令により拘禁された者を逃走させる目的で、器具を提供し、その他逃走を容易にすべき行為をした者は、三年以下の懲役に処する。
2 前項の目的で、暴行又は脅迫をした者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
(看守者等による逃走援助)
第百一条 法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者を逃走させたときは、一年以上十年以下の懲役に処する。
(未遂罪)
第百二条 この章の罪の未遂は、罰する。

 

 マイナーで、一見単純ながらも、実は奥深い、「逃走罪」についてこれから検討していこう。

 

 

3.「天気の子」と逃走罪

 天気の子では、広義の「逃走」が多く見られる*2。冒頭から、陽菜さんは、母親の入院している病院を離れて太陽の光を差し込む代々木の廃ビル*3に駆け出す。帆高も、島を出て東京砂漠*4へ逃げ出す。

 

 しかし、刑法上問題となるのは、そういう日常語としての「逃走」ではない。以下、主な逃走を4つ挙げよう*5。なお、私の「一押し」は第3逃走である*6

 

第1逃走:警察が帆高を追い、児童相談所が陽菜と凪を離れ離れにしようとしていることを知った三人が一緒に池袋駅前まで来たところ、警察に捕まった帆高を陽菜さんが助けて「逃した」シーン

 

第2逃走:ラブホに警官が押し入り「御用」となって池袋署まで連行された帆高。しかし、「今度は陽菜さんを助ける番だ!」と逃走するシーン

 

第3逃走:凪先輩が児童相談所の一時保護から逃走するシーン

 

第4逃走:代々木の廃ビルで、須賀さん、そして凪先輩が帆高を逃して陽菜さんを取り戻しに行かせるシーン

 

 

 さて、これらを刑法的に考察しよう!

 


 
4.逃走罪オーバビュー*7

 いわゆる司法試験択一知識であるが、逃走罪関連は、行為が過激になる程主体も広がる。単純逃走罪(97条)は「裁判の執行により拘禁」された者。加重逃走罪(98条)はこれに「勾引状の執行を受けた者」が加わり、被拘禁者奪取(99条)に至ると「法令より拘禁された者」全て、となる。もう少し具体的に択一知識チックにまとめると、

  • 単純逃走罪(97条)は「裁判の執行により拘禁された既決・未決の者」が「逃走」することが構成要件で確定裁判により拘禁される受刑者や勾留中の者が該当するが被逮捕者は入らない。「逃走」とは、(作為によって)拘禁を脱すること。期待可能性の減少を考慮に入れて1年以下の懲役と刑が軽い。
  • 加重逃走罪(98条)は「裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者」又は「勾引状の執行を受けた者」が「拘束具破壊、暴行脅迫、複数人通謀」して「逃走」した場合。前条の主体に加え、逮捕状により逮捕された被疑者、勾留状等の執行を受けたが未収容の者等が追加。3月以上5年以下の懲役。
  • 被拘禁者奪取罪、逃走援助罪、看守者等による逃走援助罪(99~101条)は第三者による逃走補助形態を類型毎に罰しているが、重要なのは「法令により拘禁された者」を逃走させ、奪取するところ。98条の主体に加え、現行犯逮捕や緊急逮捕された者も含まれる。

という感じであろう。

 

5.第1逃走

 池袋駅前で警察官が「子供だけ?家出?」と詰め寄る。帆高の顔を見て「銃器所持の可能性あり」と警戒する警察官を見て、帆高は駆け出す。警察は捕獲体制に入り「公妨(公務執行妨害罪)!」と叫んで帆高を押し倒す。陽菜は「お願い」と天に祈って近くのトラックに雷を落とすことで逃走させる。

 

 基本的には、被拘禁者奪取(99条)は実力支配下に置く行為(条解刑法第3版308頁)であるところ、陽菜は帆高を実力支配下には置いていないので、逃走援助罪(100条)、つまり、「法令により拘禁された者を逃走させる目的」で「暴行又は脅迫」をする行為が問題となる。
 ここで、逃走援助罪でいうところの「法令により拘禁された者」に、現行犯逮捕者も含まれると解されている(条解刑法第3版308頁、注解刑法2巻91頁)。公務執行妨害罪の現行犯で逮捕された帆高はこれにあたるのだろう*8
 ここで、暴行脅迫は看守者に直接向けられたものである必要はない(条解刑法第3版310頁)。「拘禁を破ることに寄与しうる行為が実行されれば足りる」(注解刑法2巻95頁)とされる。そうであれば、陽菜が雷を落としてトラックを爆発炎上させた行為もまた「暴行又は脅迫」に含まれるであろう*9

 このように、陽菜の行為には逃走援助罪(100条)が成立する。

 

6.第2逃走

 ラブホで捕まった帆高は当初は一人で逃走しており、単純逃走罪(97条)が問題となる。なお、加重逃走の場合には、「拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀して」という要件が必要であるところ、単に植木を倒し、ダンボールを落とし、警察官の股をすり抜ける程度でこの要件を満たさないだろう*10
 ここで、帆高に対しては「捜索願いが出ていて、かつ、拳銃所持の疑いがある」という表現で、警察手帳は見せているが、逮捕状は示されていない。

 そうすると、まず、「迷い子、病人、負傷者等で適当な保護者を伴わず、応急の救護を要すると認められる者」に対する保護(警職法3条1項2号)の可能性があるが、同号カッコ書きは「本人がこれを拒んだ場合を除く」とするので問題がある。そうでなければ、単なる任意同行(警職法2条2項)であるが、これもあのような強制的手段が取れるかは問題である。
 いずれにせよ、単純逃走罪の主体は「裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者が逃走したとき」であるところ、裁判の執行によって拘禁された訳ではない以上主体とはなり得ない*11。よって、この第2逃走において、帆高の行為に犯罪は成立しない*12

 

 

7.第3逃走

 個人的に一番好きなのは第三逃走である。凪先輩の元カノであるアヤネは、凪先輩及びその現在の彼女であるのカナと通謀し、カナが見張りの警察官を引きつけている間に、アヤネと凪先輩でカツラと服を交換することで、凪先輩がアヤネに偽装し、まんまと児童相談所を脱走できた。

 

 児童福祉法33条は「児童相談所長は、必要があると認めるときは」「児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、児童の一時保護を行い、又は適当な者に委託して、当該一時保護を行わせることができる」とする。これが一時保護である。

 

 一時保護については、「子ども虐待対応の手引き」が詳しい。

www.mhlw.go.jp

 

「職権による一時保護をするに当たって、まず留意すべきは、それが非常に強力な行政権限であるという認識を踏まえて適切に運用しなければならない、ということである。」「子どもの意思にも反して実施できる。関係者の意思に反して行う強制的な制度は、通常は裁判所の判断を必要とするが、児童福祉法の一時保護については裁判所の事前事後の許可も不要である。このような強力な行政権限を認めた制度は、諸外国の虐待に関する制度としても珍しく、日本にも類似の制度は見当たらない。」(「子ども虐待対応の手引き」第5章5(1))とあるように非常に強い行政権限が規定されている。

 

 凪先輩はこの一時保護下に置かれていた可能性が高い。

 

 ところで、アヤネはこのような凪先輩に「器具を提供し、その他逃走を容易にすべき行為」をしているので、逃走援助罪(100条1項)の可能性がある。

 しかし、「凪先輩」は果たして「法令により拘禁された者」なのか。ここで、児童福祉法には、27条の2という少年法に基づき自立支援施設へ入所決定がされた場合の強権的収容の規定があるところ、「法令により拘禁された者」をかなり広く解する見解は、この児童福祉法27条の2による場合を「法令により拘禁された者」に含むが、そのような広い見解であっても、「児童福祉法33条による一時保護は、拘禁を許す趣旨が十分でなく、法令に因る拘禁とは言い難い」とする(注釈刑法3巻107頁)。

 

 要するに、逃走罪の対象を国の司法作用一般について適正な実現を担保すべく、法令上の根拠のある身柄拘束が侵される事態を防ぐ(注解刑法2巻92頁)として狭く解しても、「刑事司法のため」の拘禁という要件を無用(注釈刑法3巻107頁)として広く解しても、いずれにせよ一時保護は該当しない、つまり、逃走援助罪は成立しないのである。
 

 

8.第4逃走


  代々木の廃ビルで、一度帆高が拳銃不法所持等で現行犯逮捕され、片手に手錠を掛けられた直後に、須賀さんがタックルして逃がし、安井刑事につかまるところも凪先輩が逃した行為である。

 このような行為は、典型的な逃走援助罪(100条2項)であろう。

 


9.手続の適法性

 意外なことに、第1逃走と第4逃走のみが(形式上)逃走罪の構成要件に該当し、それ以外は逃走罪の構成要件に該当しなかった。

 

 これに加え、手続きの違法性の問題がある。

 

 判例は、逃走罪の対象者から違法・無効な逮捕状の執行により拘禁された者は除かれるとしている*13

 どこまで違法な場合に逃走罪の対象から外れるかは争いがあるが、「有効要件である手続ないし法律上重要な手続きを踏んで行われなければならないが、手続きに軽微又は形式的な瑕疵があるに過ぎない場合は、なお適法性が認められると解すべき」(大コンメンタール3版6巻270頁)といった辺りが穏当な見解であろう。

 

 この見解によると、第1逃走は「逮捕」の根拠が「公妨!」と叫んだだけであり、いわゆる「転び公妨」である。逮捕の理由なく逮捕しているのは、「有効要件である手続ないし法律上重要な手続きを踏んで行われ」ていないといえる。よって、第1逃走にもまた、逃走罪(陽菜の逃走援助罪)は成立しない。

 

10.なぜ逃走罪の成立範囲が狭いのか〜逃走罪250年の歴史を紐解く

 ここで逃走罪については平野先生の「逃走罪の規定はもう一度整理し直す必要がある」*14という語が有名であるが、本稿作成の過程で、米山哲夫「 単純逃走罪の当罰性・可罰性」早稲田法学会誌36巻213頁に触れた。

waseda.repo.nii.ac.jp

 

 

 米山論文については「とにかく面白いのでぜひ読んでください」というだけなのであるが、1742年の「公事方御定書」から紐解いて、この250年の歴史*15の中で、江戸時代は逃走に対して重罰をもって臨んでいた*16ところ、ボアソナード旧刑法の時点で急激に緩和ないしは刑罰化されたことを指摘する。

 

 「これには権力の強弱と逃走者捕縛能力の問題が関係していよう。逃走できないよう拘禁施設を強化する人的・物的資源を調達するための財政基盤の充実と警察能力の向上が、逃走に重罰をもって対処する必要性を減少させた」*17という議論は、現在の逃走罪の構成要件の狭さや量刑の軽さを説明する。

 

 その上で、捕まった人に対して「逃げない」ことを期待できるか、という期待可能性の問題も指摘する。警察力が強化される中、期待可能性が薄い逃走罪については、より構成要件が狭く規定される、そしてだからこそ、一見犯罪っぽい数多くの逃走が犯罪ではなくなるのである。

 

 

 これに加えて、米山論文は、刑法97条等の犯罪カタログに記載された以上、当該状況下では逃げないことが一般的に期待されているとしても「個別具体的な事情においては、もう一段期待可能性の判断をする余地が残されていると言っても良い」*18として、個別具体的な事情の下での期待可能性否定の可能性を示唆している。

 

 米山論文は単純逃走罪を念頭に置いており、逃走援助罪についてはその期待可能性の低下の程度はあまり大きくないだろうが、帆高の必死な「陽菜を取り戻す」という思いについては期待可能性がないし、そのような帆高の気持ちに心を動かされた須賀さんや凪先輩についてもこのような「個別具体的な事情」においては、帆高に陽菜を取り戻させる以外の行為を期待できないのではないか。しかも、帆高が「逃げた」先は廃ビルの屋上、つまり、結果的には「逃走」にはなっておらず、現に帆高は陽菜さんと一緒に捕まっている。

 

 このような状況を踏まえれば、第4逃走についても期待可能性を否定し、責任阻却の可能性もあるのではないか。

 

まとめ

 

 「犯罪がたくさん!」という「第一印象」に踊らされず、個別の具体的事情を構成要件・違法性・責任の各段階に沿って判断してみると、少なくとも逃走罪については、かなり不成立の議論が有力なものが多い。

 

 法律学徒たる以上、最終手段たる刑法の発動要件については、慎重に検討することが重要である。

 

付記:映画は他も色々見ているのですが、前にブログで話題にした映画が「ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbow」だったので、もう少し増やしたいところですね。

 

ronnor.hatenablog.com

 

付言2:尊敬するイシダP先輩(@twit_chu) *19のコメントを踏まえ、第一逃走周りを少し修正しております。ありがとうございました。

 

付記3:某ブログサービスのAIの示す関連記事はちょっとアレなので、個人的に関連すると思うのは、「コクリコ坂の時代背景を教えてくれる「蛇足」審判〜「判例史学」という新たな地平」です。アニメ映画を楽しんでいたら、もっと楽しい原資料を発見した感があるブログ記事です。

ronnor.hatenablog.com

 

 

 

付記4:前作に引き続き*20企業法務戦士先生にご引用頂きました。

 

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

 

前作に引き、完全な同意見というよりは、異なる立場からの非常に参考になるご意見という感じで、視野が広がります。ありがとうございます! (なお、私は普通に天気の子の映画を複数回観てる派です。)

 

 

*1:とりあえず、PS2版天気の子を俺たちは遊んだことが有る気がしてならないんだ。 - セラミックロケッツ! を面白いと思える人でないとドン引き確定かと。

*2:とりあえず、第2逃走の赤いヘルメットの帆高が線路を走る様子は、赤髪のローラが走るドイツ映画「Lola rennt(ラン・ローラ・ラン)」を思い起こすなぁ、と思いながら観ていました。

*3:聖地巡礼行きましたが、実物はイメージより低かった。

*4:水没してますが(笑)

*5:なお、帆高が風俗に売られそうな陽菜さんの手を引いて逃げるのも逃走罪とは関係がない。威力業務妨害かは議論があるが、刑法上保護されるのが相当ではない程度の違法な業務は保護されない説に立つ(条解3版695頁)と、15歳の少女を風俗に沈めようとする女衒野郎の行為は刑法上保護されるのが相当ではない程度の違法性があると解する。なお、この金髪スカウトが追いかけられて逃げるのも、明らかに逃走罪の問題ではないですよね。

*6:いや、男装美少女と女装美少年の着替えシーンとか、いくらなんでも美味しすぎるでしょう。アヤネ(記帳シーンを見ると「佐倉彩音」)ちゃんの、「元カノ」なのにとブツクサいいながら健気に協力するところや、「あっち向いて」と、少し恥ずかしげなところはまさにこの映画のハイライトであり、このシーンだけで映画入場券代の元を取った気分ですし、このシーンだけを何度も見返すため、BDを買いたくなります

*7:迷い猫オーバーラン」ではなく。

*8:なお、後述9も参照

*9:まあ、そんなのは「迷信犯」じゃないか、というのは、未遂か不能かで問題となが、今回は「既遂」の事案。「空と繋がった」「100%の晴れ女」なら、具体的に何が起こるかはともかく、逃走援助罪における「暴行又は脅迫」程度の結果(「逃走を実現するために必要な範囲の何らかの気象上の物理力」)を惹起することは最初から想定されていたのであり、実行行為性も故意も問題ないだろう。

*10:なお、「拘禁場等の損壊が別に規定されていることから、対物暴行は含まない」とする条解3版306頁も参照

*11:なお、単純逃走ではなく加重逃走を検討するメリットは「勾引状の執行を受けた者」が入るところであるが、仮に逮捕状の執行を受けた場合(東京高判昭和33年7月19日高刑集11巻6号347頁)が含まれるとしても、本件では上記のとおり逮捕状の執行は受けていない。

*12:なお、その後の夏美がバイクに載せる部分は、逃走援助罪にも見えるが、いわゆる不可罰的な事後共犯であろう。

*13:旧刑法144条につき大判明28・10・28刑録1集3巻176頁、大判明28・11月4日刑録1輯4巻34頁

*14:判例時報1556号6頁

*15:800年前、というお寺の天井画や、その前からの「天気の巫女」の歴史と比べれば短い歴史であるが

*16:米山哲夫「 単純逃走罪の当罰性・可罰性」早稲田法学会誌36巻216頁

*17:同上218

*18:同上239頁

*19:私の憲法に対するイメージがネコミミメイドなのは多分先輩のお陰

*20:ブログ開設から14年を迎えて~「法務職域論」に関する若干の考察 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~ 参照

バランス論の立場からの「法務の役割論」

 

ビジネスパーソンのための契約の教科書 (文春新書 834)

ビジネスパーソンのための契約の教科書 (文春新書 834)

 

 

 

いつも殺伐している法クラの中において、企業法務クラスタは比較的激烈な対立が少ない*1。しかし、最近論争になったのは、「法務の役割」論である。

 

本論に入る前に申し上げるが、私の仕事観は「ゆるゆる9時5時で働いて、それ以外の時間は『嫁』*2との生活を充実させたい、毎月160時間*3以上勤務したくない」というものである。このような価値観を共有しない、例えば、「何よりも会社が優先されるべき。『24時間働けますか?』」みたいな人は、このエントリを見ても全く共感できないと思います。

 


 さて、「ゆるゆる」とツイッターで法務役割論を呟いていたら、

 

 

 というリプを頂いた。

 

これをどのように解釈するかは、皆様のご判断に委ねたいものの、私は、

 

「建設的議論をしたいなら、その限りで議論に乗る」

 

というスタンスなので、ツイッターで既に呟いたところを中心に私見をまとめてみた*4

 


1、法務の役割論はどこから出てくるのか?
 議論の対立を鮮明にするため、多少誇張的に述べれば、「役割限定論」は、法務は法律だけやれば良く、「何でもできます」と言えば言うほど、むしろ法務の価値を貶め、仕事と責任を押し付けられる、という議論、「役割拡張論」は、法務が企業の戦略決定から何まで強い影響を及ぼす現代においては、法務はその役割を拡張し、プレゼンスを高めるべき、という議論である。

 

 私はというと、その中間の「バランス論」で考えており、少なくともいずれの陣営にも属さない。この立場は、いずれの陣営からも叩かれる、損な役回りである。

 

 

2. 「ビジネスパーソン」であることを忘れない

 私は、とある企業の法務部門に所属する現役法務パーソンとして、まずは外部事務所の弁護士の先生のような立場と、インハウスを含む企業法務部門に所属する法務パーソンの最大の違いとして、我々が「ビジネスパーソン」であることを指摘したい。

 

 

 「京都弁」でマイルドに書いているが、同じ会社の社員として、事業部門から「仲間」と思ってもらえなければならない。単に「社員」という立場である、というだけではなく、きちんと「ビジネスパーソン」としてのアイデンティティを持ち、そのビジネスをなんとか前向きに進めるにはどうすればいいか、ビジネスの伴走者として、一緒に真摯に考えていく。そういう案件を繰り返す中で、法務が信頼を勝ち取り、「法務は相談しやすい」「ちょっとこれも法務に相談してみよう!」となってくる。法務が信頼されて、適時に十分な情報が入って来る状況、これこそが、企業の内部統制ないしコンプライアンスシステムにおいて、法務が十分にそのなすべき役割を果たしている状況である。

 

 反対に、「私は単に事業部門が持って来たプランが適法か違法かをジャッジして結論を伝えるだけの仕事です」といったスタンスを取るのでは、単に物理的に会社内部にいるだけの外部弁護士と変わらないし、少なくとも「今時の優秀な外部弁護士」よりも、大分価値が低い。もちろん、インハウス雇用の際には「仕事量がある程度存在することから、外部の弁護士に委託するよりも、ある程度の法務知識を有している人を直接雇った方が安い」という発想はゼロではないと思われる。ただ、だからといって、ビジネスパーソンとして、他の同じ会社の「仲間」の共感を勝ち取れない人は、法務パーソンには向いていないと言わざるを得ないだろう。

 

 もし、「役割限定論」が、このような、狭義の法的リスク検討と書面化に自分を閉ざそうとするものなら、到底そのような議論は取れない。

 

 

3. 「何でもやります」でいいのか?

 このように、「法務は相談しやすい」「ちょっとこれも法務に相談してみよう!」という形で情報が早め早めに入るようになると、最初は「法務かもしれないが、そうでないかもしれないグレーな案件」が相談として入って来る。その後では「どう見てもビジネスな、法務ではない案件」が入って来る。

 

 人によっては「全てのビジネスは法務に通じるんだから、法務ではない案件なんてない!」というかもしれない。確かに、ビジネス文書も法的観点は重要であり、例えば、(BtoCはもちろんBtoBでも)公にアナウンスする文書であれば、その表現が虚偽だったり、誇大だったり、競合他社を不当に貶めるものではないか等、法務レビューを入れた方がいい。しかし、(法的紛争の可能性が出て来る案件ではない、普通の案件の)「本当に普通のメールやレター」を毎回のように「これでいいですかね?」みたいに確認を求められる等の場合、「なんでもやります」で本当にいいのだろうか? 私は、このような場合には、満面の笑顔で相談してもらったことへの感謝を示すとともに、「メールや文書で法務に相談すべきことが多い場合(揉めている場合、揉める可能性がある場合、製品の品質等について約束したり、約束していると理解される場合等等)を説明した上で、そのような場合ではなければ、普通のビジネス文書として、事業部門の判断で出してくださいね」と言うようにしている。

 

 このように、業務分野を限定する理由の1つとして、私が「ペーペーの平社員*5」だから、というのはあるだろう。もし、私が、法務部門のトップとして、法務部門に必要なリソース(人材や予算等)を確保したいと思えば「どんなことでも相談があれば、きちんと相談に乗って、それをきっかけに法務のプレゼンスをあげてほしい。『私は法務だからやらない』、という言い訳をいうな!」と、部下に対して発破をかけるかもしれない。このような社内政治上のアジェンダを述べる必要がない、というのは大きいと思われる。

 

 そのような前提で、「本音」を言えば、やはり、「現在の限られたリソースを有効に使う上では、法務の付加価値の部分をできるだけ強調できる仕事をしたい」と考えている。

 

 

 

 この辺りでも呟いたが、一部のなんでもできる人とは違い、私のような「法務しかできない*6普通の法務パーソン」にとって、周りの相談者が「ああ、法務に相談してよかったな!」と喜んでくれるのは、法律や法務の部分が「多い」といえる。営業なら営業、製造なら製造、数字なら経理等、それぞれ本来の部門に1日の長がある。

 

 そういう付加価値ないしは「コアバリュー」の部分の価値を高めることに奮闘するのが仕事の仕方として適切だと考えている。そうではなく、自分が得意ではない法務以外のビジネスに奔走するのは、少なくとも「普通の法務パーソン」にとって、最適なリソースの使い方ではないだろう*7

 

4.「責任」や「内部統制」の問題

 ここで「役割論」、つまり、どのような役割を法務が果たすべきかについて、きちんと述べておきたいこととしては、やはり、内部統制や責任の観点から、どのような分野でも法務がその役割としてしゃしゃり出ていく、というのは適切ではないということである。

 

 内部統制では、きちんと権限を分けてそれぞれに責任を負わせている訳である。もちろん、法務リスクについて適切に相談を受けていれば、法務として必要な検討とアドバイスはすべきであって、それを怠っていれば法務の責任にはなるわけだが、法務で検討した結果、あとは経営判断ですね、となった場合、最終的な「ビジネスディシジョンを行いその責任を取る」のは、やっぱり事業部門である。

 

 

 要するに、責任を取らない/取れない/(内部統制の観点から、権限が分配されていないので)取らせられない法務部門が、少なくとも「前に出て」、これが「法務の役割だ」としてビジネスディシジョンをしてしまうことは許容できない、ということである。

 その意味で、少なくとも上記のような意味での「役割拡張論」をとることはできない。

 

5.実際には「裏方」として働かないといけないことも

 とはいえ、最終的なビジネスディシジョンを事業部門がして責任を取ってもらう前提で、法務が実質的に色々なところで動く、というのは実務上はあり得る。もし、「黒子」というのが良くなければ「裏方」でもいいのだが、裏方が積極的・能動的に動かないと、事業部門が動かないという案件は必ず存在する。

 

 

 

 事業部門としてやらなければならない、でもやった場合に失敗して「バツ」がついてしまってもおかしくないリスクがある案件であるとか、後ろ向き案件である等という場合に、事業部門が二の足を踏んでしまい、法務が「法的リスクからいうと、こういう選択肢がありそれぞれのメリットデメリットはこれです、さあ検討してください!」といっても、事業部門が動かないことがある。事業部門が動かない場合に、事業部門のせいにして法務として何も動かない、というのも全くないわけではない選択肢ではあるが、例えば「今動けばマイナス10、動かないで数ヶ月待つとマイナス20、1年くらい待つとマイナス50になると予想されるところ、今動いてマイナス10が確定することを事業部門が嫌がって動かない」といった場合は、法務の方で「裏方」として、積極的にプロジェクトマネジメントをして、早めに会社のリスクをマイナス10で止めるために奔走すべき場合はあるだろう。

 

 その場合には、まさに「ビジネスパーソンの本領発揮の時」として、法務のコアバリューを超える業務はしなければならないのだが、その場合は、「きちんとお膳立てをする」というのが法務のできる到達点であり、「最終的ビジネス判断は事業部門が行いその責任は事業部門が取る」という点はわきまえておくべきである。

 

6.企業法務の世界へようこそ!

 

 このような「バランス論」を総括すると、以下のようになるだろう。

 

 

 法務に強みを持つビジネスパーソンで、ビジネスと共にビジネスを回していく、場合によっては、実質的にかなりビジネスにコミットすることもできる、こんな役割を持つ法務の世界はとても楽しい、こう私は考えている。

 

 

付記:

本エントリ脱稿後、dtk先生の以下のエントリに触れた。

dtk1970.hatenablog.com

 

 上記は、自分自身の過去の経験から複数の会社で通用すると思う内容であるものの、確かに会社によりニュアンスは違うだろう。なお、「管理系という意味では黒子,という言い方ができるかもしれない。この点,黒子ということがマイナスになるのではないかという言説にも接したが,そのような言説が,仮にまかり通るのであれば,そのことには違和感が残ることも付言しておく」という脚注3も参照。

 

 付記その2:

本エントリー脱稿後にNakagawa先生の下記のエントリに触れた。

www.tetsu-law.com

どのように法務業務を拡張していくかについて、バランスの良い観点から、具体的なノウハウを開示しており、特に「どうやればビジネスに信頼されるか」とか「最近『雑業係』に成り下がってないか」等と考えている法務パーソンにお勧めである。

 

 

付記その3:

なんか「本稿脱稿後に、●●に触れた」的な付記が多くて申し訳ないのですが、どうしても触れておきたい素晴らしい企業法務戦士先生のエントリが降臨された。

 

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

 

私見との相違は、「法務をメインで担当する部署の管理職」の視点vs「ヒラの法務パーソン」の視点という観点の違いであって、管理職になれば、基本的にこのような立場になるのだろうな、と強く共感した。

*1:多分「刑事弁護」とか、「法テラス」とかに基本的に縁がないクラスタだからであろう

*2:これが二次元嫁であるところが、比較的多くの皆様とは違っている

*3:なお、単純に定時で帰った場合、8×20で約160時間だよね、というだけで、某弊社の就業規則上の取り扱いは、もしかすると厳密には「160」という数字ではないかもしれないことに留意されたい。

*4:なお、「黒子」という表現にカチンと来たのかもしれないが、これはクラスタの違いによるものである。私は法アニクラスタ。とあるファンなら「お姉様」に一途な白井黒子に思い入れがあるし、「黒子のバスケ」ファンもいるだろう。

*5:実質的に指導をしたり、色々なことを頼める後輩がいるか否かとか、某弊社は特定の資格の有資格者に対して...待遇をすることがあるか否かとか黙秘

*6:いや、法務すらできない

*7:法務部門は突然仕事が大量に来てそれに追われるということもあるのだから、少しくらい暇(=余裕がある)な方がいい。

デジタルプラットフォーム・プラットフォーマー・デジタル市場のルール整備関係報告書等まとめ

デジタルプラットフォーム・プラットフォーマー・デジタル市場のルール整備関係報告書等まとめ

 

the four GAFA 四騎士が創り変えた世界

the four GAFA 四騎士が創り変えた世界

 

 

【警告:本記事のリンクの大多数はPDFへの直リンクです!! ギガがメリメリ減らないよう、ご自宅でダウンロードされることを強くお勧めいたします。】

 

グーグルが「死ん」でから、久しい。昔は欲しい情報について、適当にキーワードを入れて検索すれば、Googleが参考資料を参考になる順に一覧化してくれたのに、今はググって最初の方に出てくるのは、「まとめサイト」等の無意味なものばかりである。このような今こそ、昔の「リンク集」のようなものの重要性が再度見直されるべき時期である。

 

さて、いろいろな経緯でプラットフォーム及びプラットフォーマーについて検討をしなければならなくなったため、泣きながら関係資料を収集したところ、この1年程で色々な官庁の色々な委員会・研究会等がバラバラかつ大量に報告書等の資料をまとめていて、「何が何やら」状態の反面、ググっても簡単には出てこないので、極めてわちゃわちゃしている。多分同じような悩みを持っている人もいると思うので、現時点まで判明しためぼしい資料を時系列で整理してみた。

 

なお、

ronnor.hatenablog.com

の日本版についても引き続き検討中である。

 

1 プラットフォームの定義について参考になるもの
 主に古い報告書類である。なお、調査の際には、情報法概説85頁(後述4参照)と「プラットフォームサービスに関する研究会 中間報告書」(後述2参照)7頁「《参考1》 プラットフォームの定義について」を参考にした。

 

・2005/8/10 「ユビキタスネット社会におけるプラットフォーム機能の在り方に関する研究会報告書 」(総務省ユビキタスネット社会におけるプラットフォーム機能のあり方に関する研究会)

  • 「複数のネットワーク・端末をシームレスにつなげ、様々なアプリケーションを提供しやすくするための共通基盤」35頁

 

・2007/9 「ネットワーク中立性に関する懇談会報告書」(総務省ネットワークの中立性に関する懇談会)

  • 「認証・課金、QoS(Quality of Service)制御、 デジタル著作権処理など、コンテンツ・アプリケーションを通信サービスレイヤーで円滑に流通させるための機能」3頁

 

・2007/12/6「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会報告書」(総務省通信・放送の総合的な法体系に関する研究会)

  • 「物理的な電気通信設備と連携して多数の事業者間又は事業者と多数のユーザー間を仲介し、コンテンツ配信、電子商取引、公的サービス提供その他の情報の流通の円滑化及び安全性・利便性の向上を実現するサービス」24頁 

 

・2008/9 電気通信事業分野における競争状況の評価「V プラットフォーム機能が競争に 及ぼす影響に関する分析」総務省

  • 「エンドエンドベースのデータ流通において、端末あるいはネッ トワーク、又はその双方の連携によって情報の付与・加工・再構成などを行うもので あり、コンテンツ・アプリケーションを通信サービス上で円滑に流通させるための共通的基盤 」263頁

 

・2009/1/30「通信プラットフォームのあり方」(総務省通信プラットフォーム研究会)

  • 「通信レイヤー上でコンテンツ・アプリケーションを円滑に流通させる機能」5頁

 

・2012 「情報通信白書平成24年版」(総務省)

  • 「ICT ネットワーク、とりわけインターネットにおいて、多数の事業者間ないし多数の事業 者とユーザー間を仲介し、電子商取引やアプリ・コンテンツ配信その他の財・サービスの 提供に必要となる基盤的機能」 

 

・2018「情報通信白書平成30年版」(総務省)

  • 「ネット広告、ネット市場、検索エンジンSNS、アプリ市場、決済システムなど、広範なネット上の活動の基盤」

なお、2の「プラットフォームサービスに関する研究会 中間報告書」の定義も参照。

 

2 プラットフォーム規制の方向性について参考になる近年の議論

 ほとんどがこの1年に出された報告書である。

・2016/9/15 経済産業省第四次産業革命に向けた横断的制度研究会報告書」(経済産業省第四次産業革命に向けた横断的制度研究会)

 

・2018/7  「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(経済産業省)

 

・2018/12/12「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」中間論点整理」(公正取引委員会経産省総務省デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会)

 

・2018/12/18 「プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備の基本原則」(公正取引委員会経産省総務省)

 

・2019/2「オンライン・プラットフォームと事業者の間の取引関係に関する事業者向けアンケート調査」(経済産業省)

 

 

・2019/2/13 「デジタル市場のルール整備に関する参考資料」(第23回未来投資会議資料1 日本経済再生総合事務局)

・2019/2/13「デジタル市場のルール整備についての検討項目」 (第23回未来投資会議資料2 「第4次産業革命構造改革徹底推進会合会長 )

 

・2019/4/5「プラットフォームサービスに関する研究会における中間報告書(案)に対する意見募集の結果及び中間報告書の公表」(総務省プラットフォームサービスに関する研究会)

 

・2019/4/17「デジタル・プラットフォーマーの取引慣行等に関する実態調査について(中間報告)」(公正取引委員会)

 

・2019/4「オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会報告書」(消費者委員会)

・2019/4/18「プラットフォームが介在する取引の在り方に関する提言」(消費者委員会)

 

・2019/5/21「プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備に関するオプション」(公正取引委員会経産省総務省)

 

・2019/5/30「デジタル・プラットフォームに関する消費生活相談の概要」(国民生活センター)

 

 ・2019/6/7 「デジタル時代の新たな IT 政策大綱」(高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部 官民データ活用推進戦略会議)

 

・2019/6/21「成長戦略フォローアップ」(閣議決定)

 

・2019/6/21「成長戦略実行計画」(閣議決定)

  • 末尾のスケジュール2頁、第2章1.デジタル市場のルール整備も忘れず参照のこと

 

・2019/6/28 「第33回インターネット消費者取引連絡会

 

・2019/7/5 「デジタル・プラットフォームに関するトラブル」(国民生活センター)

 

3 プラットフォームと独禁法について参考になるもの

 さて、なぜこの問題を検討しなければならなくなったのかは端的にいって禁則事項!」なのですが、とりあえず、プラットフォームと独禁法について、上記2で触れていない参考資料をいくつかご紹介。

 

(1)データと競争政策

・2015/10 市川芳治「プライバシー・ビッグデータ・競争法 : Facebook/WhatsApp 欧州委員会決定を題材に慶應法学33号135頁

 

・2016/12「流通・取引慣行と競争政策の在り方に関する研究会報告書」(公正取引委員会流通・取引慣行と競争政策の在り方に関する研究会)

 

・2017/6/6 「データと競争政策に関する検討会」報告書 (公正取引委員会 競争政策研究センターデータと競争政策に関する検討会)

 

・2017/6/16「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」の改正について(公正取引委員会)

 

・2017/7 「ジュリスト2017年7月号(1508号) 特集プラットフォームと競争法」の各文献

  • 白石 忠志「プラットフォーム等の問題を検討するにあたって」
  • 滝澤 紗矢子「流通・取引慣行ガイドライン改正の概要」
  • 長澤 哲也「プラットフォームと流通・取引慣行ガイドライン
  • 増島 雅和「シェアリングエコノミーの主要な特性と競争政策への示唆」
  • 杉本 武重「個人データ保護と競争法 」
  • 藤井康次郎 ・角田龍哉「ビッグデータと単独行為」
  • 帰山 雄介「ビッグデータと企業結合規制」
  • 池田 毅「デジタルカルテルと競争法 : AI・アルゴリズム・IoTは独禁法理論に変容をもたらすか」 

 

・2017/8〜伊永 大輔 ・小川 聖史 ・寺西 直子「連載:デジタル・エコノミーと競争法(1)〜(8)」公正取引802号〜818号

  • 第1回 破壊的技術革新と競争法・競争政策
  • 第2回 データと競争法・競争政策
  • 第3回 多面市場・プラットフォームビジネスと競争法
  • 第4回 最恵国待遇(MFN)条項と競争法
  • 第5回 アルゴリズム・AI(人工知能)と競争法
  • 第6回 技術革新と競争法・競争政策 : 事業分野別の議論状況
  • 第7回 Eコマースの競争法・競争政策への示唆(上)
  • 第8回 Eコマースの競争法・競争政策への示唆(下)

 

・2018 「季刊 Nextcom33号 特集 情報通信市場と競争」の各文献

  • 青木淳一「非対称規制の現状と課題 : 2015年電気通信事業法改正を振り返る」
  • 大木 良子「オンラインプラットフォームと競争」
  • 早川 雄一郎インターネット時代の消費者保護規制の一断面 : FTCによる「消費者プライバシー」の規制からの示唆」

 

・2018 滝川敏明「デジタルプラットフォーム・ビッグデータ独禁法・競争法 : グーグル・アマゾン・フェイスブックを巡って上・下」国際商事法務46巻1号及び2号

 

・2018/7 杉本 武重「EU競争法とプロファイリング規制・データポータビリティの権利」リスト1521号44頁

 

・2018/8 白石忠志「「プラットフォームと競争法」の諸論点をめぐる既存の議論」ソフトロー研究28号37頁

 

・2018/9林秀弥「ビッグデータ、AI時代に独占禁止法はどう立ち向かうか。」TASC monthy 513号13頁

 

・2018/10〜 藤原総一郎ほか「連載:デジタルプラットフォームの法律問題」NBL1131号〜

 

・2018/11 田中 裕明「ビッグ・データと競争法(Big Data und GWB)」公正取引817号47頁

 

・2019/3 「公正取引 821号 特集 プラットフォームと競争政策」の各文献

  • 井畑 陽平「取引型」の二面プラットフォームによる垂直的な制限とシャーマン反トラスト法1条 : アメックス事件連邦最高裁判決[2018.6.25]
  • 小川 聖史「プラットフォームと競争法・競争政策 : 企業結合規制と確約手続の利用を中心に」
  • 泉水 文雄「デジタル・プラットフォームのルール整備と競争政策」

 

 ・2019/3 林秀弥「 プラットフォームと二面市場 : その競争的含意と法的課題」法律時報2019年3月号59頁

 

・2019/5〜 伊永大輔・東條吉純ほか 「連載:デジタルプラットフォームと経済法・国際経済法」法律時報2019年5月号〜

 

(2)国内事例

・2010/12/2 ヤフー株式会社がグーグル・インクから検索エンジン等の技術適用を受けることについて(公正取引委員会)

 

・2011/6/9  株式会社ディー・エヌ・エーに対する排除措置命令について(公正取引委員会)

 

・2015/4/28 JASRAC事件最高裁判決・最判平成27年4月28日民集69巻3号518頁(最高裁)

 

・2016/6公表 ヤフー(株)による(株)一休の株式取得(公正取引委員会)

 

・2017/6/1アマゾンジャパン合同会社に対する独占禁止法違反被疑事件の処理について (公正取引委員会)

 

・2017/8/15アマゾン・サービシズ・インターナショナル・インクからの電子書籍関連契約に関する報告について(公正取引委員会)

 等

 

(3)代表的海外事例

・2016/12/20欧州委員会,フェイスブックがWhatsAppの買収(2014年承認)に係る企業結合審査において欧州委員会に不正確・誤解を招く回答をしたとして,フェイスブックに対し異議告知書を送付(公正取引委員会websiteより)

・2017/5/18 欧州委員会,フェイスブックによるWhatsAppの買収計画調査の際,フェイスブックが欧州委員会に対して不正確又は誤解を招く情報を報告したとして,同社に対し1億1000万ユーロの制裁金を賦課  (公正取引委員会websiteより。かなり下の方。)

・2017/7/17欧州委員会,アマゾンと電子書籍出版社の契約における最恵国条項に対する調査において,アマゾンから提出された最終的な確約案に法的拘束力を与える決定を採択(公正取引委員会websiteより)

・2018/7/18 欧州委員会は,Googleが,インターネット総合検索サービス市場,モバイルOS市場及びAndroid OSのアプリケーションストア市場における支配的地位を濫用し,Android端末製造業者及び移動体通信事業者に対し制限を課していたとして,同社に対して総額43億4000万ユーロの制裁金を賦課(公正取引委員会websiteより)

・2019/2/7ドイツ連邦カルテル庁は,Facebookに対して,多様なソースからユーザーデータを統合することを禁止した旨を公表(公正取引委員会websiteより)

・2019/3/20 欧州委員会は,Googleに対し,オンライン検索連動型広告の仲介市場における支配的地位の違法行為があったとして,14.9億ユーロの制裁金を賦課したことを公表(公正取引委員会websiteより)

等 

 

4 その他

 その他の関連文献として、

 ・自主規制の公法学的研究

自主規制の公法学的研究 (九州大学法学叢書 1)

自主規制の公法学的研究 (九州大学法学叢書 1)

 

 


情報社会と共同規制

 

情報社会と共同規制: インターネット政策の国際比較制度研究

情報社会と共同規制: インターネット政策の国際比較制度研究

 

 


表現の自由アーキテクチャ

 

表現の自由とアーキテクチャ

表現の自由とアーキテクチャ

 

 

アーキテクチャと法

 

アーキテクチャと法―法学のアーキテクチュアルな転回?

アーキテクチャと法―法学のアーキテクチュアルな転回?

 

 

情報法概説

 

情報法概説 第2版

情報法概説 第2版

 

 
等をご参照下さい。

 

5 お願い

私はこの分野は全く詳しくないので、ぜひ「不足している情報」を教えて下さい。一番ありがたいのはTwitter @ahowota までリプを頂戴できれば嬉しいですが、 ronnor1 あっと gmail.com へのメールや、当ブログへのコメント等適宜の方法で構いません。どうぞ宜しくお願い致します。

 

 

 

ぼくたちは英文契約(外国法準拠)のレビューができない

 ぼくたちは英文契約(外国法準拠)のレビューができない

  一部界隈では、外国法を知らなくても、日本法のアナロジーで外国法準拠の契約をレビューできるという言説があるらしい。

 ここでは、「英文」契約の問題(つまり「英語」の問題)はさておき、「外国法準拠」の問題のみを取り上げたい。つまり、「日本語で書かれた韓国法準拠の契約をレビューできるのか?」といった問題状況を設定したい。

 

 なお、本エントリ作成の際、dtk先生(Twitter : @ dtk1970 )のご意見を参考にさせていただき心より感謝している。但し、本稿は完全に私の私見であり、むしろdtk先生のご意見は主に「想定される反論」の部分の参考とさせていただいている。

 

1.「素人」は(日本法準拠の)契約をレビューできるか?

 本エントリの読者は、法務パーソンその他法務に関係が深い人が多いだろう。営業等の人には失礼を承知で書くが、(日本法準拠の)契約レビューの素人といえば、営業が典型的である。イメージしてほしい。営業がやって来て、「先方の雛型に少し本件の情報入れて私の方で修正しておきました。問題ないと思いますが、一応法務確認お願いします!」と言う。これって、死亡フラグの典型ではなかろうか?

 

 営業は素人なのだから、法律のことは何も分からずにビジネス文書として契約書を読んで、その理解に基づきリスクの有無を判断する。しかし、契約書は、「日本語」で書かれているのではなく、法律の世界で厳格に定義された用語を用いて、法令の規定によって「何も書かれていない場合には特定の規律が適用される」ことを前提に、その例外条件等を書き出している(なお、任意規定と同じ内容の「確認規定」もある)。

 

 すると、素人が日本語だと思って読んでリスクがあるかどうか考えることにほとんど意味はない。皆様は、営業等の素人が法務に相談せずに、変な覚書にサインして、トラブルになってから「契約書というタイトルでなかったので、ビジネス文書としてサインしました。あれ、なんかヤバかったですか?」みたいな「アチャー」感のある状況の経験はないだろうか?

 

 

2.法務部門の存在意義

 そもそも、契約が素人の手に余るからこそ、素人に勝手に対応させず、専門的な部署である法務部門がチェックすることこそが、「会社を守る」ことにつながる、だからこそ、我々法務パーソンは雇われている。

 「素人でも契約書がチェックできる」という命題を認めることは、まさに我々「法務部門」や「法務パーソン」の存在意義そのものを否定することである。

 もちろん、法務部門を維持し、法務パーソンを雇うことには費用がかかる。経営資源は貴重なのだから、これを法務なんかに回すべきではない、というのは昔の「常識」であった。しかし、先人の努力により、徐々に、法務部門に経営資源を配分することが、長期的な会社の発展につながる、との理解が広まってきた。もちろん、中小企業では未だに法務部門が存在しないこともあるが、大企業では(「部門」まであるかはともかく)法務担当者を置くことが増えている。

 

注:企業法務戦士(@k_houmu_sensi)先生から以下の貴重なコメントを頂戴した。

 

確かに、法務の成り立ちは各社毎に異なっており、契約書の管理等が法務の成り立ちである会社もあれば、それとは異なる成り立ちの法務部門もある、という視点は重要である。企業法務戦士(@k_houmu_sensi)先生に感謝するとともにこの点を補足させていただく。但し、私の趣旨は、「契約レビュー業務」そのものの重要性というよりは、「法務部門が法律・法務のプロフェッショナルであり、そのようなプロフェッショナル組織の維持のために会社が経営資源を投入すること」の重要性の部分にあったので、その点について誤解があったとすれば残念である。


 

3.外国法準拠の場合には、我々は「素人」である

 ここで「我々」というのは、日本法の知識や実務経験はあっても、いわゆる外国法を知らない、外国法の素人である法務パーソンをイメージしている。

 

 日本法の素人が日本法準拠の契約を取り回すのがリスキーなら、外国法の素人が外国法準拠の契約を取り回すことも同様にリスキーである。例えば、「中国企業との契約で東京地裁管轄に合意する」、これは、日本法のアナロジーからすれば素晴らしい発想だが、東京の勝訴判決は中国では執行できない。準拠法を理解しない素人が取り回すには契約は危険すぎるのである。

 

4.法務のレゾンデートルを守るために
 法務がプロフェッショナルである条件は、プロフェッショナルな仕事ができない案件については手を引く、要するに「やらない」、ということである。素人は、何が自分ででき、何が自分でできないかの判断ができない。しかし、プロフェッショナルな法務パーソンは少なくとも「これは無理だ」と、顧問弁護士に頼むという判断をしているだろう。そして、プロフェッショナルな法務パーソンであれば、外国法準拠の契約については「自分はできない」というべきであろう。

 以下、いくつかの、想定される反論について検討しよう。
 まず、「そもそも日本法で合意できる可能性もある」という点については、日本法で合意できる可能性が90%あれば普通に日本法前提で交渉し、合意できない可能性が増えて来た段階で外部専門家に頼むことは可能であろう。しかし、契約交渉開始時点で日本法で合意できる可能性が高かったからといって、日本法で合意できない可能性が増えて来た段階でもなお自分でできるという理由にはならないだろう。

 次に、「国際契約の汎用スキルを身につけている」という反論も想定される。確かに、FOB条件等、いわゆる「国際取引実務」の知識は別に準拠法がどこの国でも必要である。しかし、それはいわば「私はこのビジネスを長くやっているから、ビジネスリスクを知っている」と豪語する営業と同じであり、そういう知識があるからといって、ただちに「契約」のレビューができることにはならないだろう。

 更に、現在は経営資源の配分についてやっと大企業が国内法務について法務部門に資源を投入することの理解が広まった段階であり、外国法務について外部専門家のコストを負担するということへの理解はまだ広まっていないのだから、将来的な「理想論」はともかく、現時点での「現実論」としては、「やらざるを得ない」という反論がある。これは、一番説得的な反論だと思われる。もしかすると、目の前の仕事に対する姿勢としては、「外部弁護士の起用を提案するが、それは予算がないと言われ、自分で対応する」という姿勢はやむを得ないのかもしれない。しかし、同じ状況を何度も繰り返し、そのような現実を(たとえ消極的でも)肯定すべきなのだろうか。少なくとも長期的対応としてなすべきことは、「まずは試験的に外部弁護士を起用して、どの位専門家のレビューと素人のレビューが違うのかを見てみる」等、できるだけ現実を理想に近づける対応だと考える。

 法律問題、コンプライアンス、そして契約書は専門的だから、社内にプロフェッショナル集団が必要である、これが法務のレゾンデートルなのであれば、そのレゾンデートルを自ら否定するようなことはすべきではない。仮に目の前の仕事では、現実論を無視できない部分があるとしても、長期的対応として理想に一歩でも近くように努力をすることを怠れば、「そもそも、素人が英文契約できるなら、素人が和文契約をレビューしてもいいよね」という話になっても何もおかしくない。

 

 だからこそ、「僕たちは英文契約(外国法準拠)のレビューができない」ことを、正面から認め、それを前提に、予算取り等外部専門家の協力を調達することにリソースを注ぐべきである。

 

追記:

dtk1970.hatenablog.com

dtk先生に補足を頂いた。

基本的には、「米国法準拠契約のレビューについてプロフェッショナルなレベルの知識、経験、能力をお持ちのdtk先生であれば、何の問題もないことには100%同意するのですが、私が想定しているのは、普通の『日本法準拠の契約書ならレビューできます。え、Perfect Tender Ruleって何それ?おいしいの?』という程度の法務パーソンなので、想定される対象が違います」という印象であるが、いずれにせよ、本エントリに対してアンサーエントリーを頂戴したこと自体は極めて光栄であり、深く感謝の意を表したい。

 

 

判例データベース収録裁判例数「徹底比較」!

 

【免責事項】本エントリは、判例データベースサービスの選択の際の1つの参考情報を提示しているに過ぎず、本エントリのみに依拠して判例データベースサービスを契約・解約等されても、当方において一切責任を負うことはできません。

 

1 はじめに

 

私は単なる一介の法務パーソンであり、何ら特定の判例データベースないしはデータベース提供会社と利害関係はありません。しかし、判例データベースについては一家言あり、かつて、私はあの『大嘘判例八百選第4版』に「判例検索システムクロスレビューへの参加という形で寄稿させていただいたこともあります。

 

go3neta.hatenablog.com

 

さて、最近、どうも、判例データベースの収録裁判例数の比較をしよう、という議論があるようです。そこでは、1〜2年分のデータでの比較がなされているようです。しかし、私は、「最近1、2年の比較によって、収録裁判例数の多寡を云々するのは適切ではない」と思いますので、面倒ですが、20年分比較したいと思います

 

2 手法

幸いなことに、当アカウント*1内でD1-Law、判例秘書、TKC(LEXDB)、Westlawの4判例データベースのアクセスが(適法に)できる環境にあるため、単純に、期間を1年毎に区切って各判例データベースに収録されているその時期の全裁判例を検索するという「地味で地道な作業」をしました*2

 

3 集計結果

2019/5/12現在では、以下のとおりとなります。

その年の最高は赤字+太字、最低は青地+下線としてみました。

 

まず、2010年代から。 

 

2010年代比較

DB名 D1 Law Westlaw TKC 判例秘書
2019
581
247
249
167
2018
6782
4166
4422
2539
2017
8810
7226
7350
4311
2016
9527
7864
9097
6591
2015
9098
7121
9488
4093
2014
9245
7159
9792
3382
2013
9913
6856
10000
3547
2012
3956
5848
12176
3500
2011
2959
5616
4141
3373
2010
3195
6007
3459
3503
2010年代計
64066
58110
70174
35006

 

TKCとD1のデッドヒートの末、辛うじてTKCがかわして2010年代の栄冠はTKCに輝いた感じですが、最近はD1が強いので、数年内にD1が追い抜く可能性があります。これに対し、2010年代だけを見る限り、判例秘書の収録裁判例数が圧倒的に少なく、最大のTKCの約半分と大きく差をつけられています。

 

次は、2000年代を見てみましょう。

 

2000年代比較
 DB名 D1 Law Westlaw TKC 判例秘書
2009
3319
7163
3276
3661
2008
3298
5624
3089
4145
2007
3523
6864
3288
6456
2006
3566
3681
3405
7033
2005
3847
3682
3598
7358
2004
3998
3796
3747
7446
2003
4194
3918
4004
7707
2002
4363
4055
4099
4819
2001
3853
3593
3554
2889
2000
3443
3298
3091
2510
2000年代計
37404
45674
35151
54024

 

ところが、2000年代になると、2010年代の「優等生」のはずのD1とTKC最下位レースを繰り広げることになります。逆に、判例秘書は5回も収録裁判例数ナンバー1の年があり、堂々の1位、次いでWestlawとなります。

 

4 まとめ

基本的には、

判例秘書が2002年(平成14年)〜2006年(平成18年)まで強く

・Westlawが2007年(平成19年)から、2011年(平成23年)まで強く

TKCが2012年(平成24年)から2015年(平成27年)まで強く

・D1-Lawが2016年(平成28年)以降は強い

という結果になりました*3

 

私は、『大嘘判例八百選第4版』に寄稿した、「判例検索システムクロスレビュー」の中で判例データベースは4社全てを状況に応じて適宜使い分けることが大事!」と書きましたが、この「感覚」が、今回「数字」で裏付けられたのは大変良かったです。

 

なお、例えば2019年の裁判例が少ないのは、現在収録準備(匿名化等)をしているからであって、しばらくすると3000ー1万件程度収録されるようになると思います。その意味で、ここで出てきた数字はあくまでも「参考」であり、しかも、収録された裁判例の数以外にUIとか文献データへのリンク等様々な評価軸が存在すると思われますので、判例DBをお選びになる際は、本エントリのみに依拠せずに、様々な情報を入手して慎重にお選び下さい!

*1:本ブログを運営するronnorの「中の人」という意味。

*2:その結果、例えばD1-Lawの「収録準備中」(特定の裁判例が存在していることを知っているが、まだ全文を公開できていないもの)も数に入ってしまう等、「誤差」がある数字だとご理解ください。

*3:これは、同時に、わずか1〜2年の収録裁判例数をもって比較することが比較方法として妥当ではないということの証明にもなったと思います。

あるPMIの思い出ーラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbowの感想に代えて

 

 

 

【超ネタバレ注意】このブログエントリは、ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbow、すなわち、2019年1月4日に公開されたいわゆる「ラ!サ!!劇場版」の核心部分を含むストーリー全体の超ネタバレです。まだ映画館に行っていない人は映画館へ急げ!!

 

1.はじめに

 

「ラ!サ!!劇場版」に心が揺さぶられ、ブロガーとして感想を書きたくなった。しかし、正面から、この映画を「『受容』と『引継』の物語」として論じたところで、あまり法アニクラスタ兼現役法務パーソンらしくないので、私は「PMI」すなわち、ポストマージャーインテグレーション(合併後の統合)の物語としてとらえたい。

 

複数組織が一つに統合される事態は、単純な企業内の組織再編、グループ内再編等でも起こる。それは、それなりに大変ではあるが、やはり第三者との関係での統合は格別である。その法的位置付けとしては、様々なものがあり、事業譲渡や会社分割等もあるが、典型は合併である。

 

本当の合併の実態にはグラデーションがあるので単純ではないが、話を単純化させれば、実質的に対等なもの(対等型)と、実質的に一方が他方を吸収するもの(吸収型)がある(法的には新設合併より吸収合併というスキームが採用されることが多いが、ここでいう対等型と吸収型はこのような法的スキームの話ではない)。

 

たしかに対等型も大変である。一部の対等合併事案では、いわゆる「たすき掛け」人事を行い、特定のポストについてまずはA社出身者、次はB社出身者と交互に担当することで、どちらからも不平等との声が出ることを防ごうするが、それは、長期間各社員に「●●出身」のラベルが貼られることを意味する。むしろ、会社全体の長期にわたる大変さだけでいえば、対等型の方が大変かもしれない。

 

2. 吸収型の大変さ

しかし、吸収型が非常に大変であることは嫌という程知っている。これは決して私が最初に入った企業(なお、その後外資系等へと転職しながら現在も某企業の法務部門で法務パーソンをやっています)のことではないが、吸収する方(強者)はともかく、とりわけ吸収された方(弱小側)はとても大変である。

 

確かに会社規模は総体的に小さいかもしれないが、弱小側にだってもともと「組織」があって、その中で出世競争がある訳である。例えば、今の法務部長は後●年。その後はあの課長が順当に行けば部長になり、その次はこの中のどちらかで、自分はその次の次あたりかな、みたいな大きな流れを読みながら職業生活の見通しを立てて毎日を過ごしている。

 

ところが、その会社が吸収されると、例えばポストが文字通り「なくなる」。(本当の)対等合併なら約半分になるのだが、吸収型だと、主要ポストは全て強い方に握られ、弱小出身は、例えば次期法務部長と目されていたようなエリートでも、たちまち出世の目がなくなる。

 

もちろん、吸収型でも、「対等の建前」に弱小側がこだわり、それを合併の条件としたりするので、合併前や合併直後は、ある程度メンツは保たれるかもしれないが、例えば出世部門と左遷部門を半々に分けて、出世部門トップは強者出身、左遷部門のトップは弱小出身とするとか、弱小出身の部長相当の者を「部付部長」とする、と言った、表面上の対応がされるに過ぎず、実質的には、弱小出身に出世の目がなくなる。

 

例えば、そのような表面上の対応の一つに、(弱小側の一番美味しい花形部門を本社側に持っていった上で)弱小側を独立した事業部として、そこだけは人員もポストも弱小側で独占させる、というのがある。例えば合併後に新オフィスに移転するが、新オフィスは、強者+弱小花形部門のスペースしかないので、弱小側は元倉庫を改造したオフィスで自由に事業をしてくれ、但し、独立採算なので稼いでくれよ、赤字になったら分かっているよな。みたいな感じである。

 

実は、これは費用を抑えてレイオフするという意味もあり、基本的には、花形部門がなくなった「お荷物部門」ばかりが残っている事業部門は、当然業績は最悪で、「成果主義」の名の下、予算は削られるばかりで、将来の展望が見られない中、勝手に辞めて行く。そのような中、優秀な人がその弱小事業部門にいれば、「踏み絵」を踏ませて、最悪の状況から救ってあげた、という体で引き抜く。

 

3.弱小側の対策と「結末」 

このような逆境において、弱小側も、色々なことを考える。例えば、弱小側の凄さ、良さをアピールして、わかってもらおうとする。しかし、おうおうにして、そこにかける熱意が空回りして、失敗し、逆効果となる。

 

また、今強者側にいる人をこちらの味方に引き込んで、弱小側を正当に扱ってもらえるように試みる。「たまたまあそこに従兄弟がいるので、ちょっと話を聞いてもらいに行くよ」、そんなこともあるだろう。

 

更には、既に統合の際に「ヤバさ」を察知して辞めていった先輩を追いかけ、先輩に相談することもあるだろう。流石に外国までわざわざ追いかけた例は聞いたことがないが。ただ、同情はしてくれるだろうが、その先輩に頼りきりになってはならず、やはり最後は自分たちで対応して行くことになる。

 

加えて、他の会社にいる友達にこちらに来てもらうという話が出てくることもある。確かに「戦力」は必要だが、なぜ優秀な人がこのような「逆境」に来るべきなのかについて合理的な説明ができなければ、やはり最後は来てくれないだろうし、その友達の転職の本当の動機によっては、その動機を別の方法で解決した方がお互いにとって良いかもしれない

 

結果、抵抗を誓い合った同志も、一人減り二人減りとなり、最終的には四方八方に散り散りになって終わることは多い。強者の支持を集めて弱小側が尊敬され、対等に扱われる「ハッピーエンド」はフィクションの世界にしか存在しないといっても過言ではないだろう。

 

しかし、それでも、この映画は全く他人事とは思えずに、Aqoursのみんなを心の中で応援した。エンディング後、館内の電気がついた時、前がボヤけて見えなくなっていた。ハンカチで目をぬぐったら、水分を吸収したその重さに、自分の感情が溢れたことを改めて気付かされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これがはてなブログへの移行後の最初のエントリです。初めての方は「初めまして」、そしてはてなダイアリー時代の方には「お久しぶりです」ということで、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。

 

 

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