公判前整理手続を活かす―新たな手続のもとでの弁護実務 (GENJIN刑事弁護シリーズ (05))
- 作者: 日本弁護士連合会裁判員制度実施本部
- 出版社/メーカー: 現代人文社
- 発売日: 2005/12/01
- メディア: 単行本
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1.公判前整理手続とは
2.裁判員裁判だけではない
裁判員裁判名簿に登録しなければ、(私選で裁判員事件を受けない限り)裁判員裁判の弁護をすることは基本的にない。
そこで、自分に公判前整理手続の知識は不要と考えている弁護士も少なくないのではないか。
確かに、裁判員裁判以外の事件では、仮に被告人が否認していても、公判前整理手続や期日間整理手続きをしないのが一般的な運用であり、例外的に多数の証人が予想される場合に公判前整理手続や期日間整理手続が実施される運用である。
ところが、通常の否認事件はもちろん、自白事件でも、情状証人以外の証人尋問を行う場合には、公判前整理手続の知識が不可欠なのである。
証人尋問を行う等、本格的に争う事件であれば、「証人が捜査機関に述べた内容は尋問前に全部開示してもらう」「関連する証拠も開示してもらう」といったことが、適切な弁護ができない。
ここで、公判実務において検察官が任意に開示するのは「(公判前整理手続における)類型証拠」だと検察官が考える証拠に限られる。ronnorが見た事件でも、検事が「類型証拠該当のものしか開示できません。」と言っていた事件もある。
つまり、何が公判前整理手続における類型証拠かを把握しておかないと、このような事案での適切な弁護が難しいのである*1。
3.「公判前整理手続を生かす」
*1:なお、その事案では、裁判官が「弁護側が主張を明示して具体的な証拠について必要性を説明したら、主張関連証拠についても開示されたい」と検察官に伝え、検事はあいまいな笑みを浮かべていた。