小説で読む民事訴訟法

- 作者: 木山泰嗣
- 出版社/メーカー: 法学書院
- 発売日: 2008/03/01
- メディア: 単行本
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民事訴訟法は、複雑で、様々な概念が飛び出してくる。「弁論主義の第3テーゼ」「職分管轄」「類似必要的共同訴訟」「独立当事者参加」等、どう考えても日本語には思えないような概念がどんどん出てくる。このため、俗に「眠素(みんそ)」と呼ばれている。
2.「小説」で読む民事訴訟法
眠くなる理由は簡単で、概念を抽象的に議論しているからである。具体的な設例とともに、これらの概念が現実の民事訴訟に果たしている役割が解説されれば、非常にわかりやすくなる。
そこで出てくるのが、「小説で読む民事訴訟法」である。
著者は、税務訴訟で有名な鳥飼総合法律事務所の弁護士であり、「自動車教本を暗記しても、自動車は乗れない。具体的なイメージが大事」という持論を証するため、小説の中で、民事訴訟の概念が自然にわかるこの本を著した*1。
この本は、学生で、法律事務所事務員のバイトをする主人公の祐一が、事務所が担当する民事訴訟を傍聴したり、自分自身が訴えられる中で、民事訴訟の鍵となる概念を理解していく。
シーンが唐突に行き来する箇所もないではないが、筋書はなかなか考えて作られており、興味を持ちながら通読可能であろう。
この本を読めば、民事訴訟法の大半の分野の「原理原則」は理解できる。後で例外や、派生問題を研究するのも、原理原則がわかっていれば楽だろう。複雑訴訟形態(被告原告複数、訴訟物複数等)への言及が少ないのはちょっと残念であるが、第二版に期待したい。
まとめ
民事訴訟が「つまらない」と思っていても、試験・実務で民訴の理解は必須である。
この本で原理・原則を具体的に理解すれば、民事訴訟法が眠くなくなり、理解を助けてくれることだろう。
参考:ぜひ会社法対応改訂を!「小説で読む会社法」 - アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常
*1:「ビジュアル化・カラー化等の工夫を凝らし、読む人全てを感動させる文章を書く」と自称するちょっと自意識過剰的なところがなくもないが、そこはあんまり気にしないのがよろしかろう