まず、法アニクラスタとは何か。これは難しい。例えば、法曹/裁判をテーマにした漫画・アニメは意外と多い。最も有名なのが「家栽の人」や「逆転裁判」であろうが、「家栽の人好き」「異議あり!好き」と法アニクラスタが同一かというと、多分ちょっと違う気がする。
そこで、以下では、アニメ・漫画・ライトノベル等をそれとして好み、かつ、法律をそれとして好む、いってみれば、「アニメ好き兼法律好き」を意味するものとして検討したいが、ここは異論が多いところであろう。
1.基本書
空想科学読本の「法律」版であり、軽妙な語り口で、空想世界の法律問題を考察する。
これをきっかけに、法アニクラスタになった人は多いのではないか。
なお、この本は主に「特撮」を題材にしており、いわゆるアニメ・漫画がほとんど含まれていない*1。
2.空想の事件を法律で解決する本
基本書たる空想法律読本と同じような「空想世界の事件を法律で解決する本」として、追加で3冊紹介しよう。
また、実は、空想法律読本よりも先に「空想科学裁判」が、別の出版社から刊行されていた。コンセプトはかなり似ている。私が存在を認識したのは空想法律読本が先だったが、その前年(2000年)に空想科学裁判の方が出版されていたようである。
なお、いずれも、「元ネタが分かってナンボ」の面があるので、目次を確認しておくことを強くオススメする。
3.応用編
他にも、法アニクラスタ向けの本は多岐に渡る。ただ、私の印象は、「漫画やアニメを導入に使うだけで、アニメ度が低い」モノもあるので、いわゆる「玉石混交」状態である。
例えば、「『風の谷のナウシカ』(1984年、日本)も好きです」と公言される松井茂記先生が書かれた、「シネマで法学」のナウシカの章は、単なる環境法概論になっていて、風の谷の環境法が読みたいのに!というもどかしさを感じてしまった。
このような中で、オススメできるものとしては、以下の2冊である。
「メイド喫茶でわかる労働基準法」
一部の人にとって最も「敷居の低い」労働法入門〜メイド喫茶でわかる労働基準法 - アホヲタ元法学部生の日常
- 作者:藤田 遼
- 発売日: 2011/04/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
「国際法から始めようーもう一つの法律学への序曲」
オタクのための稀代の「国際法入門書」〜国際法からはじめよう - アホヲタ元法学部生の日常
- 作者:佐々木 将人
- メディア: 単行本
4.上級編
上級編としては、法曹ものBL*2を紹介しようとも考えたが、普通のBLより遥かに破壊力を持つ同人誌を紹介したい。
これが本当に法アニクラスタ向けの本なのかは分からないが、激烈な印象を残した同人誌としては、
ノンポリ天皇『たたかえっ! 憲法9条ちゃん』
がある。これが、私がComicZinで最初に買った本でもある。
いわゆるライトノベル風の筆致で憲法9条にまつわる危ないネタを散りばめた本である。読者を選びまくりで、引く人が多分多数派であるが、一部の人の熱狂を呼び3刷というのも分かる気がする。
ネタバレになるので詳述はしないが、個人的には、「こんなネタは自分くらいしか知らないだろう」と思っていた
まとめ
自分が所属していると考えたている「法アニクラスタ」向けの本を紹介してみたが、「こんなの法アニクラスタじゃない」等異論もあるだろうし、「こんな本はどうか?」という声もあるのではないか。Twitterかコメント欄で忌憚なきご意見をいただければ幸いである。