井川がいない!胴上げに参加せず厳重注意
阪神の井川慶投手(26)が29日、甲子園球場で優勝が決まった際、岡田監督の胴上げに参加せずに、球団側から厳重注意処分を下された。ベンチ入りメンバー25人から外れる“上がり”のため「試合中は別の施設でトレーニングしたい」と申し出て球団側も了承。西宮市内のジムでウエートトレーニングを行った。だが、試合終了に間に合うよう手配したタクシーに乗り遅れ、チャンピオンフラッグを掲げての場内1周にも参加できなかった。
球団側は本人の不注意で一連のセレモニーに参加できなかったことを問題視。沼沢正二球団取締役管理部長が口頭で「厳重注意」を伝えた。
リンク元:http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=sports&d=20050930&a=20050930-00000005-spn-spo
この問題を、普通の人は「エースの自覚の問題」としてとらえるであろう。しかし、これを「労働法」の問題として捕らえられないか。
胴上げ等の優勝セレモニーは、普通の会社の社内イベントに当る。忘年会、運動会、慰安旅行、教育研修等の一種である。
慰安旅行などは、「社員のため」である以上、「福利厚生の一環」と見る人が多いかもしれない。しかし、その社内イベントを強制参加にすれば、その時間は労働時間になる。
「労働」とは、一般的に、使用者の指揮監督のもとにあることを意味します。これを判断する要件としては
①使用者の命令(業務命令)の有無
②業務に付随性の存否
③法令で義務づけられたか否か
といった判断基準がある。ちなみに、全てを満たさないと労働時間にならない訳ではない。
すると、いくら「楽しい」ものであっても、それが業務命令であり、強制参加であれば「使用者の命令」によるものであり、しかも、それが業務に密接に関連すれば、付随性も認められる。そこで、このような慰安旅行等の社内イベントは、労働時間なのである。
これから逆算すると、優勝セレモニーは「業務に付随する」ことは明らかである。また、強制については、形式的にはなかったものの「それをしないことで厳重注意処分」となっていることから、黙示の強制・黙示の業務命令があったといえる。
そう、優勝セレモニーは、労働時間だったのです。そこで、時間外労働であれば、それに応じた手当てを。しかも、「上がり」ですから、休日出勤として休日手当も必要です。胴上げされて落ちて怪我をしたといった場合には、労災になる。
労働法という観点から見ると、選手のみなさんが、非常に楽しんでやっているあの優勝セレモニーが労働時間だという法的性質が分かり、優勝セレモニーがもっと面白くなるのではないだろうか。
あ、プロ野球選手は個人事業者だ!
お後がよろしいようで。
まとめ
仮に野球選手が「労働者」だとすれば、有償セレモニーの時間は労働時間であるが、
個人事業者であれば、そんな議論はすべて水泡と化す。