若手との仕事の仕方は興味を持つ人が多いテーマである。最近、2つの優れたエントリが公表された。
実際には、ちくわ先生の
・定番の書籍や官公庁のサイトを教えること
・書籍に載っていないノウハウを言語化して伝える
・「若いの」を観察する
と、けんおじさんの
・経験を語る(押し付けない)
・「目的」を先に話す
で尽きているのですが、いくつか追加を。
1 「型」を覚えてもらう
新人法務パーソンとしては、企業法務パーソンとしての最低限の素養ないしは「型」を覚えることが重要である。つまり、実務上は「原則としてはXとすべきだが、本件は様々な事情を考えてYとする」というように、「型」と乖離することもあるが、守破離の最初のステップとして「守」をできるようになることが重要である。Yをやっていてもそれが「型」を知った上での「型破り」なのか、「型」を知らない「型なし」なのかの相違は大きい。
概ね、実務で頻繁に対応する類型の法律相談、契約対応、コンプラ対応等についてそれぞれ前提となる基本的な法律知識や標準的な業務プロセスについて理解し、基本的な対応で良い限り自分でできる、但し、それではうまくいかない場合に「違い」を認識して相談できるようにするということが「型」を覚えるの具体的な内容として挙げられるだろう。
2 「失敗」を語る(語りたいことではなく、聞きたいことを語る)
結局、相談されなくなる理由は、自分が語りたいことを語ってしまい、若いのが知りたいことを語らないから、だと思われる。
だからこそ、例えば、自分がいかに成功したか、という(多くの場合には、個別具体的事情が大きすぎて若いのが業務を遂行する上ではあまり役に立たない)成功譚や武勇伝を語るのではなく、(若いのが典型的な落とし穴にハマるのを回避するのに役に立つ)失敗を語るということが重要であろう。
3 「お節介」をしない
それぞれの成長に必要な「タイミング」というのがある。例えば、「細かいところも教えてもらいたい場面」と「自分である程度の範囲を任せられてその裁量でやりたい場面」の双方があり、自分で頑張ってみたいタイミングで事細かく箸の上げ下ろしに至るまで指示をすれば、それは若いのとしては不愉快だろうし、逆に、細かいところを教えてもらいたいところで、「自由にやれ」と言われても戸惑ってしまうだろう。
そういう意味では、過少介入も過剰介入もせず、適切な程度の介入をする、ということが大事である。もちろん、実際にどの程度の介入が適切か、というのは難しく、コミュニケーションを取ってそれを把握していかなければならない(ちくわ先生の「「若いの」を観察する」に相通じるところがある)が、いずれにせよ、「それは過少(過剰)介入ではないか」という観点を持ち、常に自分の後輩との接し方について自問自答することが重要である。