アホヲタ元法学部生の日常

連絡はTwitter ( @ahowota )でお願いします。アニメを見て法律を思い、法律を見てアニメを思う法アニクラスタ、ronnorのブログ。メールはronnor1あっとgmail.comへ。BLJにて「企業法務系ブロガー」として書評連載中。 #新人法務パーソンへ #オタク流勉強法 #明認方法 「アホヲタ元法学部生の日常」(ブログ)、「これからの契約の話をしよう」(同人誌)、『アニメキャラが行列を作る法律相談所』(総合科学出版)等。

#杉原千畝プロジェクト 第5弾 ブラック事務所各論

#杉原千畝プロジェクト 第5弾 ブラック事務所各論

 

当サイトはブラック事務所の回避及び脱出を呼びかける #杉原千畝プロジェクト を2021年から続けており、これまで4つのエントリを書いている。

ronnor.hatenablog.com

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最近、二番手先生が「 ブラック法律事務所から逃げよう!! 」という素晴らしい記事を書かれている。当方でも啓発されて、少しブラック事務所について詳論したい。

 

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まず、二番手先生のご指摘のとおり、ブラック事務所は以下の1つか複数の特徴を持つ。

パワハラ(暴力・暴言)が常態化する法律事務所
・労働条件や労働環境が過酷な法律事務所
・非弁提携、非弁事務員のいる法律事務所

以下では、そのことを前提に、少し各論的な話として、以下の5点を説明したい。
・セクションごとに違うことがある
・クライアントごとに違うことがある
・ボスのみが地雷ではなく、兄弁・姉弁が問題なことも
・ブラック後輩の面倒を見させられる場合
・非弁でなくても「事務員が多い」場合、弁護士に期待される役割によってはブラックなことがある


・セクションごとに違うことがある
 例えば、甲事務所のイソ弁や、元甲事務所イソに「甲事務所どう?」と聞くと、異口同音に「素晴らしいところだ」と言う、それは特に事務所に「犠牲の羊」を入れようとしている訳でもなさそうだ、こんな状況で甲事務所に入ると、「ブラック」なところで大変な目に合う、と言うのはあり得る。
 これは、事務所によっては「小規模事務所の集合体」のようなところがあり、違うセクション(多くはボス・パートナーが違う場合)だと、全くその労働環境が違っていると言う状況があり得るからです。
 そうすると、そのようなセクション制等の事務所に入る場合には「事務所がブラックか」ではなく「自分が入るセクションがブラックか」をきちんと確認する必要があり、例えば「このセクションに入るという意味の内定であれば、内定を受けない」というような対応になるだろう。

 

・クライアントごとに違うことがある
 案件にもよるし、イソ弁の方の経験年数等にもよるが、例えば「クライアント対応を丸投げ」する事務所がある。これは、イソ自身に一定の経験があり、また、対応中に疑義があればボスや兄弁・姉弁に自由に相談できる環境なのであれば、それだけで直ちにブラックとは言えない。
 しかし、例えば、クライアントが暴言を吐く、無理難題を押し付ける(夜に「今夜中にこれをしろ」と言い出す等)場合、そのような「ブラッククライアント」に対する対応を引き続きイソ弁に丸投げし、イソ弁を支援しないのであれば、それは事務所・ボスもまたブラックと言わざるを得ない。
 そして、このような状況は担当クライアントにもよるため、上記のセクションごとの違いと同様、事務所全体としてはブラックではないものの、そのクライアントの担当をしているイソ弁にとってだけブラックとなることがある。
 なお、(クレーマー対応等を想定すると)相手方が暴言を吐く等はあり得るところ、それが一定範囲に収まっている場合には、それだけを持って直ちにブラックとは言えない。但し、そのような対応を「丸投げ」して、ストレス等を全てイソ弁の方で処理させ、相談に乗ったり、場合によってはボス自ら相手方に注意する等をするといったケア・カバーがない場合には、ブラックの領域に達することはあるだろう。

 

・ボスのみが地雷ではなく、兄弁・姉弁が問題なことも
 ブラック事務所は典型的にはボスがブラックである。ただ、兄弁・姉弁の対応に問題があることがある。例えば、ボスが兄弁・姉弁に指導を頼んだところ、丸投げして何の指導もしてくれないとか、指導という名目で暴言等を吐くハラスメントをする、と言った場合である。
 特に、ボスとして、兄弁・姉弁の対応を監督せず、任せきりにした場合に、兄弁・姉弁に問題があると、ボスに改善を求めることができず、又は改善を求めても「双方で話し合え」と言われて改善しない等、問題が解決せず、むしろ重大な問題となりやすいと言える。

 

・ブラック後輩の面倒を見させられる場合
 逆に、兄弁・姉弁のポジションの場合、ブラック後輩の面倒を見させられる場合もある。もちろん、優秀な人であれば「自分が1年目の頃はここまでできたのに」等ということがあり得るが、これはブラック後輩の問題ではない。能力というよりは性格である。
 例えば、「嘘をついたり、他人を陥れる」ブラック後輩がいる。例えば、期日出廷は後輩に任せて依頼者への報告を自分でやるという場合、期日の経過は後輩の情報に依拠するしかない。その場合、後輩が事実と異なる説明をすれば、依頼者から怒られるのは「あなた」である。場合によっては、気に入らない「あなた」を陥れるため、それを意図的に行うこともあり得る。
 ブラック後輩が兄弁・姉弁に対してもっと酷いことをした話は知っているが、諸事情により、ここでは公開できない。

 

・非弁でなくても「事務員が多い」場合、弁護士に期待される役割によってはブラックなことがある
 事務員の役割と弁護士の監督の程度によっては、非弁という問題は生じ得るが、きちんと監督していれば、事務員が多いとしても、非弁にはならない。
 ただ、事務員が多い事務所で特に依頼者とのやり取りを事務員(コールセンター等)が行う場合、弁護士に期待される役割が何かによってブラックになることがある。
 例えば、依頼者とのやりとりについて、まずは事務員が行うが、依頼者のクレームが厳しく、事務員で対応しきれなくなると弁護士にエスカレーションするという仕組みの事務所であれば、まさに弁護士は「クレームになっている依頼者とのやり取りだけを集中的に行う」ということであり、これが辛いという人は多いだろう。
 もちろん、(非弁ではない前提で)「事務員が多いからブラックだ」、ということではないものの、その事務所で事務員がどのような役割を期待され、弁護士として自分がどのような役割を果たすことが期待されるかは事前に確認しておくべきだろう。

 

 

いずれにせよ、このような #杉原千畝プロジェクト の輪が広がることを心より歓迎したい!!