アホヲタ元法学部生の日常

連絡はTwitter ( @ahowota )でお願いします。アニメを見て法律を思い、法律を見てアニメを思う法アニクラスタ、ronnorのブログ。メールはronnor1あっとgmail.comへ。BLJにて「企業法務系ブロガー」として書評連載中。 #新人法務パーソンへ #オタク流勉強法 #明認方法 「アホヲタ元法学部生の日常」(ブログ)、「これからの契約の話をしよう」(同人誌)、『アニメキャラが行列を作る法律相談所』(総合科学出版)等。

詳解株主総会検査役の実務

類型別会社非訟

類型別会社非訟

1.はじめに
 あるフォロワーさん*1とやりとりをさせていただいて、総会検査役についての文献が少ないことを実感した。
 確かに、総会検査役選任までの手続について比較的詳しい文献は多い*2。その意味では、検査役選任までにどのような手続が取られるかについては比較的クリアになっていると言える。
 しかし、検査役が選任されてからどうなるかについては、文献が少ない。例えば、検査役の調査については、「類型別会社非訟」は、わずか2頁強を割くのみである。少なくともこれが決定版という、検査役実務を網羅的かつ具体的に記載した文献はない。そこで、検査役選任後の事務内容を中心に、実務について調べてみた。
 なお、本稿は、知り合いの法律家に聞きながら文献を調べた結果を私見としてまとめたものに過ぎない。誤解等があれば、ご教示いただきたいし、詳細は脚注で引用する文献を参照されたい。なお、選任手続は、実務的な本が多く出ているので、あえて詳細は記載していない。
 

2.総会検査役とは何か
 総会検査役は、株主総会の招集手続及び決議方法に関して必要な調査を行うための株式会社の臨時の機関である(会社法306条)。調査対象は招集手続と、決議方法の2つである。
 ここでいう招集手続としては、総会招集を決定する取締役会決議、招集通知と添付書類の記載内容・様式および全株主への発送、株主の提案権行使がある場合の株主提案の処理が代表的な調査項目である。決議方法としては、出生株主の資格・議決権数、委任状・議決権行使書面の内容・議決権数、定足数、議事運営、行使された議決権の内容及びその計算等が主な調査項目である*3
 検査役は、あくまでも客観的に当該総会で行われている手続の成り行きを確認・記録するという任務に留まるのであり、助言をしたり、認証をしたりする立場にはない。検査役の職務の真髄を示す言葉として、

 検査役はただ手続の推移を見守るだけである。しかし公正な立場の検査役が臨場感を伝えて書く報告書は、他の裁判においても重視されることになるだろう。
 龍田節「株主総会の正常化」ジュリスト747号110頁

という龍田先生の言葉を挙げたい。


 このような検査役の調査結果は、その後の総会決議取消し訴訟等の手続における事実認定の基礎になるところ、検査役の調査報告書が争点となる事実関係の記載を落としてしまえば、わざわざ検査役を選任した意味がないということになる。そこで、検査役は、頭を使わずに観察するのではなく、総会決議の「瑕疵」となり得るポイントを念頭に置きながら、漏れがないよう頭を使って観察する必要があるのである*4
 

3.検査役の選任
 総会検査役を選任するには、裁判所に申し立てる必要がある。会社又は一定の持ち株要件を満たす株主が会社の本店所在地を管轄する地方裁判所に申し立て、選任を受ける(会社法868条1項、306条1項、2項)。公開会社である取締役会設置会社では、この「持ち株要件」は定款が別段の定めを置いて要件を緩和していない限り、「総株主の議決権の100分の1以上の議決権を6か月前から引続き有する」ことである*5。持株要件は、申立の6か月前から検査役選任決定時まで継続して100分の1以上を持っている必要がある*6。これまでの検査役選任事例の多くは株主による申立てであるが、今後は会社側が申し立てて、総会手続の客観性を確保しようとすることもあるのではないかという指摘もある*7
 申立書のフォーマットは東京地方裁判所商事研究会編「類型別会社非訟」163頁等に記載されているので参照されたい。手数料は1000円である*8
 申立てがなされると会社非訟事件という意味で、平成2●年(ヒ)第●号事件という事件番号が付される。
 申立人は例えば「投票が行われる可能性があるので、そのカウント方法の適正を確保したい」であるといった調査のポイントを有することが少なくない。それによって検査役の準備や段取りも異なるので、事前に、調査希望点を書面で提出してもらうことが有用とされる*9
 裁判所は、申立てを受けると、総会検査役の適任者を探す。実務上は弁護士が選任されている。かつては、申立人が推薦した人が選任されることがあったようであるが*10、現在はそのような実務は行われておらず、裁判所の裁量で選定することになる。

 
4.検査役の職務内容
 さて、選任手続の概略は上記の通りであるが、選任後の検査役の具体的職務が分かる資料は少ない。
 まず、30年前のものであるが、比較的詳細なものとして、別冊商事法務80「株主提案権を巡る実務」がある。同書81頁以下に、初の総会検査役を経験した美浦康重弁護士による「新商法による総会検査役を経験して」というレポートが掲載され、西宮酒造及びカバヤ食品事件の検査役の検査報告書が掲載されている。
  最近のものは少なく、アデランスのプロキシファイト事案の検査役を担当された川村英二先生の5ページ強のレポートが唯一に近い*11
 後は、いわゆる非訟事件手続一般を扱う本に若干記載される内容くらいしかない*12

 
(1)総会前
 総会検査役の内諾を得ると、審問期日が開かれる。審問期日では、会社の意見を聞き、反論の機会を設ける(権利濫用*13を理由とした会社側の意見書の例としては、森・濱田松本法律事務所ほか「書式会社非訟の実務」106頁参照。)。会社が申立人の適格性を争えば別論、争わなければ、当日に検査役選任決定が行われる*14。決定書のフォーマットは、東京地方裁判所商事研究会編「類型別会社非訟」165頁にあるが、「本件につき、●株式会社の、いついつ開催予定の定時総会の招集の手続及び決議の方法を調査させるため、弁護士だれだれを検査役に選任する」という形である。


 検査役選任決定後、引き続き、裁判所、検査役、会社、申立人の四者間協議が行われる。その中では、申立人が希望するポイントを中心に、
・調査に必要な書類
・投票用紙・委任状の確認方法
・会場設営
・出席株主の確認方法
・議案の採決方法
 等が協議される*15


 必要書類については、定款、取締役会議事録、株式取扱規程、総株主通知によって書き換えられた株主名簿(振替法152条1項)、招集通知及び付属書類、招集通知の配達記録*16等が挙げられる。
  検査役の方から、会社側に必要書類のリスト等を提示して、開示を求めることもある。検査役はあくまでも「傍観者」であるものの、検査役報告書に漏れがあることは許されないので、検査役報告書の添付書類になり得る資料を予め求めることは検査役の善管注意義務に従った職務遂行といえよう*17
  会社において作成することが会社法で義務付けられている書面以外でも、例えば、会社の株主宛の*18手紙も必要に応じて求めるべきであるし、株主提案をする株主がいれば、提案に関係する書類一式も求めるべきであろう*19


  書類収集に加えて、総会手続き及び取り扱いの確認も行われる。
 例えば、委任状と議決権行使書面の重複の場合の取り扱い、委任状の撤回の確認方法等、総会の手続においてどのような取扱をする予定であるかを、検査役を交えた打ち合わせで確認することは有益である*20。この点、手続きについては会社側が予定する取り扱いを説明し、申立人が意見を言う事になるだろうが、「検査役を交えた打ち合わせで説明したから検査役の認証を得た」という性質のものではない*21。もっとも、会社・申立人間で特定の取扱について合意がなされ、当該合意が検査役の報告書に記載された場合、事後的に申立人自身が、「当該取扱が違法で株主総会決議取消し事由がある」とは、言えないだろう*22。その意味で、取扱についてどの点について合意がなされ、どの点について合意がされていないかを客観的に明らかにするという意味で、検査役を交えた協議を行うのが望ましいだろう。
 簡単な事件であれば、審問期日当日のやりとりで終わるであろうが、複雑困難事件であれば、検査役・会社・申立人の協議を複数回行う必要がある。なお、細かい実務は証券代行だけが知っているということもあるので、これらのやり取りに証券代行を同席させることも検討してよいだろう。


 加えて、ビデオ撮影、写真撮影の方法・場所(例えば受付事務を撮影するのか等)や、検査役席の位置をどうするかといった、実務的な内容について協議したりすることもあるだろう。


 委任状勧誘が行われると、集計作業の簡略化のため、株主総会の前日までに獲得した委任状については、前日までに委任状勧誘を行った株主から提出を受け、委任状の有効性の審査を行い、委任状提出株主の情報を集計システムに入力しておく必要がある*23。このような事前の集計作業は、両当事者間で主張が対立することもあるので、検査役としては当該集計・確認の現場に同席し、問題となった委任状をピックアップして、報告書に特記する等の扱いが望ましいだろう*24
 

(2)総会当日
 (総会当日以前の打ち合わせ段階からもそうであるが)検査役一人の2つの目だけで全てを確認し尽くすことは、到底できない。また、速記等の必要もある。そこで、補助者としてイソ弁、アソシエートや、事務員を連れていくことが望ましく、実際にそのような実例もある*25。調査のため必要がある時の補助者も総会に入場できると解される*26


 委任状勧誘がなされる際には、当日に委任状を提出した分も有効と解される*27。そこで、委任状を開催時間の1、2時間程度前に持参してもらい、集計システムに入力する作業が発生する*28。当該作業についても、検査役自身ないし補助者の立ち会いが望ましい。


 かかる作業とほぼ同時に、受付作業の確認がある。株主が弁護士を代理人とした場合はどうか、弁護士を同伴者とした場合はどうか等、問題が多く発生し得る。このような扱いについては、事前に会社・申立人間で合意をしておいてそれに基づき一律に扱われるのが望ましいものの、そのような扱いでない場合でも、検査役としては取り扱い状況を記録することになる。


 開会後は、議事の内容を傍聴することになる。時々検査役に発言を求める株主がいる。検査役には説明義務(会社法314条)はないし、検査役の説明が株主の議決権行使に影響を与えるのは本来の姿ではないので法的アドバイスに関する回答は差し控えるべきである*29。もっとも、「検査役って何をするんだ?」といった質問に対し、総会の調査を行うという役割及び裁判所に選任されて総会に臨席していることを述べる程度であれば、株主の議決権行使に影響を与えないし、株主の誤解を防ぐという意味でも実務的に可能な範囲と思われる。
 議事については、説明義務や動議対応等が総会議事の瑕疵として問題となり得る。録音さえしっかりしていれば安心かといえば、必ずしもそうでない。美浦弁護士が述懐するように、不規則発言等が複数ほぼ同時に行われることがあるが、これをできるだけ正確に記録することは非常に困難である*30。荒れた総会の録音反訳を読んだことがある方ならばおわかりだと思うが、録音反訳会社は、マイクに入った音は大体記録してくれるものの、それ以外は平気で〔聴取不能〕を並べてしまう。例えば、「議長不信任動議を無視した」といった点が争いになる場合には、このようなマイクに入らない音が以外とポイントになったりもするので、検査役としては、録画・録音しているから大丈夫と鷹揚に構えるのではなく、全精力を集中して総会のありのままの姿を胸中に留めるようにすべきである。
 美浦弁護士は、「休みなしで、昼食抜きの四時間半近くというのは大変疲れたという記憶が鮮烈だ」と述べる*31


 議事が終わった後、投票が行われる場合には、投票の様子や集計作業も調査しなければならない。例えば、雛段の上の役員が実際に投票したかを確認することは、役員等が現実に投票しなかったにもかかわらず、当然に会社提案賛成と扱ったことが総会決議方法の法令違反として株主総会決議が取消された事案があることから重要である*32。平成23年の東電の約6時間といったロングラン総会もあるから、検査役と補助者は、この日一日は別の予定を入れずにフルで当該総会に対応することになるだろう。

 
(3)総会後
 総会後は、それまでの手続について物理的、時間的な関係で確認未了となっている資料等の提出を受ける。主に、決議の成否の根拠となった行使議決権数が正確であったかの検証作業を行うことになる*33
 その上で、検査役は総会後報告書を作成して裁判所に提出しなければならない(会社法306条5項)。裁判所は報告書作成時期を定めることができ(会社非訟事件等手続規則10条)、実務上は総会後40日を目途とする*34。総会後3ヶ月が取消し訴訟の提訴期限であることから、できるだけ早期の報告書提出が望ましいという観点によるものだろう。


 報告書の内容は、決して単なる「株主総会議事録」ではない。総会の招集手続と決議方法の詳細を記録する必要がある。選任までの経緯は、提出を受けた資料に基づいて時系列で説明することになるだろう。選任後は、検査役・申立人・会社間の打ち合わせ内容等を含む各過程の詳細を、資料*35を添付しながら詳細に記載していく必要がある。もっとも、総会の全過程の全事実を記載することは物理的に不可能であることから、法的意味がある事実を網羅的に記載すればよいと解されている*36
  具体的な記載については、善管注意義務を負った受任者たる検査役の裁量による。報告書の例は、森・濱田松本法律事務所ほか「書式会社非訟の実務」112頁以下に(省略ばかりであるものの)記載されている。少し古いが、西宮酒造総会検査役報告書*37や、カバヤ食品総会検査役報告書*38等の記載も参考になる。例えば、疑義がある委任状、議決権行使書をピックアップする等、今後の取消し訴訟の事実認定に使いやすいよう、各検査役が創意工夫することになろう*39。なお、参考までに、川村先生が参考資料として提示されている検査役報告書の目次は、以下のとおりである。

第1 検査の経過概要について
第2 株主総会の招集手続について
第3 委任状の処理について
第4 株主総会決議の経過及びその方法について
第5 第●号議案の集計作業について
第6 各株主による権利行使内容点検の過程及び結果について
川村英二「総会検査役に期待される役割」商事法務1812号75頁より


 実務的な観点からすれば、5で後述するとおり、既に報酬は事実上決まっているので、録音を聞き直しながら当日の記録を蘇らせて反訳文に手を入れるという苦しい作業をするかしないかで報酬は変わらない。しかし、別冊商事法務80「株主提案権を巡る実務」84頁以下に描かれる、熱意を持って「臨場感」のある報告書を書こうとする美浦検査役の姿には感動を覚えた。


 裁判所に提出された報告書の写しは会社、申立人にも交付される*40
 当該報告を受け、裁判所は、内容が不明確であったり、根拠が不明瞭である場合には、追加での報告を求めることができる(会社法306条6項)。追加報告をする場合、追加報告書が申立人の手許に届くのが取消訴訟の提訴期限に近い段階になってしまうこともあり得るので望ましいことではない。このような追加報告を可及的に求めないで済むよう、東京地裁では、総会が終わった時点で検査役から口頭で簡単な報告を受け、その際、総会の状況等に応じて調査結果のうち報告書に特に詳細に記載する点等報告書の記載内容及び提出期日の予定について説明を受け、裁判所の了解のもとに報告書の作成が行われている*41


 検査役報告を踏まえ、裁判所が必要であると認めた時は、取締役に総会の招集や調査結果の通知を命じる会社法307条1項1号、2号)。調査結果を通知して株主に決議取り消し訴訟を起こす契機としたり、再度総会を招集をしてやり直すといったことを想定している*42。当該命令に違反した取締役は過料の制裁を科せられる(会社法976条18号)。総会招集が命じられた場合には、報告内容を総会で開示する(会社法307条2項)と共に、取締役及び監査役は検査役の報告内容を調査してその結果を総会で報告しなければならない(会社法307条3項)。
 なお、総会検査役選任事件の申立人には、かかる総会の招集や調査結果の通知を命じるよう申し立てる権限はない。そこで、必要があれば事実上上申する等して職権の発動を促すことになろう。

 
4.検査役の報酬・費用
 検査役は会社の機関であるから、会社とは準委任関係に立つ。そこで、費用は会社が負担し(民法656条、649条、650条)、報酬も会社が負担する(会社法306条4項)。申立て時にまずは費用・報酬の相当額を申立人に予納させる運用である。つまり、株主申立てであれば、株主が費用・報酬相当額を用立てて裁判所に収める必要がある。裁判所が事前に申立人からヒアリングを行い、事務量の見通しを立てて予納金を決める*43。言い方を変えれば、この段階でほぼ検査役の報酬(費用を含む)は決まっているということである。


 裁判所は、報告書提出後、検査役の報酬を決定する(会社法306条4項)。報酬決定時には、株式会社と検査役に意見を聞くことになっており(会社法870条2号)、「別段意見はありませんので、しかるべく決定して下さい。」又は「意見は次のとおりです」を選べるフォーマットを送付するのが実務である。
 報酬金額については、古い例であるが、神戸地尼崎支決昭和58年8月19日*44が西宮酒造事件で報酬を金50万円とする決定を出しており、岡山地決昭和59年4月27日*45カバヤ食品事件で報酬を金40万円(費用込み)とする決定を出している。最近は、100万円〜200万円くらいが1つの目安となると言われている*46が、一部上場企業のプロキシファイトであれば上の方に張り付くであろうし、非公開中小企業の単純な案件*47であれば下の方に張り付くと思われる。
 報酬決定のフォーマットは、森・濱田松本法律事務所ほか「書式会社非訟の実務」110頁等に掲載されており、「1.検査役●●に対する報酬を金●●●万円と定める。2.前項の報酬は前記会社の負担とする。」と定める。
 報酬決定に対しては即時抗告が可能である(会社法872条4号、870条2号)。ただ、抗告審が決める報酬額が予納金を下回る場合は兎も角、予納金を超える場合には、取り立ての問題等、実務的には結構面倒臭い話になると思われる。
 報酬決定後は、上記のとおり会社が報酬・費用を負担することから、申立人から会社に報酬・費用を求償請求することになる。

 
5.検査役報告書の活用
 東京地裁民事8部の鹿子木元裁判長が以下のように述べたと指摘されている。

(株主提案と株主提案が対立し、会社の経営支配権に争いが生じるという)このようなケースでは、検査役報告書が提出され、事実関係にほとんど争いがなく、法律論のみ争いになる場合が多く、この場合、迅速に裁判所の判断を示すことが司法に期待される役割だと思う
江頭憲治郎ほか「株主に勝つ株主が勝つ」193頁

 検査役は、招集手続および決議方法を証拠化し、その後に事実認定に関する紛争が生じることを避ける上で、重要な役割を果たしていると言えよう。

まとめ
 総会検査役について、網羅的にまとめた文献がないので、いわゆる「文献インデックス」の役割を果たすエントリーを書こうとしていたら、いつのまにか結構な分量になってしまった。脚注に挙げた以外に有用な文献をご存知の方は、ぜひコメント等いただきたい。
 *48本エントリーが、総会検査役を選任しようか迷っている株主・会社の方や、検査役が選任されたが、何をする人かわからないという会社の方の参考になり、検査役の上記の重要な役割をなんらかの形で支援できたとしたら幸甚である。

*1:@ryokuzo様

*2:例えば東京地方裁判所商事研究会編「類型別会社非訟」151頁以下等で、比較的詳しく書式を交えて解説されている。

*3:森・濱田松本法律事務所ほか「書式会社非訟の実務」111頁

*4:川村英二「総会検査役に期待される役割」商事法務1812号70頁参照

*5:会社法306条1項、2項前段。なお、総会の目的事項全てについて議決権を行使できない株主の議決権は総株主の議決権から除外される

*6:業務検査役であるが、最決平成18年9月28日民集60巻7号2634頁

*7:森・濱田松本法律事務所編「株主総会の準備実務と議事運営」135頁

*8:詳細は東京地方裁判所商事研究会編「類型別会社非訟」153頁

*9:東京地方裁判所商事研究会編「類型別会社非訟」158頁

*10:多田晶彦「株主提案の実務」136頁

*11:川村英二「総会検査役に期待される役割」商事法務1812号70頁、なお、株券電子化前の平成19年のレポートであり、「届出印」との照合等の従来の実務が記載されていること、及び、一般的な検査役の実務というより、委任状勧誘を踏まえた検査役の新たな役割を論じていることに注意が必要である。

*12:もし、総会検査役実務の決定版をご存知の方がいらっしゃれば、ぜひ教えて頂きたい。

*13:岡山地決昭和59年3月7日商事法務1003号52頁は「申立人等の実質的意図が会社とは関係のない他の目的のためであった場合には、権利の濫用として申立てを却下すべきものと考える」とする。

*14:東京地方裁判所商事研究会編「類型別会社非訟」157頁

*15:東京地方裁判所商事研究会編「類型別会社非訟」158頁

*16:漏れなく発送されていることを示すもの。発送封筒の写し、郵便局の受付票等でもよい。

*17:なお、資料提出を拒んだ場合に無理やり渡させる民事的権限はないが、取締役又は監査役が調査を妨げれば過料に処せられるし(会社法976条5号)、資料提出を拒んだ場合はその旨報告書に記載し、総会招集決定(会社法307条)等の「必要」性の判断材料となると解される。なお、(行政罰だが)罪刑法定主義の観点から、提案株主が検査役の調査を妨げても過料に処せられないと解さざるを得ない(会社法976条柱書)ものの、例えばプロキシファイトを見込んで会社が検査役選任を請求した事案で提案株主が委任状勧誘関係の資料を提出しないといった場合を考えると、提案株主を過料対象から除外していることの立法論的妥当性には疑問がないではない。

*18:「株主提案に反対して下さい」等の

*19:松山遥「敵対的株主提案とプロキシ―ファイト」150頁

*20:松山遥「敵対的株主提案とプロキシ―ファイト」151頁

*21:検査役が何も言わないのは黙認ではなく、観察者だからにすぎない。三浦亮太ほか「株主提案と委任状勧誘」143頁も、検査役が法的問題点に関して法的見解や採るべき方法について意見を述べることは原則としてないという。もっとも、明らかに不適法の場合に事実上訂正を促すこともあるとか、委任状の有効性について会社と申立人の見解が別れた際は、検査役が調整作業を行うとする川村英二「総会検査役に期待される役割」商事法務1812号70頁、74頁の記載は注目に値する。

*22:それを言うのは信義則違反(民法1条2項)にもなり得ると思われる。なお、松山遥「敵対的株主提案とプロキシ―ファイト」152頁は「瑕疵が治癒されるものではない」とするが、これは、一般株主への影響等を重視した見解と思われる。

*23:三浦亮太ほか「株主提案と委任状勧誘」150頁

*24:なお、このような事前提出に関する調整において検査役が段取りの確認を行いながら、両者間の調整を図り、妥当な着地点を見出していくとする文献として、川村英二「総会検査役に期待される役割」商事法務1812号73頁がある。

*25:西宮酒造事件では速記者を連れて行ったことが別冊商事法務80「株主提案権を巡る実務」83頁に記載されている。なお、最近は速記よりも録音反訳がはやっているが、録音・録画担当の事務員を連れていくことも考えられるだろう。

*26:東京地方裁判所商事研究会編「類型別会社非訟」161頁

*27:三浦亮太ほか「株主提案と委任状勧誘」156頁

*28:三浦亮太ほか「株主提案と委任状勧誘」151頁

*29:松山遥「敵対的株主提案とプロキシ―ファイト」152頁

*30:別冊商事法務80「株主提案権を巡る実務」83頁

*31:別冊商事法務80「株主提案権を巡る実務」83頁

*32:井上金属工業事件・大阪地判平成16年2月4日金融商事判例1191号38頁

*33:川村英二「総会検査役に期待される役割」商事法務1812号74頁

*34:東京地方裁判所商事研究会編「類型別会社非訟」159頁

*35:川村英二「総会検査役に期待される役割」商事法務1812号70頁によれば、総会当日の様子の映像をテープないしDVDとして報告書に添付するとしている。

*36:川村英二「総会検査役に期待される役割―反対株主による委任状勧誘が行われた株主総会―」商事法務1812号70頁

*37:別冊商事法務80「株主提案権を巡る実務」112頁、速記録は樹下哲生編「日本盛株主総会群雄社出版

*38:別冊商事法務80「株主提案権を巡る実務」120頁、速記録は同153頁

*39:委任状についての双方の判断がずれる場合を重点的に記録すべきとする川村英二「総会検査役に期待される役割」商事法務1812号74頁を参照のこと。

*40:会社法306条7項。なお、森・濱田松本法律事務所ほか「書式会社非訟の実務」112頁及び東京地方裁判所商事研究会編「類型別会社非訟」は、これを「当然には開示されない」という驚くべきことが記載されているが、会社法306条7項の明文に反しており、何か大きな勘違いをしていると思われる。松山遥「敵対的株主提案とプロキシ―ファイト」153頁及び三浦亮太ほか「株主提案と委任状勧誘」144頁はこの点を正しく理解している。三浦先生も森濱だった、ような??

*41:東京地裁商事研究会「商事非訟・保全事件の実務」227頁

*42:松山遥「敵対的株主提案とプロキシ―ファイト」154頁

*43:東京地方裁判所商事研究会編「類型別会社非訟」153頁

*44:別冊商事法務80「株主提案権を巡る実務」113頁

*45:別冊商事法務80「株主提案権を巡る実務」122頁

*46:なお、森・濱田松本法律事務所ほか「書式会社非訟の実務」110頁のフォーマットも「●●●万円」となっている。

*47:そのような単純な案件でお金を出してまで検査役を選任するのかという問題もあろうが

*48:総会検査役の皆様は、相当の経験があって選ばれるであろうから、