アホヲタ元法学部生の日常

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Legal Advent Calendar 2015企画:江頭憲治郎『株式会社法』第6版改正点まとめ

株式会社法 第6版

株式会社法 第6版


2014年12月17日、約1年前、Legal Advent Calendar 2014において、
「江頭会社法第5版」でこの4年間で会社法の変わったところを総さらえ〜「修正履歴付江頭会社法」〜 - アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常
という企画をさせて頂き、ありがたいことにご好評頂いた。



一部の皆様からは「江頭企画」とか「江頭差分」*1と呼ばれているが、この企画、「約1000頁ある本の2つの版を見比べて、違っているところを抜き出し、その違っている理由に遡ってまとめる」という地味でかつ非常に膨大な時間が掛かる企画であった。そこで、昨年で最後というつもりだった。


しかし、今年もLegal Advent Calendarが企画された。



法務系 Advent Calendar 2015 - Adventar


参加者の皆様の企業法務関係の質の高いエントリが続く中、



CeongSu様からバトンが託された。
法務に使える!基礎的な英語力を楽しく身につける方法・考え方tips | 日々、リーガルプラクティス。


こんな状況下で、流石にガールズ&パンツァー劇場版の法的分析」
憲法9条の解釈における「武力なき自衛論」の再興〜ガルパン劇場版の法的考察 - アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常
なんてものを載せる訳にもいかないので、意を決し、今年も改訂された江頭憲治郎『株式会社法』第6版改正点をまとめさせて頂く。



 なお、第6版で削除されたもの*2は多数にのぼるが、それが特に重要なもの以外は明記していない*3


 また、第6版で追加された裁判例についてはその上訴審についても可能な限り追ってみた。


 なお、皆様には、ぜひとも第6版を買って欲しいという思いから、あえて第6版が必要なようにした。例えば「〜を反映した」「〜に対応」「〜について説明」等は、テーマは明らかにしているものの、具体的に「反映するとどうなるか」「対応するとどうなるか」「どういう説明になっているか」等は第6版を買わないと分からない。第5版を購入された方もぜひぜひ第6版をお買い上げ下さい!


第1章 総論
(1)会社法施行規則その他の改正

親会社等や子会社等について規則3条の2の新設を反映した(10頁注12)


(2)文献
小林信明「経営者保証に関するガイドラインの概要」NBL1018号1019号(2014)(35頁)
笠原基和「『責任ある機関投資家の諸原則』<日本版スチュワードシップ・コード>の概要」商事2029号59頁(2014)(51頁注3)

(3)その他
統計データが最新のものに更新されている(1頁、2頁表2、3頁注2、8頁注11等)
上場企業の中の規模の格差が大きく、時価総額が1兆円を超える会社が約100社ある反面、100億円未満の会社が約半数に及ぶことが追記されている(4頁注4)
機関投資家による経営者の監視について笠原前掲を引いて言及(51頁注3)


第2章 設立
(1)会社法施行規則その他の改正

仮装払込みについて支払義務を負う取締役の範囲についても「未制定」(第5版111頁)とされていたのが規則7条の2、18条の2が規定された(111頁)


(2)その他
従来、代表者の少なくとも一名の住所が日本になければ登記が受理されない(第5版103頁)という扱いであったが、平成27年3月16日に昭和59年9月26日民四第4974号民事局第四課長回答及び昭和60年3月11日民四第1480号民事局第四課長回答の取扱いを廃止し、代表取締役の全員が日本に住所を有しない内国株式会社の設立の登記及びその代表取締役の重任若しくは就任の登記について,申請を受理する取扱いとした*4ことに鑑み、この点の記述が削除されている(103頁)。


第3章 株式
(1)会社法施行規則その他の改正

全株取得条項付種類株式*5に関する備置書面について「未制定」(第5版161頁、162頁)とされていたのが規則33条の2、33条の3が記載された(161頁、162頁。なお162頁注37も参照。)。
全株取得条項付種類株式の株主総会参考資料記載事項についての規則85条の2を追加した(161頁)
単独請求による名義書き換えの場合について、売渡請求(法179条1項)について追加した規則22条1項、2項の改正を反映した(209頁注9)。
企業会計基準委員会・実務対応報告第30号「従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引に関する実務上の取扱い」(2013)(245頁)
反対株主買取請求に伴う自己株式取得により分配可能額を超える場合の業務執行者の責任についての会社計算規則159条10号の新設を反映(264頁)
株式等売渡請求の通知・備置書類に関する法務省令が「未制定」(第5版276頁、277頁、278頁、279頁)から規則33条の5、33条の6、33条の7、33条の8と明記された(277頁、278頁、279頁及び同注6、280頁)。
株式の併合の備置書類に関する法務省令が「未制定」(第5版283頁、287頁)から規則33条の9及び規則33条の10と明記され(285頁、同注3、288頁)、参考書類への記載についても規則85条の3が記載された(285頁)
単元未満株主の権利として規則35条(1項6号)の改正に伴い、特別支配株主の株式売渡請求に際し金銭等の交付を受ける権利が追加された(300頁注2)


(2)判例
MBOに関する少数株主による取得価格決定の申し立て事例として東京高決平成25年10月8日金判1429号56頁(162頁)


(3)文献
坂本三郎ほか「平成26年改正会社法の解説[VII]」商事2047号10頁注119(2014)(279頁)
なお、159頁には記載されていない(2010年の文献が引用されている)が内田修平=李政潤「キャッシュ・アウトに関する規律の見直し」商事2061号23頁(2015)は改正法をふまえたスクイーズアウトの方法につき、実務上参考になる論文である。


(4)その他
登録株式質権者が供託を求め得る場合について154条2項に加え、3項を加筆した(228頁注9)
株式等売渡請求の際の取締役会のなすべき判断について「適正性等(第5版277頁)」が「金銭の額の相当性、金銭の支払見込み、取引条件等」と補充されている(278頁)。


第4章 機関
(1)会社法施行規則その他の改正

規則63条7号ハニで、議案を定めるべき場合として全部取得条項付種類株式の取得及び株式の併合の場合が追加されたことを反映(318頁注2)
電磁的記録の表示方法に関する規則226条の改正に伴い、委任状に関する電磁的記録の備置について規則226条15号が適用されることに(341頁注7)
規則94条1項2号により社外取締役を置いていない場合等におけるそれを置くことが適当でない理由(規則74条の2参照)の記載についてのWeb開示について加筆(344頁注13)
招集通知に議案の概要を記載すべき特別決議事項について規則63条7号ハニ(全部取得条項付株式の取得と株式併合)の新設を反映(357頁)*6
社外取締役を置くことが相当ではない理由についての業務報告書(規則124条2項3項)、株主総会参考書類の記載(規則74条の2)について規則の制定を反映した(384頁)。
コーポレートガバナンス・コード原案について上場会社が独立取締役を2名以上選任すべきとされていることとの関係で今後何らかの形でルール化される可能性があることについて言及(384〜385頁)
規則98条、100条のコンプライアンス体制の具体的な内容が改正されたことを反映した(400頁注4、411頁注8、561頁注2)
金商法21条の2第2項の平成24年改正により、発行会社の責任が流通市場は立証責任が転換された過失責任(金商法21条の2第2項)となったことを反映して424頁注2の記載が修正されている(第5版422頁注2と対比せよ)。
利益相反取引に関する事業報告(規則118条5号)及び監査報告(規則119条1項6号)に関する改正を反映した(445頁注6)
仮装払込みについて支払義務を負う取締役の範囲についても「未制定」(第5版470頁)とされていたところ、規則46条の2、62条の2が反映された(472頁)
責任限定契約に関する参考書類への記載(規則74条1項4号)と事業報告への記載(規則121条3号)についての改正が反映された(481頁)
株式交換等完全子会社の旧株主による責任追及訴訟についての規則218条の2、3、4等を補足(498頁、500頁)
多重代表訴訟についての規則218条の5,6、規則118条4号を補足(500頁)
監査役株主総会参考書類の記載について規則76条4項を追記(516頁)
監査報告に関する規則129条1項5号(コンプライアンス体制)、6号(親会社等との取引)等の改正を反映(529頁)
事業報告における関連当事者との非通例取引に関する規則118条1項5号の改正を反映(530頁注9)
監査役選任議案の参考書類への記載についての規則76条1項6号(責任限定契約)の改正を反映(537頁)
指名委員会等設置会社におけるコンプライアンス体制に関する規則改正(規則112条2項) を反映した(561頁注2、563頁注3、563頁注4、565頁)
監査等委員会設置会社における取締役の選任議案、監査委員たる取締役選任議案、取締役の解任に関する議案、監査等委員である取締役の解任に関する議案、監査等委員の報酬及び取締役の報酬についての参考書類記載事項の規則制定(規則74条1項3号、規則74条の3、規則78条3号、規則78条の2、規則82条の2、規則82条1項5号)を反映(576頁、577頁、580頁、584頁、585頁)
監査等委員につき常勤を置く必要がないことについて新設された規則121条10号イを引く(581頁)
監査等委員会設置会社における監査報告に関する規則(規則110条の2)議事録に関する規則(規則110条の3)コンプライアンス体制に関する規則(規則110条の4)を反映(582頁、584条)


(2)判例
種類株主総会につき定款に基準日の定めがない場合につき東京地判平成26年4月17日金判1444号44頁(324頁)。控訴審(東京高判平成27年3月12日金判1469号58頁)で是認。
株主提案の拒絶につき東京地判平成26年9月30日金判1445号8頁(328頁)。ただし、東京高判平成27年5月19日金判1473号26頁で取り消されている。
取締役会議事録閲覧請求が認められた大阪高決平成25年11月8日判時2214号105頁(421頁)
外国完全子会社との取引による損失につき責任が認められなかった東京地判平成26年4月10日金判1443号22頁(465頁注3)
取締役が会社に支払う賠償金に付すべき遅延損害金は年5分とされた最判平成26年1月30日判時2213号123頁(468頁)
監査役に重過失がないとされた大阪地判平成25年12月26日判時2220号109頁(537頁)。大阪高判平成27年5月21日金判1469号16頁で是認。
なお、本書にはないが、担保提供(488頁)については、東京地判平成24年7月27日資料版商事法務347号19頁も参照。


(3)文献
山田裕子「事業承継目的の株式信託について」信託法38号89頁(2013)(338頁注3)
木俣由美「取締役会議事録閲覧・謄写権の『必要性』要件の検討」青竹正一先生古稀記念・企業法の現在297頁(信山社、2014年)(421〜422頁)
加藤貴仁「高値取得損害/取得自体損害二分論の行方」落合誠一先生古稀記念・商事法の新しい礎石817頁(有斐閣・2014)(425頁注2)
伊藤靖史・経営者の報酬の法的規律204頁、32頁(有斐閣、2013年)(458頁注25、566頁注2)
高橋宏志・重点講義民事訴訟法下(第2版補訂版)453頁注37(有斐閣、2014年)(493頁注9)
顧丹丹「株主代表訴訟の和解と裁判所の役割(下)」首法54巻2号250頁(2014)(494頁)
小出篤「少数株主権における少数持株要件」落合誠一先生古稀記念・商事法の新しい礎石125頁(有斐閣・2014)(587頁)


(4)その他
取消訴訟において期間経過後の追加主張を認めないのが判例であるばかりか多数説であるとしていた第5版の記述(第5版365頁)のうちの「多数説である」が削除された(367頁)
一時取締役の選任について弁護士が選任されるのが通例であること等について言及(398頁注13)
従来、代表者の少なくとも一名の住所が日本になければ登記が受理されない(第5版423頁)という扱いであったが、平成27年3月16日に昭和59年9月26日民四第4974号民事局第四課長回答及び昭和60年3月11日民四第1480号民事局第四課長回答の取扱いを廃止し、代表取締役の全員が日本に住所を有しない内国株式会社の設立の登記及びその代表取締役の重任若しくは就任の登記について,申請を受理する取扱いとした*7ことに鑑み、この点の記述が削除されている(425頁)。
疑似ストックオプション制度に関する記載(第5版445頁及び449頁と第6版447頁と451頁を対比せよ)は、商法改正により実務上の利用が減少したことの反映と思われる。
なお、多重訴訟の範囲について取締役としての責任にとどまらない(486頁注2の引用する最判21年3月10日民集63巻3号361頁)という従前とほぼ同様の記述に加え、「発起人等」の責任(法847条1項)に限る(法847条の3第4項)とした(501頁注24)。「取締役」はそもそも「発起人等」であることから(法847条1項、423条1項参照)、本文で問題としている取締役の責任を追及する場合において、「発起人等」の責任に限ることが、追及できる責任範囲を限定することになるか疑問がなくはない。
第5版の誤記である「委員会設置会社」(第5版510頁)は第6版では改められている(513頁)
日本監査役協会が公益認定を取得したことを踏まえ、「公益社団法人日本監査役協会」となった(525頁注4)
「中小規模会社の『監査役監査基準』の手引書」監査621号(2013)を引用(526頁注4)
種類株主総会の場合について取締役の選任についての監査等委員会の意見陳述権がないことが明記された(577頁注2)
監査等委員会の招集期間の短縮について取締役会の決議ではなく定款の定めによること(法399条の9第1項)が明記された(582頁注1)


第5章 計算
(1)会社法施行規則その他の改正

規則118条の改正に伴い、事業報告の内容としてコンプライアンス体制の運用状況、特定完全子会社に関する事項、親会社等との取引に関する事項等が追加された(599頁注1)
規則126条の改正に伴い、会計監査人の報酬の額について監査役等が同意した理由が事業報告に含まれることが追加された(611頁注17)
会計監査人の選任等に関する議案の内容(規則77条3号、81条2号)や意見を述べること(規則77条4号、81条3号)の改正が反映された(612頁)
会社計算規則133条4項が改正されウェブ開示の範囲として株主資本等変動計算書も追加された(621条注1)


(2)その他
会計監査人の選任等の議案の内容の決定について、会計監査人の報酬等に関する同意権に比してより強い権限となっていることが明示された(612頁)
財産価格填補責任等について52条の2第1項、102条の2第1項、213条の2第1項、286条の2第1項が加筆された(665頁)


第6章 資金調達
(1)会社法施行規則その他の改正

募集株式の発行により支配株主の異動を伴う場合の通知・公告の内容について、「未制定」(第5版751頁)とされていたのが規則42条の2が規定された(754頁及び755頁注6)。また、適用除外に関する規則42条の3についても同様である(755頁注7を第5版751頁注6と対比せよ)。
仮装払込みについて支払義務を負う取締役の範囲についても「未制定」(第5版754頁)とされていたのが規則46条の2及び62条の2が規定された(758頁、799頁)
金商法21条の2第2項の平成24年改正により、発行会社の責任が発行市場については無過失責任(金商法18条)、流通市場は過失責任(金商法21条の2第2項)と違いが生じたことにより、778頁注3の記載が修正されている(第5版774頁注3と対比せよ)。
新株予約権の割当てにより支配権が移転する場合の会社規則55条の2、55条の5が追記された(792頁)
監査等委員会設置会社についての社債発行について規則110条の5等が示されている(805頁)


(2)判例
募集株式の発行の差し止めが認められなかった仙台地判平成26年3月26日金判1441号57頁(765頁注4)


(3)文献
錦織康高=浅岡義之「株式発行価額の検証」論ジュリ10号30頁(2014)(713頁注6)
佐藤寿彦「ライツ・オファリングに係る上場制度改正の概要」商事2046号24頁(2014)(741頁注11)
尾崎悠一「種類株式発行会社における利害調整」落合誠一先生古稀記念・商事法の新しい礎石203頁(有斐閣・2014)(751頁)


第7章 会社の基礎の変更
(1)会社法施行規則その他の改正

事後開示書類に関する規則の改正により差止請求(法784条の2ほか参照)等に関する経緯等(規則200条2項イほか参照)についても記載が必要となっている(878頁、918頁、943頁)
その他会社の基礎の変更株主総会の招集通知の記載事項に関する規則63条の7号の条文番号の修正等に対応(832頁、869頁、906頁、937頁等、952頁参照)


(2)判例
MBOに失敗した取締役等につき買収価格決定プロセスにおいて手続的公正さの確保に対する配慮義務を懈怠し、会社にMBO関連費用相当額の損害を被らせたと認めた神戸地判平成26年10月16日金判1456号15頁(827頁)


(3)文献
ウィークス=齋藤礼子=ファン「M&A契約における補償条項」JCA61巻6号62頁(2014)(828頁)
大石篤史「株式を対価とする外国企業とのM&Aの実務」商事2044号24頁、2045号115頁(2014)(850頁)
笠原武朗「組織再編行為の無効原因」落合誠一先生古稀記念・商事法の新しい礎石309頁(有斐閣・2014)(866頁注1)
受川環大「会作法上の組織変更の現状と課題について」駒沢ロー10号48頁(2014)(960頁注3)


(4)その他
合併差止請求が導入された後の無効原因と差止事由の関係について笠原前掲を引用しながら説明(866頁注1)。
新株予約権の割当てにより支配権が移転する場合の交付株式数の計算方法について説明(792頁注18)。



第8章 外国会社
(1)判例

英国領バミューダ諸島法上のリミテッド・パートナーシップを、「法人」と認めなかった東京高判平成26年2月5日判時2235号3頁(970頁注1)。上告受理申立後不受理(第一法規参照)。
外国会社との合意に基づく株式買い取り価格の決定は「法律上の争訟」にあたらないとした東京地判平成26年4月24日資料版商事法務363号72頁(974頁注6)。


(2)その他
なお、外国会社の日本における代表者の住所(974頁注4)については、会社法817条1項後段*8が改正されない限り、やはり一人以上は日本に住所が必要(上記の内国会社の扱い(110頁)と異なる)ことに留意が必要である*9


第9章 解散と清算
解散判決に対し、第三者が独立当事者参加による再審の訴えを提起できるとした最判平成26年7月10日判時2237号42頁(982頁、984頁注6)

まとめ
 いかがでしょうか。単に相違点を列挙するだけではなく、追加された裁判例の「その後」等も追ってみました。
 とりあえず、機関について変更点が多く、この辺りはじっくりと江頭『株式会社法』の規定を読み込む必要があると思われます。
 飯田秀総・小塚荘一郎・榊素寛・高橋美加・得津晶・星明男『落合誠一先生古稀記念 商事法の新しい礎石』(有斐閣、2014)の論文の引用が比較的多かったので、興味のある方はこちらも合わせて参照されるとよろしいのではないでしょうか*10
 また、発売から8ヶ月も経過しているので、その間に判例の変更等もあることには留意が必要でしょう。
 この企画は、本当に辛く苦しい企画なので、個人的には、江頭先生には、後10年くらい『株式会社法』を改訂しないでいただくことを期待したいと思います(無理?)

*1:江差追分ではない

*2:例えば第5版657頁注9の払込剰余金に関する記述、702頁注3の租税特措法61条の4第1項に関する記述、724頁の有償無償抱き合わせ増資の廃止に関する記述、844頁注8の銀行持株会社の創設のための銀行等に係る合併手続の特例等に関する法律の廃止に関する記述や、その他判例文献の差し替えは多い。

*3:なお、親子会社間の吸収分割について「(会社法制定時に)明示的に認められた」(272頁注2)が「明示的に認められるものとされた」(273頁注2)のような非常に微妙なものもあるが、この辺りも記載を省略している。

*4:http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00086.html

*5:全株崇徳上皇付種類株式ではない

*6:なお、特殊の決議について、譲渡制限付き株式等への変更についての議案の概要の記載の条文が規則63条7号チになったことを反映した359頁注4や同様にストックオプションに関する招集通知の記載について規則63条7号の改正を反映した456頁注22も参照

*7:http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00086.html

*8:この場合において、その日本における代表者のうち一人以上は、日本に住所を有する者でなければならない。

*9:「外国会社の日本における代表者の住所要件について」http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg3/toushi/150323/item3.pdf参照

*10:ただ、同書中の論文なのに、江頭先生に引用されていないということはどう解すればいいのかという問題は突っ込まないことにしましょう。まあ、商行為・総則、保険法等々の論文等も含まれている訳ですが