アホヲタ元法学部生の日常

アニメを見て法律を思い、法律を見てアニメを思う法アニクラスタ、ronnorのブログ。頻繁にツイッター(@ahowota)に出没しております。メールはronnor1あっとgmail.comへ。BLJにて「企業法務系ブロガー」として書評連載中。 #新人法務パーソンへ #オタク流勉強法 #明認方法 「アホヲタ元法学部生の日常」(ブログ)、「これからの契約の話をしよう」(同人誌)、『アニメキャラが行列を作る法律相談所』(総合科学出版)等。

判例データベース収録裁判例数「徹底比較」!

 

【免責事項】本エントリは、判例データベースサービスの選択の際の1つの参考情報を提示しているに過ぎず、本エントリのみに依拠して判例データベースサービスを契約・解約等されても、当方において一切責任を負うことはできません。

 

1 はじめに

 

私は単なる一介の法務パーソンであり、何ら特定の判例データベースないしはデータベース提供会社と利害関係はありません。しかし、判例データベースについては一家言あり、かつて、私はあの『大嘘判例八百選第4版』に「判例検索システムクロスレビューへの参加という形で寄稿させていただいたこともあります。

 

go3neta.hatenablog.com

 

さて、最近、どうも、判例データベースの収録裁判例数の比較をしよう、という議論があるようです。そこでは、1〜2年分のデータでの比較がなされているようです。しかし、私は、「最近1、2年の比較によって、収録裁判例数の多寡を云々するのは適切ではない」と思いますので、面倒ですが、20年分比較したいと思います

 

2 手法

幸いなことに、当アカウント*1内でD1-Law、判例秘書、TKC(LEXDB)、Westlawの4判例データベースのアクセスが(適法に)できる環境にあるため、単純に、期間を1年毎に区切って各判例データベースに収録されているその時期の全裁判例を検索するという「地味で地道な作業」をしました*2

 

3 集計結果

2019/5/12現在では、以下のとおりとなります。

その年の最高は赤字+太字、最低は青地+下線としてみました。

 

まず、2010年代から。 

 

2010年代比較

DB名 D1 Law Westlaw TKC 判例秘書
2019
581
247
249
167
2018
6782
4166
4422
2539
2017
8810
7226
7350
4311
2016
9527
7864
9097
6591
2015
9098
7121
9488
4093
2014
9245
7159
9792
3382
2013
9913
6856
10000
3547
2012
3956
5848
12176
3500
2011
2959
5616
4141
3373
2010
3195
6007
3459
3503
2010年代計
64066
58110
70174
35006

 

TKCとD1のデッドヒートの末、辛うじてTKCがかわして2010年代の栄冠はTKCに輝いた感じですが、最近はD1が強いので、数年内にD1が追い抜く可能性があります。これに対し、2010年代だけを見る限り、判例秘書の収録裁判例数が圧倒的に少なく、最大のTKCの約半分と大きく差をつけられています。

 

次は、2000年代を見てみましょう。

 

2000年代比較
 DB名 D1 Law Westlaw TKC 判例秘書
2009
3319
7163
3276
3661
2008
3298
5624
3089
4145
2007
3523
6864
3288
6456
2006
3566
3681
3405
7033
2005
3847
3682
3598
7358
2004
3998
3796
3747
7446
2003
4194
3918
4004
7707
2002
4363
4055
4099
4819
2001
3853
3593
3554
2889
2000
3443
3298
3091
2510
2000年代計
37404
45674
35151
54024

 

ところが、2000年代になると、2010年代の「優等生」のはずのD1とTKC最下位レースを繰り広げることになります。逆に、判例秘書は5回も収録裁判例数ナンバー1の年があり、堂々の1位、次いでWestlawとなります。

 

4 まとめ

基本的には、

判例秘書が2002年(平成14年)〜2006年(平成18年)まで強く

・Westlawが2007年(平成19年)から、2011年(平成23年)まで強く

TKCが2012年(平成24年)から2015年(平成27年)まで強く

・D1-Lawが2016年(平成28年)以降は強い

という結果になりました*3

 

私は、『大嘘判例八百選第4版』に寄稿した、「判例検索システムクロスレビュー」の中で判例データベースは4社全てを状況に応じて適宜使い分けることが大事!」と書きましたが、この「感覚」が、今回「数字」で裏付けられたのは大変良かったです。

 

なお、例えば2019年の裁判例が少ないのは、現在収録準備(匿名化等)をしているからであって、しばらくすると3000ー1万件程度収録されるようになると思います。その意味で、ここで出てきた数字はあくまでも「参考」であり、しかも、収録された裁判例の数以外にUIとか文献データへのリンク等様々な評価軸が存在すると思われますので、判例DBをお選びになる際は、本エントリのみに依拠せずに、様々な情報を入手して慎重にお選び下さい!

*1:本ブログを運営するronnorの「中の人」という意味。

*2:その結果、例えばD1-Lawの「収録準備中」(特定の裁判例が存在していることを知っているが、まだ全文を公開できていないもの)も数に入ってしまう等、「誤差」がある数字だとご理解ください。

*3:これは、同時に、わずか1〜2年の収録裁判例数をもって比較することが比較方法として妥当ではないということの証明にもなったと思います。