アホヲタ元法学部生の日常

アニメを見て法律を思い、法律を見てアニメを思う法アニクラスタ、ronnorのブログ。頻繁にツイッター(@ahowota)に出没しております。メールはronnor1あっとgmail.comへ。BLJにて「企業法務系ブロガー」として書評連載中。 #新人法務パーソンへ #オタク流勉強法 #明認方法 「アホヲタ元法学部生の日常」(ブログ)、「これからの契約の話をしよう」(同人誌)、『アニメキャラが行列を作る法律相談所』(総合科学出版)等。

アナログ調査の効用ー刑事弁護専門書に声優インタビュー掲載

季刊刑事弁護 (No.16(Winter 1998))

季刊刑事弁護 (No.16(Winter 1998))

1.判例論文のデジタル化
 近年、法律判例・論文のデジタル化が著しい。主要な判例・裁判例はすでにデータベース化されており、判決年月日のみならず、判決中に含まれる任意の単語による検索も可能である。論文はまだ、デジタル化への過渡期といえるが、ジュリスト、判例タイムズ等、相当数の有力誌がデジタル化されており、事実上*1すべての文献がデジタル化される時代も近い。

 このような変化により、判例・文献調査は効率化したと一般に評されている。
これまで、ある判例・論文を探したいとなれば、その判例・論文が掲載されている掲載誌を探し、そこから掲載ページを探し、当該部分をコピーする必要があった。引用する場合には、手入力をしなければならず、長文の引用は非常に時間がかかった。
 デジタル化により、パソコンを使って、検索ボックスに情報を入れれば、それだけで判例・論文が取り出せる時代が到来した。これは非常に便利であり、調査にかかる時間も激減した。もはや、TKC等の判例・文献検索システムのない時代に逆戻りはできないだろう。


2.アナログ化の効用
 私自身も、デジタル化により判例・文献が探しやすくなったことを否定するつもりはないし、デジタル判例・文献検索のよさを十分に享受している。
 しかし、アナログの判例・文献検索には、非常によいところがあった。それは、「同じ雑誌に掲載されている、別の面白い記事*2に出会える」という点である。
 大御所の老教授が30年前に企画された対談に出ており、非常に若い写真が載っていたりすると、こんな時代もあったのか、と懐かしくなる*3
 「●●判決速報」といった広告をみても、ちょうどこの論文・判例が掲載された時期に、こんな大きな判決があったんだと、時代を感じさせられる。


3.林原めぐみインタビュー
 このようなアナログ化の効用は、「法律ヲタク」としての喜びを享受できるが、これまで「アニメヲタク」としての喜びを享受できたことはなかった。
 しかし、最近、ある文献を探していた時に、ついでに林原めぐみインタビュー」を発見することができた。


 林原めぐみ閣下については、わざわざ説明をする必要もない位有名な声優である。東京高等裁判所が、林原めぐみ閣下のことを「声優として著名」と認定している*4ことはテストに出るので覚えましょう。


 さて、このインタビューが掲載されていたのは、「季刊刑事弁護」という刑事弁護専門誌第16号(1998年)である。この雑誌は、刑事弁護の専門誌であり、刑事弁護の専門家が、その体験をふまえ、刑事弁護のコツ、刑事弁護に使える裁判例等を紹介している。


 同インタビューにおいては、あまり露出を好まないといわれる林原閣下が、大きなグラビア入りでインタビューに答えていた。テーマは、その当時争点になっていた「少年法改正」であり、「少年をどう見るか」といった視点から、アニメの効用、ラジオでのパーソナリティー経験等を語っている。
特に印象的なのは、「子どもは「たち」ではない」という主張であり、

 子どもはそれぞれいまいる環境や育ってきた過程が違うのに、大まかな5歳、大まかな何歳というものでくくるというのは違うと思う。番組に送られてくるハガキを読んでいても、二五歳だけど「大丈夫かなこのコ」って子もいれば、十二歳でも真実をついてくる子とかいますしね。
 この間読んだハガキでは、十八歳で働き始めて「働くっていうのは、自分だけのことをするんじゃなくて、誰かのためにちょっとでもならないと働いた意味がないような気がする」って感じたというのがあったんです。言葉だけを見ると稚拙なんだけど、その中にあるのは、「これをやっておけばあの人が楽だろう」「これをやっておけば事がスムーズに運ぶだろう。一歩先を読めるように動くことが仕事なんじゃないかな、そうできるようになりたいな。」ってこと。その一方で、いい所に就職はしてもそこに自分の居場所を見つけられない二十五歳のコがいたりね。
 だから子どもは一人ひとり別々であって、少年法は何歳から何歳までといった規定があるんでしょうけど、なんか「たち」でくくってしまうことが一番危険なんじゃないかな。

というコメントには、思わず「うん、うん」と、うなずいてしまった。

まとめ
 今後判例・文献のデジタル化は進むだろうが、このような「林原めぐみインタビュー」に出会えたのは、アナログの判例・文献検索をしていたからこそといえる。
 デジタル化が完全に達成すれば、調査にかかる時間は格段に減少するだろうが、このような「出会い」がなくなるのは、寂しい気もする。

*1:要するに、誰も参照しないような文献以外はデジタル化されるということ

*2:判例・論文、その他

*3:ついでに、今といっていることが違ったりする時に、どうして説が変わったのかと思いをめぐらせるのもまた楽しい

*4:2ちゃんねる小学館事件・東京高判平成17年3月3日判タ1181号158頁