デジタルプラットフォーム・プラットフォーマー・デジタル市場のルール整備関係報告書等まとめ
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グーグルが「死ん」でから、久しい。昔は欲しい情報について、適当にキーワードを入れて検索すれば、Googleが参考資料を参考になる順に一覧化してくれたのに、今はググって最初の方に出てくるのは、「まとめサイト」等の無意味なものばかりである。このような今こそ、昔の「リンク集」のようなものの重要性が再度見直されるべき時期である。
さて、いろいろな経緯でプラットフォーム及びプラットフォーマーについて検討をしなければならなくなったため、泣きながら関係資料を収集したところ、この1年程で色々な官庁の色々な委員会・研究会等がバラバラかつ大量に報告書等の資料をまとめていて、「何が何やら」状態の反面、ググっても簡単には出てこないので、極めてわちゃわちゃしている。多分同じような悩みを持っている人もいると思うので、現時点まで判明しためぼしい資料を時系列で整理してみた。
なお、
の日本版についても引き続き検討中である。
1 プラットフォームの定義について参考になるもの
主に古い報告書類である。なお、調査の際には、情報法概説85頁(後述4参照)と「プラットフォームサービスに関する研究会 中間報告書」(後述2参照)7頁「《参考1》 プラットフォームの定義について」を参考にした。
・2005/8/10 「ユビキタスネット社会におけるプラットフォーム機能の在り方に関する研究会報告書 」(総務省ユビキタスネット社会におけるプラットフォーム機能のあり方に関する研究会)
- 「複数のネットワーク・端末をシームレスにつなげ、様々なアプリケーションを提供しやすくするための共通基盤」35頁
・2007/9 「ネットワーク中立性に関する懇談会報告書」(総務省ネットワークの中立性に関する懇談会)
・2007/12/6「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会報告書」(総務省通信・放送の総合的な法体系に関する研究会)
-
「物理的な電気通信設備と連携して多数の事業者間又は事業者と多数のユーザー間を仲介し、コンテンツ配信、電子商取引、公的サービス提供その他の情報の流通の円滑化及び安全性・利便性の向上を実現するサービス」24頁
・2008/9 電気通信事業分野における競争状況の評価「V プラットフォーム機能が競争に 及ぼす影響に関する分析」(総務省)
- 「エンドエンドベースのデータ流通において、端末あるいはネッ トワーク、又はその双方の連携によって情報の付与・加工・再構成などを行うもので あり、コンテンツ・アプリケーションを通信サービス上で円滑に流通させるための共通的基盤 」263頁
・2009/1/30「通信プラットフォームのあり方」(総務省通信プラットフォーム研究会)
- 「通信レイヤー上でコンテンツ・アプリケーションを円滑に流通させる機能」5頁
・2012 「情報通信白書平成24年版」(総務省)
- 「ICT ネットワーク、とりわけインターネットにおいて、多数の事業者間ないし多数の事業 者とユーザー間を仲介し、電子商取引やアプリ・コンテンツ配信その他の財・サービスの 提供に必要となる基盤的機能」
・2018「情報通信白書平成30年版」(総務省)
なお、2の「プラットフォームサービスに関する研究会 中間報告書」の定義も参照。
2 プラットフォーム規制の方向性について参考になる近年の議論
ほとんどがこの1年に出された報告書である。
・2016/9/15 経済産業省「第四次産業革命に向けた横断的制度研究会報告書」(経済産業省第四次産業革命に向けた横断的制度研究会)
・2018/7 「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(経済産業省)
・2018/12/12「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」中間論点整理」(公正取引委員会、経産省、総務省デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会)
・2018/12/18 「プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備の基本原則」(公正取引委員会、経産省、総務省)
・2019/2「オンライン・プラットフォームと事業者の間の取引関係に関する事業者向けアンケート調査」(経済産業省)
・2019/2/13 「デジタル市場のルール整備に関する参考資料」(第23回未来投資会議資料1 日本経済再生総合事務局)
・2019/2/13「デジタル市場のルール整備についての検討項目」 (第23回未来投資会議資料2 「第4次産業革命」 構造改革徹底推進会合会長 )
・2019/4/5「プラットフォームサービスに関する研究会における中間報告書(案)に対する意見募集の結果及び中間報告書の公表」(総務省プラットフォームサービスに関する研究会)
- 「プラットフォームサービスを巡る現状と課題」(総務省プラットフォームサービスに関する研究会事務局)も参照
・2019/4/17「デジタル・プラットフォーマーの取引慣行等に関する実態調査について(中間報告)」(公正取引委員会)
・2019/4「オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会報告書」(消費者委員会)
・2019/4/18「プラットフォームが介在する取引の在り方に関する提言」(消費者委員会)
・2019/5/21「プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備に関するオプション」(公正取引委員会、経産省、総務省)
・2019/5/30「デジタル・プラットフォームに関する消費生活相談の概要」(国民生活センター)
・2019/6/7 「デジタル時代の新たな IT 政策大綱」(高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部 官民データ活用推進戦略会議)
・2019/6/21「成長戦略フォローアップ」(閣議決定)
- なお、概要全体版も参照
- 末尾のスケジュール2頁、第2章1.デジタル市場のルール整備も忘れず参照のこと
・2019/6/28 「第33回インターネット消費者取引連絡会」
・2019/7/5 「デジタル・プラットフォームに関するトラブル」(国民生活センター)
3 プラットフォームと独禁法について参考になるもの
さて、なぜこの問題を検討しなければならなくなったのかは端的にいって「禁則事項!」なのですが、とりあえず、プラットフォームと独禁法について、上記2で触れていない参考資料をいくつかご紹介。
(1)データと競争政策
・2015/10 市川芳治「プライバシー・ビッグデータ・競争法 : Facebook/WhatsApp 欧州委員会決定を題材に」慶應法学33号135頁
・2016/12「流通・取引慣行と競争政策の在り方に関する研究会報告書」(公正取引委員会流通・取引慣行と競争政策の在り方に関する研究会)
・2017/6/6 「データと競争政策に関する検討会」報告書 (公正取引委員会 競争政策研究センターデータと競争政策に関する検討会)
・2017/6/16「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」の改正について(公正取引委員会)
・2017/7 「ジュリスト2017年7月号(1508号) 特集プラットフォームと競争法」の各文献
- 白石 忠志「プラットフォーム等の問題を検討するにあたって」
- 滝澤 紗矢子「流通・取引慣行ガイドライン改正の概要」
- 長澤 哲也「プラットフォームと流通・取引慣行ガイドライン」
- 増島 雅和「シェアリングエコノミーの主要な特性と競争政策への示唆」
- 杉本 武重「個人データ保護と競争法 」
- 藤井康次郎 ・角田龍哉「ビッグデータと単独行為」
- 帰山 雄介「ビッグデータと企業結合規制」
- 池田 毅「デジタルカルテルと競争法 : AI・アルゴリズム・IoTは独禁法理論に変容をもたらすか」
・2017/8〜伊永 大輔 ・小川 聖史 ・寺西 直子「連載:デジタル・エコノミーと競争法(1)〜(8)」公正取引802号〜818号
- 第1回 破壊的技術革新と競争法・競争政策
- 第2回 データと競争法・競争政策
- 第3回 多面市場・プラットフォームビジネスと競争法
- 第4回 最恵国待遇(MFN)条項と競争法
- 第5回 アルゴリズム・AI(人工知能)と競争法
- 第6回 技術革新と競争法・競争政策 : 事業分野別の議論状況
- 第7回 Eコマースの競争法・競争政策への示唆(上)
- 第8回 Eコマースの競争法・競争政策への示唆(下)
・2018 「季刊 Nextcom33号 特集 情報通信市場と競争」の各文献
- 青木淳一「非対称規制の現状と課題 : 2015年電気通信事業法改正を振り返る」
- 大木 良子「オンラインプラットフォームと競争」
- 早川 雄一郎インターネット時代の消費者保護規制の一断面 : FTCによる「消費者プライバシー」の規制からの示唆」
・2018 滝川敏明「デジタルプラットフォーム・ビッグデータと独禁法・競争法 : グーグル・アマゾン・フェイスブックを巡って上・下」国際商事法務46巻1号及び2号
・2018/7 杉本 武重「EU競争法とプロファイリング規制・データポータビリティの権利」リスト1521号44頁
・2018/8 白石忠志「「プラットフォームと競争法」の諸論点をめぐる既存の議論」ソフトロー研究28号37頁
・2018/9林秀弥「ビッグデータ、AI時代に独占禁止法はどう立ち向かうか。」TASC monthy 513号13頁
・2018/10〜 藤原総一郎ほか「連載:デジタルプラットフォームの法律問題」NBL1131号〜
・2018/11 田中 裕明「ビッグ・データと競争法(Big Data und GWB)」公正取引817号47頁
・2019/3 「公正取引 821号 特集 プラットフォームと競争政策」の各文献
- 井畑 陽平「取引型」の二面プラットフォームによる垂直的な制限とシャーマン反トラスト法1条 : アメックス事件連邦最高裁判決[2018.6.25]
- 小川 聖史「プラットフォームと競争法・競争政策 : 企業結合規制と確約手続の利用を中心に」
- 泉水 文雄「デジタル・プラットフォームのルール整備と競争政策」
・2019/3 林秀弥「 プラットフォームと二面市場 : その競争的含意と法的課題」法律時報2019年3月号59頁
・2019/5〜 伊永大輔・東條吉純ほか 「連載:デジタルプラットフォームと経済法・国際経済法」法律時報2019年5月号〜
(2)国内事例
・2010/12/2 ヤフー株式会社がグーグル・インクから検索エンジン等の技術適用を受けることについて(公正取引委員会)
・2011/6/9 株式会社ディー・エヌ・エーに対する排除措置命令について(公正取引委員会)
・2015/4/28 JASRAC事件最高裁判決・最判平成27年4月28日民集69巻3号518頁(最高裁)
・2016/6公表 ヤフー(株)による(株)一休の株式取得(公正取引委員会)
・2017/6/1アマゾンジャパン合同会社に対する独占禁止法違反被疑事件の処理について (公正取引委員会)
・2017/8/15アマゾン・サービシズ・インターナショナル・インクからの電子書籍関連契約に関する報告について(公正取引委員会)
等
(3)代表的海外事例
・2016/12/20欧州委員会,フェイスブックがWhatsAppの買収(2014年承認)に係る企業結合審査において欧州委員会に不正確・誤解を招く回答をしたとして,フェイスブックに対し異議告知書を送付(公正取引委員会websiteより)
・2017/5/18 欧州委員会,フェイスブックによるWhatsAppの買収計画調査の際,フェイスブックが欧州委員会に対して不正確又は誤解を招く情報を報告したとして,同社に対し1億1000万ユーロの制裁金を賦課 (公正取引委員会websiteより。かなり下の方。)
・2017/7/17欧州委員会,アマゾンと電子書籍出版社の契約における最恵国条項に対する調査において,アマゾンから提出された最終的な確約案に法的拘束力を与える決定を採択(公正取引委員会websiteより)
・2018/7/18 欧州委員会は,Googleが,インターネット総合検索サービス市場,モバイルOS市場及びAndroid OSのアプリケーションストア市場における支配的地位を濫用し,Android端末製造業者及び移動体通信事業者に対し制限を課していたとして,同社に対して総額43億4000万ユーロの制裁金を賦課(公正取引委員会websiteより)
・2019/2/7ドイツ連邦カルテル庁は,Facebookに対して,多様なソースからユーザーデータを統合することを禁止した旨を公表(公正取引委員会websiteより)
・2019/3/20 欧州委員会は,Googleに対し,オンライン検索連動型広告の仲介市場における支配的地位の違法行為があったとして,14.9億ユーロの制裁金を賦課したことを公表(公正取引委員会websiteより)
等
4 その他
その他の関連文献として、
・自主規制の公法学的研究
・情報社会と共同規制
・アーキテクチャと法
・情報法概説
等をご参照下さい。
5 お願い
私はこの分野は全く詳しくないので、ぜひ「不足している情報」を教えて下さい。一番ありがたいのはTwitter @ahowota までリプを頂戴できれば嬉しいですが、 ronnor1 あっと gmail.com へのメールや、当ブログへのコメント等適宜の方法で構いません。どうぞ宜しくお願い致します。